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Live Blackjazz / Shining [Rock]

Starlessはとりあえず12枚ほど聴き進めてみたものの、長時間聴くと目眩がしてくることに気がついた。勿論、決して悪い意味ではない。既に聞き込んでいるCrimson作品なら3〜4枚程度は連続して聴いていられるが、今回は既知の曲ばかりの実況録音盤、ところどころアレンジを変えたり、アドリブを入れたりするもんだからどうしても全神経を音に集中せざるをえず、2、3枚も聴くとあまりの濃厚さに気力を使い果たしてしまうのだ。

と、いうわけでStarlessは一旦ブレイク。せっかく好きな音なので、無理に聴いてうんざりしたくないのだ。


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さて、先日、YouTubeを観ていたところ、たまたま凄いバンドのライブに遭遇。そのあまりのどぎつさに魂を吹き飛ばされ、ふらふらとさまよっているうちにこのバンドのライブ盤を発見、迷わず購入、久々のマイブームがおこり、聴いて聴いて聴きまくっている。


Live Blackjazz / Shining

live blackjazz.jpg



まぁ、とにかくライブの模様を一曲聴いてみてくれ。





毒々しいサックス、複雑な変拍子、爆裂しながら突っ走る強靭な演奏。ジャズもプログレもメタルも全て飲み込んだ異形の音。

ネットで調べたところによると、このノルウェーのShiningなるバンド(スウェーデンに同名のゴシックなメタルバンドがあるが当然全く別物である)、サックス奏者が中心になって結成されたらしい。当初はコルトレーン風のジャズを演奏し、作品も数枚発表していたが、あるときダイナミックな意識改革が起こり、このような極悪非道な音楽を演奏するようになったのだとか。

このライブ盤、全編通して複雑怪奇な音の塊が一切の情緒性を排除し、猛毒を吐きちらしながらどえらい勢いで疾走する。演奏はバッキバキのキレッキレ。常人には理解不能な変拍子も決めまくり。「もっと丁寧に演奏したらどうだ」なんて言おうとする隙も与えず次から次へと曲は展開する。フリーキーでぶち切れた猛烈なパワーに圧倒されっぱなしである。世間には変拍子を多用していることをウリにする「変態」なバンドも多いが、ここまでくるとただの変態じゃない。キ○○イ沙汰のド変態だ。好き嫌いははっきりと分かれるだろうが、(と、言うより、一般には受け入れられにくいだろうが)なにせただごとではないことが起こっていることは間違いない。


ヴァイキング魂、恐るべし。


このバンド、その経歴からジャズにルーツを持つことは間違いないが、プログレの影響も濃厚だと思われる。このことを裏付けるように、アルバム最終曲は、なんとKing Crimsonの超有名曲、21st Century Schizoid Manのカバーである。若干原曲に対するリスペクトが足りないような気がしないでもないが、何よりアドレナリン大放出の演奏には圧倒される。ちなみにサックス奏者は曲によってはギターも弾き、ボーカルも担当する。勿論、絶叫型であることは容易に察しがつくだろう。

YouTubeに、昨年のライブの模様を全編収録した動画があったのでリンクしておく。これを観ると、ただ物量とテクニックに任せて野方図に暴走しているわけではないこともわかる。ドラムセットはジャズでよく使われるようなシンプルなセットだし、ギターは曲が進行中なのに調律がずれていると感じるや躊躇なくチューニングを始めたりするし。

まぁ、面倒なことは考えず、とりあえずこの音に吹き飛ばされて欲しい。






Live Blackjazz

Live Blackjazz

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HESITATION MARKS / NINE INCH NAILS [Rock]

先日発表されたTrent Reznorのプロジェクト、Nine Inch NailsのHesitaion Marksを購入。今回はHow To Destroy Angelsという、音響的に比較的落ち着いた印象の別プロジェクトを挟んでの5年ぶりの新作ということで、誰しもが「NIN独特のとんがった感じが失われていないだろうか?」と、複雑な心境で発表を待っていたのではないだろうか?

しかし、それは全くの杞憂だった。


HESITATION MARKS / NINE INCH NAILS

nine inch nails.jpg

以前と比較すると、若干エレクトロニカ度が増したアプローチを行っている。この点について不満を持つリスナーもいるやもしれない。

しかしながら、そもそもNine Inch NailsはTrent Reznor個人による、『打ち込みテクノ』から始まっているのだ。その後、作品を重ねるごとにバンドっぽい体裁を成して来ているように聞こえるが、それはその実、商業音楽をとりまくテクノロジー、特に自動演奏における音響分野が飛躍的に発展したからこそなんとなく生演奏っぽく聴こえるような作品もあっただけの話で、実際にはNINのほとんどの作品のベーシック・トラックは、いわゆる『打ち込み』で創り、後に機械では表現不能な部分を人力で補う手法で製作されており、それは規模や密度の差こそあれ、昔も今もそう変わっていないはずだ。

音圧を求めるリスナーにはリズム・パートの音選びに不満が残る可能性もあるかと思う。確かに、NINは音圧を追求し、実践していた時期もあるが、今回の作品で『エレクトロニカ度』が増したのは、Torent Reznorが、数多存在する選択肢の中から、ある意味ロー・ファイとも解釈される音が、現在のNINの表現において必要である、と、判断したからこそだ。つまり、意図的に、一聴して電子音響と解るチープな音を選択したからに他ならない。端的に言えば、「生演奏と聞き分けが出来ないようなダイナミックなリズム」より、「単調で無機質なビート」が現在のNINによりフィットした音である、と判断したからとしか思いようが無い。

現実に、7曲目に配置されているEverythingを聴くとこの思いは確信へと変わる。どこかJoy Divisionを感じさせる楽曲。若干、小ぶりな印象はあるが、NINの新機軸とも言えるようなとても魅力的な曲であることは間違いない。勿論、Joy Divisionほどの暗さはないし、どちらかというと明るい曲調だが、この曲はライブでやったら盛り上がること間違いなし。アルバム中、もっとも解り易く、素直にカッコよく、ついリピートしてしまう。

そして、このアルバムの白眉は、最後の4曲、即ちI Would For YouからBlack Noiseのシームレスな流れに集約されている、と言えるだろう。一連のこの流れは凄い。鳥肌が立ちっぱなしだ。気の弱いライト・リスナーは最終曲を最後まで聴いていられないかも。

いずれにせよ、(NINとしての)5年間の空白を全く感じさせない充実した楽曲群。相変わらず尋常ではない音の創り込み方。神経を逆なでするノイジーなギター、不穏な音響の頻出、計算し尽くされたアレンジ。知性と暴力の共存するあのTrent Reznorワールドは全く衰えていない。


クレジットを見ると、数曲でAdrian Blewが参加している。まぁ、Adrian Blewの変態超絶ギターはNINの音と非常に親和性が高く、過去にもゲスト参加しているので驚くような事ではないのだが、なんと、Lindsey Backinghamが3曲でギターを弾いている!これにはのけぞらされた。クレジットされている曲を注意深く聴いてみたが、わざわざLindsey Backinghamを連れてくる必然性が感じられないのは残念。というか、Lindsey Backinghamのギターが大活躍するNINって、ちょっと想像できない・・・

とはいいつつ、トータルで見れば実に見事な結果が出ており、How To Destroy Angelsで納得出来なかったファンは必ず満足することと思う。久しぶりに責任推奨!


NINの公式HPで確認したところ、今月下旬から2ヶ月間、かなりハードなスケジュールの全米ツアーに出るようだ。念のため、How To Destroy Angelsの公式HPを確認すると・・・あれれれ?フェスティバル出演のスケジュールがこの期間中に2本入っている・・・再度NINのスケジュールを確認すると、このフェスティバルにはNINも出演することが判明。ついでに、出演日が一日ずれている。と、言う事は、NINのツアーメンバーはWTDAと掛け持ちすることになるのかな?それともWTDAは4月に行った全米ツアーのメンバーを再度招集するのだろうか?どっちにしてもTrento Reznorは掛け持ちになることは間違いないのだが・・・いや、普通に考えればNINのツアーメンバーが掛け持ちするんだろうな。でも、そもそもWTDAの4月のツアーメンバーと、今回のNINのツアーメンバーは全く同じ顔ぶれだったりして。なんだかありそうだなぁ・・・



Hesitation Marks(通常盤)

Hesitation Marks(通常盤)

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  • 出版社/メーカー: Umg
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: CD



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Mark Kozelek & Desertshore [Rock]

さて、本日発売となったMark Kozelek & Desertshore名義の作品。

Red House Painters解散後のMark Kozelekはソロ活動と平行し、自身のバンド、Sun Kil Moonを立ち上げ、Red House Painters路線、即ち、アコースティック・ギターを多用しつつも、必要があれば音を歪ませたエレクトリック・ギターも使用し、バンドらしい音を聴かせていた。が、徐々にアコースティック比率が高くなり、気がつけば本人しか録音に関わっていない作品、それも使用楽器はアコースティック・ギターのみの作品もSun Kil Moon名義で発表するようになり、ついにはソロ活動とバンド活動との境界線さえ曖昧になっていた。最新作、Among the Leavesでは一曲のみ、エレクトリック・ギターを使用し、久しぶりに、以前の「心地よいダルさ」を聴かせていたが、たった一曲ではあまりにももの足りなかった。

ところが、先日このブログでも取り上げた、後期Red House Paintersでギターを担当していたメンバーの新プロジェクト、Desertshoreの2作目となるDrawing of ThreesにはなんとMark Kozelekが半数以上の曲でゲスト参加、Red House Paintersを彷彿とさせる音世界が繰り広げられていた。が、それはMark Kozelekが参加した曲のみに限定されていた。しかし、今回は作品自体がDesertshoreとMark Kozelekの共同名義。こうなるとRed House Paintersが体現していたSlow/Sad Core路線を期待するなという方が無理ってもんだろう。

と、言う訳で、たった今、Amazonから届きました。

Mark Kozelek & Desertshore

mark kozelek and desertshore 2.jpg

聴く前にとりあえずジャケットに記載されているクレジットを見ると、Desertshoreのギターとピアノの二名以外はMark Kozelekとドラマーのみのようだ。ゲストとして1曲でバックボーカルが、ベースが2曲で参加しているようだが、あれ?どうなってんだ?あ、Mark kozelekの担当がボーカル、ベース、ギターになっている・・・おまけに、作曲はDesertshoreの2名のようだ。と、言う事は、Mark Kozerekは曲に関わっていないってこと?ちょっと嫌な予感がする。

まぁ、いい。じゃぁ、聴きながら、第一印象を書き連ねて行きます。

一曲目。のっけから意外にも明るい雰囲気のイントロのワルツ。細かいギターのパッセージは予想外。Mark Kozelekが珍しく力強い歌唱を聴かせる。ピアノとクリーントーンのギターの絡み始まったが・・・あれ、フェードアウトしちゃった。もっと引っ張って欲しかったなぁ。

次!おお、いい感じの頭がつぶれたギターの音。Song For Bulue Guitarの頃の音、曲を思い起こさせる。意外にも力強いMark Kozelekのボーカル。サビが結構いいなぁ。曲調はちょっと元気が良すぎるかなぁ・・・あ、ギターがディレイを使って効果音を出しているが、これはいらないな。

3曲目。ギターの考えられたシーケンスのフレーズ。途切れないボーカル。ほとんど展開しない曲。う〜ん、なんだろ?この違和感。このスタイルだったらMark Kozelekがボーカルである必要ないんじゃないか?あ、後半、シンセがオブリガート入れて来たけど、ギターとうまく絡んでない。

さ、次!あ、また、ミニマリズムを意識したと思われるシーケンシャルなギターのフレーズ。また、Mark Kozelekが必要以上に頑張っちゃっている。まぁ、この早めのテンポじゃ仕方ないが、やはりこの人、雰囲気だけじゃなく、かなりボーカルが巧いんだな。あ、曲が盛り上がって来た・・・と思ったらフェードアウトかい。

5曲目。のっけからボーカルが大活躍だ。演奏は実直、かつ無難な感じ。

6曲目。おお〜、アコギの絡みが美しい。この曲もMark Kozelekがかなり頑張っている。この感じ、最近のMark Kozelekのソロ・ワークのようだ。この曲には他の音は必要ない。多分、このまま他の楽器は参入せずに終わるんだろうな。あ、予想通りだ。

7曲目。来た来た!いかにもSlow Core調の始まり方。ボーカルも生々しいながらもつぶやくようなあの声だ。手数の少ないオルガンがサイケデリックな雰囲気を醸し出している。うわー、この展開部分、かっこいい。ただコードが変わってギターがジャラーンと流すだけなのに鳥肌立ったぜ。ギターも単調なフレーズをこらえて真面目に演奏しているなぁ。かなり好印象。

次も期待しちゃうぞ。あ、メジャースケールながらも、後期Red House Paintersを思い起こさせるような曲調。ゆったりとしたテンポ、Mark Kozelekも前半と比べると落ち着きを取り戻している。この曲、気持ちいいなぁ。あ、展開部分で今まで聴いた事の無い裏声を使っている。表現にも充分情感が入っている。

もうアルバムも残すところあと2曲か。おっと、なんだなんだこの曲は。エレクトリックギターこそ使っているものの、やたら軽快なC&Wな曲調。バンジョーの音があってもおかしくないなぁ。バックの単調なオルガン、いらねー。これだったらいっその事ホンキートンクなピアノにするとか。あ、いい加減なところで唐突に終わるなよ。無理矢理だろ、これ。

いよいよ最終曲。ピアノのイントロに導かれてMark Kozelekの表情豊かなボーカルが乗る。う〜ん、ピアノとボーカルが微妙に絡んでいない。決して悪い曲じゃないんだが・・・あ、バックのファルセットもKozelekの声だ。あれ?4分が経過したのに、ピアノとボーカルしか聴かれない。このまま押し通すつもりかな?6分経過。どうやら、そのようだ。静謐な印象はなかなか魅力的ではあるのだが・・・あ、最後だってのに余韻を残さずに中途半端にカットオフしちまいやがった・・・


う〜ん・・・予想が外れてしまった。いや、こちらの一方的な期待に応えてくれていなかった、と言うべきか。


決して悪い作品ではない。それは間違いない。しかし、なんと言うか、全体的に詰めが甘いような気がする。いや、作り込めばいいってもんじゃないし、ゴージャスに音を重ねればいいってもんでもない。そんなこと、この作品に興味を持った者なら誰一人として求めていないだろう。しかし、決定的な欠点は見当たらないにもかかわらず、「もうちょっといい感じに出来たんじゃないだろうか?」と思わせてしまう。だから、「詰めが甘い」としか、言いようがないのだ。コンセプトをまとめる段階で、もうちょっと調整が必要だったのではないかなぁ・・・

俺が求めていた、Red House Paintersに通じるような曲も数曲聴かれるのだが、中途半端に収録曲にバリエーションがあり、統一感に欠ける感は否めない。アルバム全体を通して聴いてみて、期待していた「退廃の美学」が感じ取れなかったのは残念だが、その一方で、Mark Kozelekの表現力が全く衰えていないどころか、以前よりも増していることに驚かされた。これは収穫。勿論、Mark Kozelekのファンは一定の満足を得られることと思うし、俺自身も新たな魅力を発見した。あ、そうだ。過日、このブログでも取り上げた、Mark KozelekとJimmy LaValle共作名義の、Perilis from the Seaが好きな人はこの作品を喜んで受け入れる事が出来ると思う。


このところ佳作続きのMark Kozelek、今の緩いスタンスを否定するものではないが、個人的にはそろそろ「傑作!」と、両手離しで歓迎出来る作品を望みたい。



Mark Kozelek & Destershore

Mark Kozelek & Destershore

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Caldo Verde
  • 発売日: 2013/08/20
  • メディア: CD



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Drawing of Threes / Desertshore [Rock]

俺が今は解散してしまったSlow/Sad Coreの重鎮、Red House Paintersの音楽的支柱であったボーカルのMark Kozelekのファンで、彼のソロ作品は勿論、関わったプロジェクトは入手可能な限り聴いていることはこのブログでも記した。とにもかくにも彼の感情の昂りを一切感じさせない歌唱には魔術的な引力があり、ぶっきらぼうで冷淡ながらも、その表現の奥にかすかに灯る、感じ取ることが難しい明かりが発するわずかな暖かみに気かつくと、もう彼の世界から抜け出せなくなってしまう。

さて、先日、某音楽ダウンロード販売サイトで検索をかけたところ、Mark Kozelekで知らない作品がヒット。曲単位に、Feat. Mark Kozelekとクレジットされていることから察するに、Mark Kozelekがゲストで数曲参加した作品のようだ。ええ、聴きますよ。聴きますとも、ということで、アルバム1枚丸ごとダウンロード購入したのだが・・・

Drawing of Threes / Desertshore

desertshore.jpg

 
なんだなんだこれ?Red House Paintersにそっくりじゃねぇか!


試しにこれ、聴いてみてくれ。
 


テクニックを誇示することのないギターが注意深く音を置いていく、今にも止まってしまいそうな緩慢なリズム、そこに乗るMark Kozelekの醒めたボーカル。Red House Paintersではあまり聴かれなかったピアノも違和感なく曲にとけ込み、独特の・・・いや、Red House Paintersに酷似した音空間が広がっている。

ちょっと調べたところ、どうやら、このDesertshioreなるバンド、かつてRed House Paintersでギターを弾いていたPhil Carneyが、ピアニストと組んだプロジェクトらしいことが判明。そりゃ似て当然か。前述の通り、ダウンロード購入したので、録音に参加しているメンバーの詳細までは判らないが、察するに、ドラムはMark Kozelekのバンド、Sun Kil Moonから借りてきたのではあるまいか。確かSun Kil Moonのドラマーは元Red House Paintersのメンバーだったはず。そうなると、これはもうほぼRed House Paintersだ。

このアルバム、全10曲中、6曲にMark Kozelekが参加しており、これらの全てがRed House Paintersを彷彿とさせる。残り4曲は全てインストゥルメンタルなのだが・・・う〜ん、ちょっと微妙。Penguin Cafe Orchestraを想起させられる局面もあるが、なにせ曲が小粒で、未完成なアイデアをデモ的に録音したようなイメージ。唯一、最終曲のみ、曲らしい体裁を保っている。

そういう訳なので、この作品、Red House Paintersの熱心なファン以外には積極的には勧められないのだが、なんと、今月、DesertshoreとMark Kozelekが共同名義での作品を発表することが発覚!勿論、私は即、予約しました。はい。


この両者の全面協力ということは、これはもうRed House Paintersでしょう!


いっそのこと、再結成してくれないかなぁ。


Drawing of Threes

Drawing of Threes

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Caldo Verde
  • 発売日: 2011/12/08
  • メディア: CD



こちらが今月発売の共作。楽しみ〜

Mark Kozelek & Destershore

Mark Kozelek & Destershore

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Caldo Verde
  • 発売日: 2013/08/20
  • メディア: CD


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Welcome Oblivion / How To Destroy Angels [Rock]

というわけで、ようやく到達した。

Nine Inch Nails(以降、NINと略す)名義での活動を封印し、細君、Mariqeen Maandigをメイン・ボーカルに据えたTrent Reznorの新プロジェクト、How To Destroy Angels、初のフルレンス・アルバム。 このプロジェクトも始まって既に3年が経過、2枚のEPを発表後、ようやくの本格始動である。
 

Welcome Oblivion / How To Destroy Angels

HowToDestroyAngels Welcome.jpg

周知の通り、Trent Reznorが主宰していたNINは、実質、Trent Reznorのソロ・プロジェクトであり、パーマネントなメンバーは不在で、作品創りやツアーに際しては、その都度、必要なミュージシャンを雇って活動を行っていた。傑作、Fragileのレコーディングでは、Adrian Blewまでが参加している。あ、Tony Levinも参加していたかも。そうそう、名前は忘れたが、David Bowieのグラム時代の名盤、Aladdin Saneで異常にテンションの高いプレイでアルバムの印象を決定づけたピアニストも、相変わらず存在感のあるプレイを聴かせていたっけ。

ま、それはさておき。

今回のHow To Destroy Angelsなるプロジェクトの新譜のスリーブには、Trent Reznorを含め、4名の名前がクレジットされている。が、担当楽器が記されていない。Mariqeen Maandigはメイン・ボーカルを担当しているのは判っているのだが。
オフィシャルサイトを見たところ、4名が勢揃いしたグループ・ショットや各メンバーの個別のポートレイトが載せられていることから判断するに、How To Destroy Angelsはパーマネントなメンバーを擁するバンド、という位置づけなのだろうが、ちょっと調べてみたところ、一名はNIN時代からのサウンド・クリエイトに携わっており、もう一名はやはりNIN時代からアート・ディレクションを行っていた人物であることが判明。つまり、重要な裏方もメンバーという位置づけにしているわけだ。

さて、肝心の音の方だが。

NIN時代と比べると、打ち込み比率が一段と高くなり、エレクトロニカ色が強くなっているが、メロディーと言い、聴く者を不安に陥れる不穏な音響の頻出と言い、陰鬱な雰囲気と言い、相変わらずのTrent Reznor節が炸裂。正直、「女性がボーカルのNIN」という解釈も不可能ではない。ま、この点については想定の範囲内。

だが、決定的にNIN時代と異なることがある。暴力的な音響、威圧的な表現がほとんど聴かれない事である。耳をそばだててみれば、以前のような歪んだギターによる音響(もしくはギターの音をサンプリングした後に一旦解体、打ち込みで再構築した音響)も皆無ではないのだが、音のエッジが丸くなっており、音量も控えめで、威圧感を強調するようなインダストリアル・メタルなことをしていない。この『音の平準化』とも言える傾向は曲のリズムにも表れており、アップ・テンポな曲、力強いビートの有る曲は皆無。つまり、『熱くなれる曲』が無いのは個人的には残念。

これらの変化は、ボーカルを担当するMariqeen Maandigの表現の特性への配慮、このプロジェクトのコンセプトの遵守、そしてTrent Reznorの嗜好の若干の変化等に起因していることは容易に察知できるし、これらの要素が密接にリンクしてこの音になっていることも解る。結果的に聴き易さを実現している反面、NIN時代と比較すると表現の幅が狭まってしまっているような気がする。

やめて欲しかったのは、Trent Reznor自身も部分的にボーカルに参加していること。Trent Reznorの夫婦デュオなんて誰が聴きたいと思うか。勘違いも甚だしい。

とはいいつつ、作品自体は充分な完成度を保っており、俺もそれなりに気持ちよく聴いている。

結論。興味があるなら出来だけ早いうち聴く事を勧める。このプロジェクトはそう遠くない将来に破綻する危険性をはらんでいるような気がする。過度に商業主義に迎合せずとも最先端に位置している今現在の輝きを検証すべきだ。


Welcome Oblivion

Welcome Oblivion

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 2013/03/05
  • メディア: CD



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