Lux / Brian Eno [Ambient/New Age/Experimental]
以前もしたためた記憶があるが、Brian Enoという人の「製作」(演奏とは限らない)する音楽には一貫性が無い。他人とのコラボレーション作品が多い事も影響しているが、全作品を通底するEno独自のシグネイチャー・サウンドとでも言うべき物が無い。で、あるからして、Eno初心者が、特定の作品が琴線に触れたからと言って、既発の過去作品を聴いたりすると少なくない確率で混乱を起こす。また、作品を重ねるごとに進化しているかというと、そうでもない。ま、これは「何を持って進化と言えるのか」という出口の無い問題にぶち当たってしまうので、スタンスも軽くあちらこちらに移動しており、そのプロセスを見せない、と考えるとなんとなく納得が行く。
つまり、最新作を気に入ったからと言って、次回作に期待してはいけないのだ。事実、俺自身、2005年に発表されたAnothr Day On Earthを気に入り、その流れを継承したかのような2008年発表のEverything That Happens Will Happen Todayに一定の満足感を得て、2010年発表のSmall Craft On A Milk Seaに過剰な期待を持ち、「一刻も早く新作を聴きたい!」と、発売が早かった割高な国内盤を予約購入したにも関わらず、期待はずれの今更なアンビエント・テクノな作風に突き落とされ、その後はEnoの作品を追いかけることを止めてしまっていた。
そうだよそうだ。Small Craft On A Milk Sea購入直後に、ここで近いうちに取り上げる、と宣言したものの、結局ポジティブに受け止められなかったので止めたんだったけ。あれは本当に酷かったなぁ。Nerve Netの時にもびっくりしたけど、あのときはアンビエント・テクノの扉を開いたわけで、充分意味があった。それに引き換え、Small Craft On A Milk Seaでは「これは映像を伴わない映画である」みたいな事を言って、気を持たせておきながら出した結果があまりにも雑多でまるでMusic For Filmsの出来損ないみたいな中途半端な駄作だった。俺の感性が鈍いのかどうかわからんが、どこをどう聴いても何も情景らしきものは想起できなかったし、あまつさえ聴く事に苦痛さえ覚える局面もあった。
あ、思い出したぞ。世間では名盤の誉れ高いMusic For Filmsは、映画製作関係者に「こんなん出来ますけどどうですか?ご依頼お待ちしてま~す」と、プロモーション目的でばらまいた自主制作盤を編集して一般販売したんだったけ。映像作品とのコラボレーションによほど魅力を感じていたんだろう。しかしだからと言って、自らの作品を「映像の無い映画」と宣言するなんて、大言壮語もいいところだ。製作開始時点でそういうコンセプトがあったのかどうか、機会があったら真偽の程を小一時間問いつめたい。
ま、それはさて置き。
私がSmall Craft On A Milk Seaで苦々しい思いをして作品を追いかけるのを止めていた間に、こんなん出していたんですね。Enoさん。全然知りませんでしたよ。
Lux / Brian Eno
2012年に発表されていた、なんだか化粧品メーカーみたいな名前のこの作品、久々に「これぞアンビエント、Enoの真骨頂!」と思える出来。ノンリズム、散発的なメロディー未満の音がほとんど規則性を持たずに延々と配置されている。ピアノのような音も聴かれるが、ほとんどシンセサイザーで演奏(?)していると思われる。収録されている曲は合計4曲、それぞれが20分近くあり、順番に、Lux 1、Lux 2、Lux 3、Lux 4と、なんとも簡潔にして潔くも素っ気ない曲名が与えられている。この作りからは、名盤、Music For Airportが思い出されるが、Music For Airportのように曲によって音像が異なる訳でもなく、どれもこれも似たような雰囲気、かつ印象で、あえて言わせてもらえれば、全編を通して、Thursday Afternoonのような雰囲気を醸し出している。試しに、Thursday Afternoonと同時にかけたら、違和感無く聴けた(笑)。
この作品、Enoが提唱する、Music For Thinkingの3作目、という位置づけになっているらしい。以前、Neroriを購入した際、Music For Thinking Vol.2、という表記があり、「じゃあVol.1もあるんだろうが、どれなんだろう?」と疑問に思っていたのだが、どうやらDiscreet Musicがそれにあたるらしい。全然知りませんでした。
Music For Thinkingなるプロジェクトのコンセプトについて、正確なところは知らないし、調べようとも思わないが、俺は、「頭を使う時に邪魔にならない音響作品」もしくは、「深い思考の環境を作る作品」なのではないか、と勝手に思っている。事実、極端に音数が少ないNeroriは、考え事をするのに一切邪魔にならかった。というより、音の存在感があまりにも希薄で、気にならなかった、とも言えるのだが、では、このLuxなる作品が思考の邪魔をしないか、と言えるかと言うと・・・う〜ん、どうなんだろ?ちょっと微妙。若干音がシャープで、アタックが強めの音を選んでいるせいか、これを聴きながら深い思考を行うことは俺には無理かも。
ま、いずれにせよ、Enoの大きな魅力の一つである、静謐なアンビエントアプローチがなされた作品であることは間違いなく、流して聴いている分には心地よい。名盤、と言えるかどうか微妙なところだが、アンビエント作品として良作であることは間違いなく、前述の通り、Thursday Afternoonあたりが好きな人にはお勧めする。
発表は2012年、現在のところ最新作のようであるが、Enoのペースを考えると、そろそろ新作を出してくるような気がするが、どうなるんだろう?一連のMusic For Thinking作品の発表が、1975年、1993年、2012年と馬鹿みたいに間が空いている事から察するに、また作風を変えてくるような気がする。次回作は、Small Craft On A Milk Seaの時のように浮き足立って予約購入はせず、ちょっと様子を視るつもり。
でも、結局、Enoは無視出来ないんだけどね。本当に悩ましい。
つまり、最新作を気に入ったからと言って、次回作に期待してはいけないのだ。事実、俺自身、2005年に発表されたAnothr Day On Earthを気に入り、その流れを継承したかのような2008年発表のEverything That Happens Will Happen Todayに一定の満足感を得て、2010年発表のSmall Craft On A Milk Seaに過剰な期待を持ち、「一刻も早く新作を聴きたい!」と、発売が早かった割高な国内盤を予約購入したにも関わらず、期待はずれの今更なアンビエント・テクノな作風に突き落とされ、その後はEnoの作品を追いかけることを止めてしまっていた。
そうだよそうだ。Small Craft On A Milk Sea購入直後に、ここで近いうちに取り上げる、と宣言したものの、結局ポジティブに受け止められなかったので止めたんだったけ。あれは本当に酷かったなぁ。Nerve Netの時にもびっくりしたけど、あのときはアンビエント・テクノの扉を開いたわけで、充分意味があった。それに引き換え、Small Craft On A Milk Seaでは「これは映像を伴わない映画である」みたいな事を言って、気を持たせておきながら出した結果があまりにも雑多でまるでMusic For Filmsの出来損ないみたいな中途半端な駄作だった。俺の感性が鈍いのかどうかわからんが、どこをどう聴いても何も情景らしきものは想起できなかったし、あまつさえ聴く事に苦痛さえ覚える局面もあった。
あ、思い出したぞ。世間では名盤の誉れ高いMusic For Filmsは、映画製作関係者に「こんなん出来ますけどどうですか?ご依頼お待ちしてま~す」と、プロモーション目的でばらまいた自主制作盤を編集して一般販売したんだったけ。映像作品とのコラボレーションによほど魅力を感じていたんだろう。しかしだからと言って、自らの作品を「映像の無い映画」と宣言するなんて、大言壮語もいいところだ。製作開始時点でそういうコンセプトがあったのかどうか、機会があったら真偽の程を小一時間問いつめたい。
ま、それはさて置き。
私がSmall Craft On A Milk Seaで苦々しい思いをして作品を追いかけるのを止めていた間に、こんなん出していたんですね。Enoさん。全然知りませんでしたよ。
Lux / Brian Eno
2012年に発表されていた、なんだか化粧品メーカーみたいな名前のこの作品、久々に「これぞアンビエント、Enoの真骨頂!」と思える出来。ノンリズム、散発的なメロディー未満の音がほとんど規則性を持たずに延々と配置されている。ピアノのような音も聴かれるが、ほとんどシンセサイザーで演奏(?)していると思われる。収録されている曲は合計4曲、それぞれが20分近くあり、順番に、Lux 1、Lux 2、Lux 3、Lux 4と、なんとも簡潔にして潔くも素っ気ない曲名が与えられている。この作りからは、名盤、Music For Airportが思い出されるが、Music For Airportのように曲によって音像が異なる訳でもなく、どれもこれも似たような雰囲気、かつ印象で、あえて言わせてもらえれば、全編を通して、Thursday Afternoonのような雰囲気を醸し出している。試しに、Thursday Afternoonと同時にかけたら、違和感無く聴けた(笑)。
この作品、Enoが提唱する、Music For Thinkingの3作目、という位置づけになっているらしい。以前、Neroriを購入した際、Music For Thinking Vol.2、という表記があり、「じゃあVol.1もあるんだろうが、どれなんだろう?」と疑問に思っていたのだが、どうやらDiscreet Musicがそれにあたるらしい。全然知りませんでした。
Music For Thinkingなるプロジェクトのコンセプトについて、正確なところは知らないし、調べようとも思わないが、俺は、「頭を使う時に邪魔にならない音響作品」もしくは、「深い思考の環境を作る作品」なのではないか、と勝手に思っている。事実、極端に音数が少ないNeroriは、考え事をするのに一切邪魔にならかった。というより、音の存在感があまりにも希薄で、気にならなかった、とも言えるのだが、では、このLuxなる作品が思考の邪魔をしないか、と言えるかと言うと・・・う〜ん、どうなんだろ?ちょっと微妙。若干音がシャープで、アタックが強めの音を選んでいるせいか、これを聴きながら深い思考を行うことは俺には無理かも。
ま、いずれにせよ、Enoの大きな魅力の一つである、静謐なアンビエントアプローチがなされた作品であることは間違いなく、流して聴いている分には心地よい。名盤、と言えるかどうか微妙なところだが、アンビエント作品として良作であることは間違いなく、前述の通り、Thursday Afternoonあたりが好きな人にはお勧めする。
発表は2012年、現在のところ最新作のようであるが、Enoのペースを考えると、そろそろ新作を出してくるような気がするが、どうなるんだろう?一連のMusic For Thinking作品の発表が、1975年、1993年、2012年と馬鹿みたいに間が空いている事から察するに、また作風を変えてくるような気がする。次回作は、Small Craft On A Milk Seaの時のように浮き足立って予約購入はせず、ちょっと様子を視るつもり。
でも、結局、Enoは無視出来ないんだけどね。本当に悩ましい。
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by makimaki (2014-02-13 18:17)
makimakiさん、ご来訪ありがとうございます。
by lagu (2014-02-16 21:11)