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Larks' Tongues In Aspic(15枚組)とSailor's Tale(27枚組)到着 [Progressive]

昨日、Amazonからの「発送しました」メールに戸惑う間も無く唐突に本日到着したKing Crimsonの超絶ボックスセット、Larks' Tongues In Aspic(15枚組)とSailor's Tale、それぞれの予定納期は5月下旬と6月上旬だったのだが、1ヶ月近くも早く納品された。
 
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先に到着したLarks' Tongues In Aspicを十分堪能したのちにSailor's Taleが到着、じっくりと鑑賞する目論見は脆くも崩れた(笑)。現在心して対峙すべき42枚ものディスクを目の前に怖気付き、開梱すら躊躇っている・・・




Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]

Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]

  • アーティスト: King Crimson
  • 出版社/メーカー: Panegyric
  • 発売日: 2012/11/13
  • メディア: CD





SAILORS' TALES (1970-1972) [21CD+4BLU-RAY+2DVD BOXSET]

SAILORS' TALES (1970-1972) [21CD+4BLU-RAY+2DVD BOXSET]

  • アーティスト: KING CRIMSON
  • 出版社/メーカー: PANEGYRIC
  • 発売日: 2017/11/03
  • メディア: CD



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Fear Inoculum / TOOL [HM/HR]

ようやくここに到達した。あ、いや、この作品が待ちに待った新作、という意味ではなくて、俺自身がこの作品についての記述をまとめる気になった、という意味なのだが。
 

Fear Inoculum / TOOL

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とりあえず、この作品の外郭を整理しておこう。アメリカのProgressive Metal(っていうのもなんだかしっくりこないが)の雄、TOOLの13年ぶり(!)の新作。フルレンスアルバムとしては5枚目に当たる。

このバンド、ジャケットのアートワークへのこだわり様が尋常ではない。この傾向は2作目にあたるÆnimaから顕著であるが、前作、10,000 Daysでは立体メガネまでジャケットに組み込み、奥行きのあるちょいグロで不可思議なアートワークで楽しませてくれた。が、今回はなんとジャケットに液晶ディスプレイを埋め込み、動画でアートワークを提示するという常軌を逸したともいえる行動に出た。これは初回版に限った完全限定プレスだそうで、本国アメリカでは50ドルほどで流通しているようだが、日本での流通量は極端に少なく、先日、Amazonに¥50,000の高値で出品されているのをみて呆れ返った(笑)。もちろん液晶ディスプレイにどのようなアートワークが表示されるのか興味はあったものの、前述の通りとんでもない金額設定がなされており、たまにタワレコなどで¥10,000程度で出ているのを発見し、購入に踏み切ろうとするもオンラインショップでの取り扱いがなかったりで、それならとりあえず簡易盤でいいや、と思ったものの、なんと発売は数カ月先になる、との情報が。そんなんありかい。

そして発売日である8月30日から1週間以上もダウンロード購入に踏み切れずに悶々としていたが、思い余ってついにAmazonからダウンロード購入。この3ヶ月聴きまくり、現在に至るわけである。


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肝心の収録内容だが、全10曲中、6曲までもが10分超の大作。合計90分近い長尺の作品である。

が、CDの規格では80分が限界のはず。実際に聴いて調べてみたところ、ダウンロード版に収録されている10分未満の曲の4曲は、曖昧な音響が不安を煽る、いわゆる「実験的作品」で、バンドらしいアンサンブルは皆無。内3曲がCDではオミットされていた。唯一CDに収録されているChocolate Chip Tripなる5分弱の曲はドラムソロの口実であることは明白であるが一応曲の体裁を成している。他方、オミットされた3曲はInterludeとして、また、高価なフィジカル版の購入を躊躇している俺のようなリスナーの背中を押すデジタルセールスの向上に貢献する「オマケ」として有用に作用している(笑)。が、正直言えば作品全体の「流れ」を構成するパーツとして欠かせないものであるか、と訊かれれば、否、である。俺自身、これらの小品はスルーすることが多い。

と、なると、評価の対象はやはり10分超の大作、6曲なのだが。


これは凄い。

今までのTOOLのシグネイチャーサウンドを踏襲しつつも、一回り大きくなった。とにかく作品の「幹」とでも言えそうな物が太く、もちろん音もとてつもなく太く、圧倒的な威厳に満ちている。

今作も複雑な変拍子やポリリズムを多用しているが、聴いていて不自然さは無い、と言うか、ついつい聞き入ってしまう。ギターとベースの拍がずれていく局面で「それでいいのか?」と思う向きもあるやもしれないが、最終的にちゃんと辻褄が合うようにアレンジされており、安心して音に身を任せられる。これらは80’s King Crimsonの手法だ。

要所において、サントゥール、タブラ、カリンバ等の民族楽器の音も聞かれるが、いわゆるエキゾチシズムに逃げ込むような安易な真似はしていないばかりか、アンサンブルにしっかりと溶け込むのみならず、楽曲中の必然性が割り当てられている。

成り行き任せの冗長なギターソロはない。唯一、アルバムのハイライトである7empestにおいて長めのソロこそあるものの、これとて綿密に設計されている。ボーカリストは感情的に叫ぶことは一切なく、強烈な引力のある声で冷静に歌い上げる。ベースはギターに比べると軽めな音響設計だが、時としてギターをも凌駕するほどの自由度、というか、ギターのリフ以上の責任を課され、アルペジオや多弦弾き等、様々な小技を繰り出しつつも禁欲的に演奏に臨んでいる。ドラムはかなり能弁であるが、役目を逸脱して暴走することはない。そして鉄壁のアンサンブル。兎にも角にも音のピースが複雑に、かつ寸分の狂いもなく組み上がっていく様は圧巻。この感覚は、あたかも奇妙で巨大な建造物が出来上がっていく過程を目の当たりにしているかのようである。

 


 
あるインタビューで、前作からこのアルバムの発表まで13年もかかった理由として、前作を超える作品を作らねばならないというプレッシャーに取り憑かれていた、という意味のことをボーカリストが言っていたが、これなら納得だ。俺たちも13年間待った甲斐があると言うものだ。


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冒頭、TOOLについてProgressive Metalという表現を使ったが、もちろんあれは便宜上のものである。音は間違いなくヘヴィであるしメタリックでもある。が、前述の通り、感情に任せた無作法なシャウトや、テクニックを誇示するようなギターの超早弾きも無い。そしてスピードチューンも一切ない。アルバム全体を聞いて受ける個人的な印象は、やはりKing CrimsonやPeter Gabriel時代のGenesisあたりで、いわゆるHeavy Metalとはかけ離れた位置に定位する。多分に大作主義がそう感じさせていることもあえて否定はしないが。


結論。この作品は安易に消費的に聞き流すべきではない。むやみに頭を振らずにじっくりと時間をかけて鑑賞すべき芸術作品だ。メタルな耳触りに惑わされてはいけない。それは彼らが仕掛けた「罠」である。


と、いうわけで、名作確定。文句なしの責任推奨。少なくとも俺にとっては今年一番の収穫。ロック愛好家を自認する者なら、覚悟を持ってこの音と対峙すべきである。


【追記】ようやく簡易版のCDが発売された。と言ってもギタリスト、Adam Jonesの手によるグロテスクなアートワークが十分堪能出来る豪華な装丁で、初回盤のジャケット内臓ディスプレイに表示されていた動画のダウンロードキーも付与されていると言う。値段も高めだが、TOOLのファンならこれを買わないという選択肢は・・・う〜ん・・・



Fear Inoculum -Digi-

Fear Inoculum -Digi-

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: CD



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困った・・・ [HM/HR]

TOOLのFear Inoculumについて書きたいのだが、あまりにも内容が凄すぎて文章をまとめられない・・・

困った・・・

 
 
 
Fear Inoculum

Fear Inoculum

  • アーティスト: TOOL
  • 出版社/メーカー: Rca
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: CD



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The great gong kebyar of the 1960s. [ガムラン]

春も目前だし、久々にガムラン、である。

 
先日、「最近あまりガムラン聴いて無いな・・・そうだ、あれ、久しぶりに聴いてみるか」と、深く考えずにこの作品に手を伸ばしたのだが、改めてその素晴らしさを確認した。


Les Grands Gong Kebyar Des Annees Soixante
 
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この作品、ラジオ・フランスの名門レーベル、ocoraから発表されたGong Kebyarの名楽団、4組の演奏をオムニバス収録したCD2枚組。録音は1969年、1970年、1971年にかけて行われたらしい。もしかしたら以前はレコードで発売されていたのかもと思い、ちょっと調べたのだが1994年にCDでリリースされた以前の記録は見つけられなかった。

俺自身は発表間もない頃に予備知識もなく偶然新宿のVirgin Mega Storeで発見、大興奮しながら商品を手に取るも値段を見るなり予想をはるかに上回る高額(確か¥7,000超)に毒気を抜かれ、一旦は棚に戻して店を出た。が、「今日、ここで買わなければ次の出会いは無いかもしれない」と思いあぐねて新宿駅から引き返し、意を決して購入した思い入れの深い(笑)作品である。

収録されている4楽団は、硬質な印象のSawanの楽団、Anack Agung Gede Mandera率いるGunung Sari、重厚な印象のPindaの楽団、素晴らしくバランスのとれたTampaksiringの楽団。

せっかくだから簡単に個別の楽団の演奏について触れてみよう。

Sawanの楽団の演奏は3曲、全て舞踊の伴奏曲であるが、一曲目のTaruna Jaya、これが白眉だ。勿論この曲は、Gong Kebyarの巨匠、Gede Manikの手によるもので、創作されたのが半世紀以上、いや、一世紀近くも前である、という事実に改めて驚きを禁じ得ない。現在、バリ島各地で開催されている観光客向け公演で上演されることの多いこの演目は、通常12分程が一般的であるが、この時点での録音では16分超もある。この曲の冒頭部分はノンリズムの交響楽風の豪奢な演奏が長時間続き、プロローグ的な役割をも果たしているのだが、この部分が非常に長く、かつ現在では聞かれないアレンジである。勿論、舞踊家が登場してからの尺も長く、次から次へと様々な表情を見せては変容していく様は圧巻。ある意味、過度に情緒的にならずにぐいぐいと突き進んでいくその様はGong Kebyar発祥の地、Buleleng地方の楽団の面目躍如と言ったところか。
 
さて、Gunung SariについてはOleg Tamulilingan、Legong Keraton、Kapi Rajaが収録されている。実に的確な選曲。唯一、Legong Lasemが短縮版なのは残念だが、特筆すべきは現在においてもGunung Sariの最重要レパートリーとも言えるOleg Tamulilinganだ。この演奏におけるスリン奏者のフレージングの創造力、自由度は圧巻。ツボを外すことなく素晴らしい集中力で縦横無尽に吹きまくる。圧倒的に豊かな表現。この演奏はおそらく、いや、絶対にスリンの達人、Gusti Putu Okaさんだ。個人的にはこの一曲だけのためにこの作品を買って良かった、と思えたほど素晴らしい。

CD2の冒頭、Pindaのグループが演奏するのは、27分、16分の長尺のルランバタンの2曲。2曲目のSemarandanaという曲においては主旋律はUgalが担当しているが、Lelambatan形式の曲のはずだ。威厳を感じさせる堂々とした演奏は格調をを感じさせ、実に素晴らしい。いずれにせよ、Pindaの楽団の演奏がこの位置に配列されていることによって、この作品の「流れ」とでも言えるものが出来上がっている。

最後に控えしTampaksiringの楽団の一曲目は近代Gong Kebyarの傑作、Gede Manikの手による名曲Manuk Anguciだ。耳を奪われる印象的な曲展開、様々な演奏技法の提示。10分を超える曲中にこれでもかと投入されているGong Kebyarのエッセンス。この曲が現代のKreasi Baruのお手本の一つになったことは容易に察知できる。続く最終曲はWayan Lotringの手によるPelayon、これは曲としてはいわゆるKebyar Dudukなのだが、実に流麗な旋律、そして魅力的な演奏だ。


以上、合計10曲にして2時間超。実に充実した内容。1920年代終盤に生まれたGong Kebyarという近代ガムランの音楽文化が、上り調子でぐいぐいと突き進んでいた黄金期の局面を切り取った名盤、と言って差し支えないと思う。
音質面については50年も前の現地録音なので、超良好というわけにはいかないが十分許容範囲。ブックレットも実に充実していて資料的価値も高いし、ガムラン愛好者には是非購入をお勧めする、と、ここでAmazonを調べてみたらやはり新品の取り扱いはなし、中古盤は・・・おいおいおいおい、¥26,000もするのかよ!う〜ん・・・ま、とにかくショップで万が一売れ残っているこいつを見かけたら、迷うことなく連れ帰って欲しい。バリの現在の芸能文化に繋がる貴重な記録であると同時に、録音から半世紀が経過しようというのに十分楽める芸術作品だ。

あ、ちなみにジャケットの写真はLegong Lasemを踊る若き日のIbu SriとIbu Nyomanだと思われる。当然、この頃はTirta Sari結成前なのでGunung Sariでの撮影だろう。

 
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それにしてもだよ。Radio Franceが少なくとも3年にわたる取材でたったこれだけの録音しかしていないとは到底考えられないのだよなぁ。おそらく、各楽団で1作品作れるだけの録音はしているはずだ。勿論、商業作品として成立させるためにはこのくらいのボリュームでこの選曲が最適、と判断したからこそこういう売り方になったんだろうが、こういった歴史的に価値のある録音はなんらかの形で世の中に出して欲しい。おそらく、俺と同じように感じている人も多いと思う。

勿論、素晴らしい音楽作品は充実した解説付き、美しいデザインのジャケット付きで「モノ」として所有はしたいよ。でも「商品」として流通させるにはコストの面で見合わないのなら、「作品」という体裁ではなくとも良いから「記録」として最低限の文字情報と共にダウンロード販売でもしてもらえないだろうか?

でも、もしそれが実現した結果、とんでもない量の録音が巷に氾濫、文化的な希少価値が薄れ、製品化されたものの売り上げにすら影響することも考えられないでもないけど・・・



だめか・・・やっぱ、だめなんだろうな・・・

 
 
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Bohemian Rhapsody : Original Motion Picture Soundtrack / Queen [HM/HR]

先日公開され、各所で話題になっている映画、Bohemian Rhapsodyを観た。とは言っても、実は試写会で公開より2週間以上も前に観ていたのだが。
 

以降はネタバレを含むので、映画を観に行こうと思いながらもまだ観られていない人は注意。


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今更断るまでもなく、この映画はQueenのボーカリストにして不世出のカリスマ、Freddie Mercuryの半生を描いたものだ。物語はあくまでもFreddieを中心に進行するので、他のメンバーの個人的なエピソードは皆無に等しい。
とはいえ、Queenがどのように誕生し、どのように成長し、どのようにメンバー間に軋轢が生じ、どのように復活を遂げたのか、そしてその裏にはどのような背景があったのか等が鮮やかに描かれており、全てのQueenファンが満足できる内容になっている。QueenのメンバーであるBrian MayとRoger Taylorが全面的に監修しているようなので、エピソードは限りなく真実に近いのでであろう。(後日記:と思っていたのであるが、検証してみたところ、主に時系列の歪曲による若干の虚飾があることが判明。ストーリーをドラマチックに仕立て上げるための作為であることは想像に難くない)

また、メンバー役の役者もなかなか似ており、特にBrian May、短髪になってからのJohn Deacon役の役者は本人かと見まごうばかりだ。Freddie役の役者も若干線が細めながらも、ステージシーンでの身のこなし方等、実に堂々と演じ切っている。圧巻。
 

そして忘れてはならないこの映画の大きな魅力、それは劇中に散りばめられたQueenの名曲の数々、これをコンサートさながら、即ち自宅では到底不可能な大音量で聴ける、ということだ。
 

実際に演奏シーンも随所にあり、これには当然Queenの音源を使用している。つまり、役者は「あてぶり」をしていることになるわけだが、各メンバー役の役者は楽器演奏の指導を受け、音こそ収録されていないものの実際に演奏しているのだという。勿論、Freddie役は実際に歌っているそうだ。
特にBrian May直々に指導を受けた役者の出来上がりはなかなかだ。俺自身もQueenの曲は何曲かギターでコピーしたことがあり、演奏シーンにおいて「本当に弾いているのか?」と、猜疑心を抱きながら役者の指先を注視したのだが、少なくともWe Will Rock Youのギターソロにおいて役者の左手は俺がコピーしたのと同じフレット上にあるのを確認した。と、言うことは俺のコピーも正しかったということになる(笑)。

そういった演技の枠を超えた役者の努力が結実し、演奏シーンにおいても不自然さが一切ない。これにより映画の世界に自然と入っていける。これは素晴らしいとしか言いようが無い。


ただ、残念なことに全ての曲が最初から最後までのフルバージョンで聴けるわけではない。だいたいそんなことしたら物語が全然展開しない(笑)。多くの曲はエピソードの一部として、またはエピソードを飾るバックミュージックとして扱われているので、不自然な編集が施されている曲がほとんどだ。「あの曲、最後まで聴きたかったのに〜」と、思うこともあるだろう。


そういう不満を払拭するためには、この映画のサントラ盤を聴くしかない、かもなぁ。
 


Bohemian Rhapsody : Original Motion Picture Soundtrack / Queen


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今回、映画としてのBohemian Rhapsody、そしてこのアルバムを編集・制作するにあたって、ほとんどの曲でリマスタリングを施している、と思われる。いや、もしかしたら少し音量を上げただけかも(笑)。ま、いずれにせよ途中でカットするような事はせずに全曲最後まで収録されている。

出来ることなら全ての曲について熱い想いをぶつけたいところだが、このアルバム、CD媒体の限界である80分近く、22曲も収録しているので、そんなことしてたら全ての気力・体力を使い果たしてしまう。と、いうわけで、俺的な聞きどころを何曲か挙げてみたいと思う。勿論、これらにも映画のネタバレが含まれている。
 
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1曲目の20th Century Fox Fanfareは、言うまでもなくこの映画の配給会社、20世紀フォックスのロゴとともに流れるあのおなじみのファンファーレであるが、これがBrian Mayのギターオーケストレーションによって演奏されている。当然、新録。もちろん実際の映画でも使用されている。実に華やかなオープニング。

Queenのデビューアルバムに収録されていたDoing All Rightは、Brian MayとRoger Taylorが在籍していたQueenの前身バンド、Smile名義になっている。この楽曲は、Smile唯一の商業作品、シングル盤として発表されたものだ(注:他の説もあり)。今回、映画のために当時のボーカリストを引っ張り出して再レコーディングしたものらしいのだが、これが意外にもイけてる。改めてSmileのオリジナルバージョンを聴いてみると、すでにこの時点でQueenの魅力の一つである重厚なコーラスワークが確立していたことがわかる。当然、劇中にもSmileの演奏シーンがある。

We Will Rock You (Movie Mix)は、スタジオ録音から始まって、途中でライブ録音に切り替わっている。劇中でもそのような使われ方をしていた(ような覚えがある)。

Don’t Stop Me Nowには大胆な手が加えられている。本来、この曲のギターの出番はソロだけであったのだが、今回サイドギターが全編にわたって追加された。また、ソロも微妙にフレーズが異なる部分が聞いて取れたので、録音しておきながらもミックスダウンの過程でオミットされていたトラックを使用して再トラックダウン、もしくは部分的にBrian Mayによって再録されたのだろう。もともと躍動感溢れる表現が大好きな曲だったのだが、新たな魅力を獲得した。

さて、アルバム終盤にまとまって配置されているLive Aidでの演奏、これがクライマックスだ。映像作品としてはLive Aidのみならず、Queen名義の作品でも流用されているようだが、CDに収録されるのは今回が初めてとのこと。歴史的な名ステージだったのに、収録されているのは劇中で再現された4曲のみなのが残念。どうせならこの機会に他の曲を削ってでも30分弱のステージの模様を全て収録して欲しかったが、特筆すべきはFreddieが曲間で観客を煽る模様が別トラック化され、Ay-Ohという名前で収録されていることだ。75,000人の大観衆とFreddieの掛け合いは素晴らしい一体感。命の輝きを感じ、熱いものが込み上げてくる瞬間だ。
 

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前述の通り、映画の中では収録されている曲の全てが最初から最後まで使用されているわけではない。好きな曲なのに途中でカットアウトされてフラストレーションを感じた人はこのアルバムを聴いて溜飲を下げることが出来るだろうし、主要曲は網羅されているのでベスト盤的に聴くことも可能だ。

と、言うわけで、熱心なQueenのファン、映画を観てQueenに興味を持った人限定で推奨します。


Anyway、まずは映画、Bohemian Rhapsodyを劇場で観よう。話はそれからだ。そうだろ、Freddie?




ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: CD


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