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家具としての音楽 (AMBIENT 2 : Plateaux Of Mirror / Harold Budd & Brian Eno) [Ambient/New Age/Experimental]

先週水曜日の夜、あまりにも苦しく、「こりゃただごとじゃないぞ」と、病院に行ったらなんとインフルエンザだった。体調の悪い時はあんまり主張する音楽は聴きたくないもんだ。

と、いうわけで、こんなのを聴いていた。

AMBIENT 2 : Plateaux Of Mirror / Harold Budd & Brian Eno

ambient 2.jpg


1980年発表、環境音楽の金字塔。発売当時の邦題は「鏡面界」

非アカデミックながら環境音楽の巨匠、Brian Enoのアンビエントシリーズ第2作目となるこの作品は、Harold Buddとのコラボレーション。Enoのソロ名義作品であるシリーズ第1作、Music For Airportに比べればだいぶ音楽の体裁をしている。
珠玉の合計10曲中、5分以上の曲は2曲のみで、最も短い曲は2分に満たない。Harold Buddの奏する美しいピアノにBrian Enoが様々な音響処理を施し、幽玄な世界を現出させている。その音の印象を例えるなら、清冽な岩清水、朝靄に煙る森、空の青さを映しながらさざめく水面。各曲は大きな盛り上がりを見せることなく、けれんみなく淡々と演奏されており、聴き手に主義主張を押し付けるようなことはない。自宅で何かしながら(読書等、あまり活動的ではない行為)、もしくは何もせずに聴くのに最適だ。
こうして文字にすると、「音色がきれいなだけで印象に残らないニューエイジミュージック」という印象になるが、とんでもない。内容が無いから「聞き流せる」のではない。それが流される環境の一部となるように創られているからこそ、部屋の空気に溶け込むのだ。さらに、ただ溶け込むだけではなく、その空間をより「心地好い」ものに変える。この音に身を任せていると、心のささくれだった部分が修復され、穏やかな気分になる。エリック・サティが提唱した「家具の音楽」、即ち、インテリア・ミュージックとして最上級の作品と言って間違いない。良質のインテリアはそれが置かれる空間の雰囲気を変えるのだ。
百花繚乱の音楽文化の中にあってひときわ凛とした佇まいを見せているこの作品の輝きは、発表から四半世紀以上経った今でも全く変わることが無い。これはこの音楽の価値が時勢に左右されることのない普遍的なものである証拠だ。
ショップのヒーリング/ニューエイジのコーナーで、「癒し」のキーワードがちりばめられたCDを衝動買いし、「なんかいまいち…もっと癒されるのが欲しい…」と、出所不明の駄作を複数渡り歩くくらいなら、この作品が一枚あればたいていの場合は事足りるはずだ。俺は間違いなくこれからもこの作品を聴きつづける。

この作品については非の打ち所が無い、というより、文句を言う気も起きないくらい素晴らしい作品なのだが、あえて一点だけ難点を挙げるとするなら、アナログ盤のB面一曲目に収録されていた曲が他の曲に比べてピアノの音が生々しく、かつ、音量もちょっと大きめなのだ。これはレコードでA面、B面と聴き分けている分にはいいのだが、CDでシームレスに聴いているとちょっと違和感を覚える。特に寝ながら聴いているとここで目が覚めてしまう…と、いうわけで、この作品は俺の入眠用CDの選択からは外れている。


ザ・プラトウ・オブ・ミラー(紙ジャケット仕様)

ザ・プラトウ・オブ・ミラー(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ブライアン・イーノ,ハロルド・バッド
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/12/22
  • メディア: CD


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はるらら

ぱうだーさんとこから、やってきました。
すごい知識ですね。勉強になりました。
渡バリ4回でスマララティは4回行ってます。
ヤマサリも11月に行きました。
難しい事はわかりませんが、ガムランには
痺れます。3月渡バリの際には、スマララティ(土曜と火曜)、
ヤマサリ、行くつもりです。
又、ガムランについて、御教授願います。
by はるらら (2006-01-24 20:58) 

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