聴いてみた。(MBV / My Bloody Valentine) [Shoegazer]
発売日の3月4日をわくわくしながら迎えながらも予約したブツは届かず。発売日から6日が経過し、ようやく発注先から、「納期遅れますごめんなさいもしかしたらキャンセルするかも」メールが届き、「ショップに行って買うか・・・」と思っていた矢先、本日唐突に届いたMy Bloody Valentineの新作。
Amazon、何やってんだ。
さて、あのロックの地平を押し広げた名盤、Lovelessから22年の時を隔てての新作リリースとなれば、こりゃあ期待するなって方が無理ってもんで。
しかし、My Bloody Valentineの、たった2枚のオフィシャルに認められているオリジナルアルバム、Isn't AnythingとLovelessとの間には、『作品創り』という点で無視出来ないアプローチの変化があり、Loveless時点でバンドは進化を終わらせていたのか、それとも進化の過程で活動を止めてしまっていたのかが最大の関心事。
勿論、心地よいノイズに消え入りそうな耽美なメロディー、強烈な音の揺らぎはMy Bloody Valentineの『軸』であると思うので、誰しもが今作も継承していて欲しいと期待する事だろうし、その『軸』はぶれていないものだと思う。また、Lovelessにおける、ほとんどの曲を効果音でリレーする、あのシームレスな構成も絶大な効果を上げていただけに今作にも望みたいところだ。
まぁ、もともとMy Bloody Valentineは世の中の流れと無縁の世界にいたと思われるので、どんな音になっていたとしても不思議ではないのだが、前述のような音響的特徴を完全無視するような音作りは22年間ひたすら待ち続けたファンは誰も望んでいないことはバンド側も充分理解しているはずであって、これらを踏まえた上でどのような新しいアプローチを行うのかが、俺は一番気になるところ。
さて、ここまではまだ一切新作を聴いていない状態でしたためた文章。ここから先は曲を聴きながら第一印象を記して行く。どきどきするぜ。
MBV / My Bloody Valentine
おお〜、のっけからSometimesを彷彿とさせる恍惚感のあるノイジーな音響に美しいメロディー。ギターの音程の揺らぎも健在だ。Lovelessに収録されていたとしても全く違和感はない。いや、Sometimesとかぶってしまうか。
おっと、長めの余韻を残し、曲が終わってしまった。続くのはSoonを彷彿とさせるダンサブルな曲。過激な歪みを聴かせているのはギターか?う〜ん、終盤以降のソロをとっているギターのフレーズがいまいちこなれていない。あれ?フェードアウトするつもりか。あ、しちゃったよ。
3曲目。いいねぇ、このローファイな感じ。しかし、よく聴いてみれば、各楽器の分離はさほど悪くない。強引なコードチェンジもマイブラらしい。あれ?唐突に終わっちゃったよ。
今度は何だ?やたらアナログな音のシンセの単調な演奏が続き、Bilindaの囁くような散発的なボーカル。僅かばかりのパーカッション。なんだかこの曲、どこかで聴いたような・・・あ、そうか。Stereolabに雰囲気がそっくりなんだ。あれ、また唐突に終わってしまった。
次は、Bilindaのボーカルを中心に据えたマイブラ流の変態ポップス。この曲もStereolabに雰囲気が似ているなぁ・・・なんか、曖昧な終わり方。
あ、この曲、冒頭からつかみがいいなぁ。力強いビート、リズムにシンクロするトレモロのかかったギター。シャッフルするリズム。ちゃんと歌っているBilindaのボーカル。身体が揺れて来たぞ。気持ちいい、気持ちいいよ。あとはどう終わらせるかだな。あ、安易にフェードアウトしやがった。
なんだなんだ、チープなシンセに続き、やたら機械的なノリの演奏。Bilindaが歌っているときはマイブラらしいのだが、間奏部分がやたら破壊的。あ、これ、なんとなくSerena Maneeshっぽい。演奏は繰り返しに入ったけど、またこのままフェードアウトとか、カットアウトとかはないだろうな?あ、カットアウトだ。
うわぁ、超破壊的な音響。力強いビート。好きだなぁ、こういうの。あれ?全然展開しないぞ。音圧のみが上がって来た。あれれ?うわぁ、ステレオ壊れそうだ。でも、こんなに歪んだ音だったらスピーカーが傷んでもわかんねぇだろうな。あ、唐突に終わりやがった。
いよいよ最終曲。お、なかなかスピード感のある曲。ドラムにかけたらしいフランジャーの音がでかすぎてちょっとうるさい。あー、またStereolab風の4部音符で単調に刻むキーボード、この音いらねー。うわー、ギターがブーンブーンいってるよ。うるせー。あ、このドラム、完全に打ち込みじゃねーか。お、ドラムとフランジャー・エフェクトの音のみになって音圧が下がった。なかなかスリリングだ。ここからどう持って行くんだ?って、そのままおわりかよ〜!
以上、終了!
感想。間違い無く、これはMy Bloody Valentineの音だ。ギターソロらしきものも聴こえるが、勿論、単調な繰り返し、もしくはオブリガートっぽいプレイが中心。数曲で聴かれる、低音を強調した力強いビートはあらたな魅力かも。
疑問なのはブツ切れの曲。Lovelessのようにうまく繋げれば気にならなかったのだろうが、このように一曲毎に切られてしまうと、思っていた程、Kevinに天才的な作曲能力、もしくは編曲能力がなかったことに気付く。なんか、全体的になげやりな感じ。逆に考えれば、Lovelessもあのように曲を効果音で繋げなかったらこんな感じになっていたのかも。
一つ、決定的な不満がある。何曲かで登場する、やたらチープな音色のシンセのプレイが曲に全く貢献していない。あれらの必然性がまったく感じられない。もうちょっと音質、アレンジ等々、整理出来なかったのか?
Loveless以降、22年待ってこれではちょっと寂しい気もするが、まぁ、Kevinの頭の中はLoveless時点でほぼ止まっており、Lovelessの時のように編集の妙で曲の寄せ集めを一つのアルバムとして完成させる程の胆力が22年間の間に失われてしまったとしても不思議はないわけで。そういう見方をすれば、未編集のLovelessの続編を聴いている、と思えば充分納得は行く。
つーか、もしかしたら、何らかの厳しい契約の縛りの中で、Kevinはレコーディング以外のアルバム製作期間(ミックスダウンとか)を、充分与えられない過酷な環境下でアルバムを早期発表することを強要されたのではないだろうか?もしそうだとしたら、この乱雑さにも納得がいく。素材としてはなかなかいい曲が揃っており、これらをうまく加工すればLovelessにも匹敵、いや、凌駕する作品が出来たかもしれなかったのに。
もし、俺の思っている通りだとしたら本当に残念だ。
結論。俺は買った事は後悔していないし、充分に楽しんだ。が、あえて言うなら、Loveless以上を期待していた愚かさを痛感した。
やはり、あれはマジック(勿論、タネも仕掛けもある)だったのだ。
Amazon、何やってんだ。
さて、あのロックの地平を押し広げた名盤、Lovelessから22年の時を隔てての新作リリースとなれば、こりゃあ期待するなって方が無理ってもんで。
しかし、My Bloody Valentineの、たった2枚のオフィシャルに認められているオリジナルアルバム、Isn't AnythingとLovelessとの間には、『作品創り』という点で無視出来ないアプローチの変化があり、Loveless時点でバンドは進化を終わらせていたのか、それとも進化の過程で活動を止めてしまっていたのかが最大の関心事。
勿論、心地よいノイズに消え入りそうな耽美なメロディー、強烈な音の揺らぎはMy Bloody Valentineの『軸』であると思うので、誰しもが今作も継承していて欲しいと期待する事だろうし、その『軸』はぶれていないものだと思う。また、Lovelessにおける、ほとんどの曲を効果音でリレーする、あのシームレスな構成も絶大な効果を上げていただけに今作にも望みたいところだ。
まぁ、もともとMy Bloody Valentineは世の中の流れと無縁の世界にいたと思われるので、どんな音になっていたとしても不思議ではないのだが、前述のような音響的特徴を完全無視するような音作りは22年間ひたすら待ち続けたファンは誰も望んでいないことはバンド側も充分理解しているはずであって、これらを踏まえた上でどのような新しいアプローチを行うのかが、俺は一番気になるところ。
さて、ここまではまだ一切新作を聴いていない状態でしたためた文章。ここから先は曲を聴きながら第一印象を記して行く。どきどきするぜ。
MBV / My Bloody Valentine
おお〜、のっけからSometimesを彷彿とさせる恍惚感のあるノイジーな音響に美しいメロディー。ギターの音程の揺らぎも健在だ。Lovelessに収録されていたとしても全く違和感はない。いや、Sometimesとかぶってしまうか。
おっと、長めの余韻を残し、曲が終わってしまった。続くのはSoonを彷彿とさせるダンサブルな曲。過激な歪みを聴かせているのはギターか?う〜ん、終盤以降のソロをとっているギターのフレーズがいまいちこなれていない。あれ?フェードアウトするつもりか。あ、しちゃったよ。
3曲目。いいねぇ、このローファイな感じ。しかし、よく聴いてみれば、各楽器の分離はさほど悪くない。強引なコードチェンジもマイブラらしい。あれ?唐突に終わっちゃったよ。
今度は何だ?やたらアナログな音のシンセの単調な演奏が続き、Bilindaの囁くような散発的なボーカル。僅かばかりのパーカッション。なんだかこの曲、どこかで聴いたような・・・あ、そうか。Stereolabに雰囲気がそっくりなんだ。あれ、また唐突に終わってしまった。
次は、Bilindaのボーカルを中心に据えたマイブラ流の変態ポップス。この曲もStereolabに雰囲気が似ているなぁ・・・なんか、曖昧な終わり方。
あ、この曲、冒頭からつかみがいいなぁ。力強いビート、リズムにシンクロするトレモロのかかったギター。シャッフルするリズム。ちゃんと歌っているBilindaのボーカル。身体が揺れて来たぞ。気持ちいい、気持ちいいよ。あとはどう終わらせるかだな。あ、安易にフェードアウトしやがった。
なんだなんだ、チープなシンセに続き、やたら機械的なノリの演奏。Bilindaが歌っているときはマイブラらしいのだが、間奏部分がやたら破壊的。あ、これ、なんとなくSerena Maneeshっぽい。演奏は繰り返しに入ったけど、またこのままフェードアウトとか、カットアウトとかはないだろうな?あ、カットアウトだ。
うわぁ、超破壊的な音響。力強いビート。好きだなぁ、こういうの。あれ?全然展開しないぞ。音圧のみが上がって来た。あれれ?うわぁ、ステレオ壊れそうだ。でも、こんなに歪んだ音だったらスピーカーが傷んでもわかんねぇだろうな。あ、唐突に終わりやがった。
いよいよ最終曲。お、なかなかスピード感のある曲。ドラムにかけたらしいフランジャーの音がでかすぎてちょっとうるさい。あー、またStereolab風の4部音符で単調に刻むキーボード、この音いらねー。うわー、ギターがブーンブーンいってるよ。うるせー。あ、このドラム、完全に打ち込みじゃねーか。お、ドラムとフランジャー・エフェクトの音のみになって音圧が下がった。なかなかスリリングだ。ここからどう持って行くんだ?って、そのままおわりかよ〜!
以上、終了!
感想。間違い無く、これはMy Bloody Valentineの音だ。ギターソロらしきものも聴こえるが、勿論、単調な繰り返し、もしくはオブリガートっぽいプレイが中心。数曲で聴かれる、低音を強調した力強いビートはあらたな魅力かも。
疑問なのはブツ切れの曲。Lovelessのようにうまく繋げれば気にならなかったのだろうが、このように一曲毎に切られてしまうと、思っていた程、Kevinに天才的な作曲能力、もしくは編曲能力がなかったことに気付く。なんか、全体的になげやりな感じ。逆に考えれば、Lovelessもあのように曲を効果音で繋げなかったらこんな感じになっていたのかも。
一つ、決定的な不満がある。何曲かで登場する、やたらチープな音色のシンセのプレイが曲に全く貢献していない。あれらの必然性がまったく感じられない。もうちょっと音質、アレンジ等々、整理出来なかったのか?
Loveless以降、22年待ってこれではちょっと寂しい気もするが、まぁ、Kevinの頭の中はLoveless時点でほぼ止まっており、Lovelessの時のように編集の妙で曲の寄せ集めを一つのアルバムとして完成させる程の胆力が22年間の間に失われてしまったとしても不思議はないわけで。そういう見方をすれば、未編集のLovelessの続編を聴いている、と思えば充分納得は行く。
つーか、もしかしたら、何らかの厳しい契約の縛りの中で、Kevinはレコーディング以外のアルバム製作期間(ミックスダウンとか)を、充分与えられない過酷な環境下でアルバムを早期発表することを強要されたのではないだろうか?もしそうだとしたら、この乱雑さにも納得がいく。素材としてはなかなかいい曲が揃っており、これらをうまく加工すればLovelessにも匹敵、いや、凌駕する作品が出来たかもしれなかったのに。
もし、俺の思っている通りだとしたら本当に残念だ。
結論。俺は買った事は後悔していないし、充分に楽しんだ。が、あえて言うなら、Loveless以上を期待していた愚かさを痛感した。
やはり、あれはマジック(勿論、タネも仕掛けもある)だったのだ。
MBVはどうなった? [Shoegazer]
本日発売の筈のMy Bloody Valentineの新譜、MBV、予約先のアマゾンから発送通知メールが来ない。
念の為、アカウントの履歴を確認したところ、やはり未発送のまま。
さらに、肝心の商品のページを見てみると、「通常1~3か月以内に発送します」なんてバカなことほざいてやがる。
いっそのこと、ダウンロードで購入してやろうか。
いや、やはり、My Bloody Valentineに関しては、「モノ」で持っていたいのだよなぁ。You Tubeにもアップされているが、あえて聴いていない。作品を手に取って、ディスクをトレイにセットし、でかい音のするステレオで聴きたいんだよ。
ほんと、じれったいなぁ。アマゾンは予約数を確保出来なかったんだろうか?それだったらそれで申し開きメールの一本も欲しいところだが・・・
念の為、アカウントの履歴を確認したところ、やはり未発送のまま。
さらに、肝心の商品のページを見てみると、「通常1~3か月以内に発送します」なんてバカなことほざいてやがる。
いっそのこと、ダウンロードで購入してやろうか。
いや、やはり、My Bloody Valentineに関しては、「モノ」で持っていたいのだよなぁ。You Tubeにもアップされているが、あえて聴いていない。作品を手に取って、ディスクをトレイにセットし、でかい音のするステレオで聴きたいんだよ。
ほんと、じれったいなぁ。アマゾンは予約数を確保出来なかったんだろうか?それだったらそれで申し開きメールの一本も欲しいところだが・・・
MBV / My Bloody Valentine [Shoegazer]
聴いてみた。 Ep's 1988-1991 / MY BLOODY VALENTINE [Shoegazer]
さて、一昨日(UKでの発売日)に届いたMy Bloody ValentineのEP集、早速聴いてみたので、簡単に感想を。
Ep's 1988-1991 / MY BLOODY VALENTINE
収録されている4枚のEPについて、「リマスターされている」という噂もあった。しかし、オリジナルと聴き比べてみた結果、若干鮮明に聴こえるような印象は受けたが、これは音量を上げ、全体にわずかばかりのイコライザー処理を施した(多分)結果であり、個々のトラックの音質、バランスや位相まで見直すような大々的なリマスタリング作業は行っていない、と思われる。そもそも、You Made Me RealiseやFeed Me With Your Kissのマスターテープが良好な状態で残っているとも思えないし。
以降、収録されているEP4枚、即ちYou MadeMe Realise、Feed Me With Your Kiss、Glider、Tremoloの各収録曲については割愛し、俺がこの作品集を購入する目的となった7曲の未発表曲及びレア音源についてのみ感想を述べる。但し、ネットを含めた他所からの引用や参照は一切行っていないので、年代情報は推測であることをご承知おきいただきたい。
Instrumental No.2は、明らかにKevin Shieldsが曲のアイデアを一人で宅録したものだ。これをMBVの未発表曲とすることにはいささか疑問を感じる。録音時期は多分Loveless発表以降。
続くInstrumental No.1は、爆裂轟音ナンバー。時期的にはIsn't Anything製作直前だろう。後で歌を乗せるつもりだったことを容易に察することが出来る曲展開。
そして、Gliderのフルバージョン。EP、Gliderでは3分程度であり、次の曲への橋渡し的な『つなぎ』として有効に作用していたが、ここでは10分超もある。しかし、そもそもこの曲は単調な音響の繰り返しなので、はっきり言ってフルバージョンである有り難みは薄い。最後にちょっと音程が上がっていくが、これも機械的操作で行っているものであって、大した創意工夫は感じられない。
さて、Sugar、これもKevin Shieldsが曲のアイデアを一人で宅録したものだと思われるが、ボーカルも収録されており、それなりに曲の体裁をなしており、MBVの雰囲気を感じ取れる。どうせならバンドでの完成形で聴きたかった。時代的にはLovelessの直前だろう。
Angel、この曲はちゃんとMBVだ。録音時期は多分、Isn't Anytingの前・・・いや、もしかしたら後かな?
続く、Good For You、冒頭にいきなりノイジーな部分があるが、一転、いかにもマンチェスターといった雰囲気のポップなナンバーに変わる。しかし再び不穏な轟音のみのパートがあるところがいかにもMBVらしい。録音時期は多分、You Made Me Realiseの前。
ついに最終曲、How Do You Do It、歪みきったベース、過度にロールするドラムがいかにもMBVだ。これも録音時期はYou Made Me Realiseの前だと思われる。
整理すると、半数の曲で『バンドとしての』MBVらしさを感じられるものの、『4枚のEPをまとめた作品集に付加価値を付けるためのボーナストラック』以上の価値を見いだせなかったのは残念。
また、CD2枚を連続で聴いた結果、若干の不満、というか、収録方法に改善の余地があったような気がする。
このセットではCD1にYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kiss、Gliderに収録されていた各曲を順番に収録、CD2にTremoloと未発表曲・レア音源が収録されている。つまり、発売順に正直に並べていき、最後に未発表曲及びレア音源をまとめているわけだが、これら7曲は収録時期になかなりの幅があるはずで、結果的にCD2がやたらと散漫な印象になってしまっている。また、CD1についても、Glider収録曲とそれ以外の作品では曲のテイストがかなり異なるため、Soonが始まった途端に違和感を感じる。
もし、俺だったら、CD1はYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kiss、そしてIsn't Anything前に録音されたと思しき4曲をボーナストラックとして収録、そしてCD2はGlider、Tremoloと、Loveless前後に録音されたと思しき3曲をボーナストラックとして収録する。その方が違和感無く聴ける、と思う。
とはいいつつ、この作品の購入を検討している者の多くはプレミアのついたEP、You Made Me Realise、そしてFeed Me With Your Kissに収録されている曲が目当てであろうし、これらのEPに収録されている曲はどれもこれも魅力的であるので、これらのEPを所持していないMy Bloody Valentineのファンに購入を思いとどまらせる理由を見つけることは極めて困難だ。また、「MBVの音なら何でもいいから聴いてみたい!」という(俺を含む)MBVフリークの所有欲も充分満たしてくれる。値段設定も魅力的。
結論。興味がある者は売り切れる前に入手した方がいい。
Ep's 1988-1991 / MY BLOODY VALENTINE
収録されている4枚のEPについて、「リマスターされている」という噂もあった。しかし、オリジナルと聴き比べてみた結果、若干鮮明に聴こえるような印象は受けたが、これは音量を上げ、全体にわずかばかりのイコライザー処理を施した(多分)結果であり、個々のトラックの音質、バランスや位相まで見直すような大々的なリマスタリング作業は行っていない、と思われる。そもそも、You Made Me RealiseやFeed Me With Your Kissのマスターテープが良好な状態で残っているとも思えないし。
以降、収録されているEP4枚、即ちYou MadeMe Realise、Feed Me With Your Kiss、Glider、Tremoloの各収録曲については割愛し、俺がこの作品集を購入する目的となった7曲の未発表曲及びレア音源についてのみ感想を述べる。但し、ネットを含めた他所からの引用や参照は一切行っていないので、年代情報は推測であることをご承知おきいただきたい。
Instrumental No.2は、明らかにKevin Shieldsが曲のアイデアを一人で宅録したものだ。これをMBVの未発表曲とすることにはいささか疑問を感じる。録音時期は多分Loveless発表以降。
続くInstrumental No.1は、爆裂轟音ナンバー。時期的にはIsn't Anything製作直前だろう。後で歌を乗せるつもりだったことを容易に察することが出来る曲展開。
そして、Gliderのフルバージョン。EP、Gliderでは3分程度であり、次の曲への橋渡し的な『つなぎ』として有効に作用していたが、ここでは10分超もある。しかし、そもそもこの曲は単調な音響の繰り返しなので、はっきり言ってフルバージョンである有り難みは薄い。最後にちょっと音程が上がっていくが、これも機械的操作で行っているものであって、大した創意工夫は感じられない。
さて、Sugar、これもKevin Shieldsが曲のアイデアを一人で宅録したものだと思われるが、ボーカルも収録されており、それなりに曲の体裁をなしており、MBVの雰囲気を感じ取れる。どうせならバンドでの完成形で聴きたかった。時代的にはLovelessの直前だろう。
Angel、この曲はちゃんとMBVだ。録音時期は多分、Isn't Anytingの前・・・いや、もしかしたら後かな?
続く、Good For You、冒頭にいきなりノイジーな部分があるが、一転、いかにもマンチェスターといった雰囲気のポップなナンバーに変わる。しかし再び不穏な轟音のみのパートがあるところがいかにもMBVらしい。録音時期は多分、You Made Me Realiseの前。
ついに最終曲、How Do You Do It、歪みきったベース、過度にロールするドラムがいかにもMBVだ。これも録音時期はYou Made Me Realiseの前だと思われる。
整理すると、半数の曲で『バンドとしての』MBVらしさを感じられるものの、『4枚のEPをまとめた作品集に付加価値を付けるためのボーナストラック』以上の価値を見いだせなかったのは残念。
また、CD2枚を連続で聴いた結果、若干の不満、というか、収録方法に改善の余地があったような気がする。
このセットではCD1にYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kiss、Gliderに収録されていた各曲を順番に収録、CD2にTremoloと未発表曲・レア音源が収録されている。つまり、発売順に正直に並べていき、最後に未発表曲及びレア音源をまとめているわけだが、これら7曲は収録時期になかなりの幅があるはずで、結果的にCD2がやたらと散漫な印象になってしまっている。また、CD1についても、Glider収録曲とそれ以外の作品では曲のテイストがかなり異なるため、Soonが始まった途端に違和感を感じる。
もし、俺だったら、CD1はYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kiss、そしてIsn't Anything前に録音されたと思しき4曲をボーナストラックとして収録、そしてCD2はGlider、Tremoloと、Loveless前後に録音されたと思しき3曲をボーナストラックとして収録する。その方が違和感無く聴ける、と思う。
とはいいつつ、この作品の購入を検討している者の多くはプレミアのついたEP、You Made Me Realise、そしてFeed Me With Your Kissに収録されている曲が目当てであろうし、これらのEPに収録されている曲はどれもこれも魅力的であるので、これらのEPを所持していないMy Bloody Valentineのファンに購入を思いとどまらせる理由を見つけることは極めて困難だ。また、「MBVの音なら何でもいいから聴いてみたい!」という(俺を含む)MBVフリークの所有欲も充分満たしてくれる。値段設定も魅力的。
結論。興味がある者は売り切れる前に入手した方がいい。