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Larks' Tongues In Aspic(15枚組)とSailor's Tale(27枚組)到着 [Progressive]

昨日、Amazonからの「発送しました」メールに戸惑う間も無く唐突に本日到着したKing Crimsonの超絶ボックスセット、Larks' Tongues In Aspic(15枚組)とSailor's Tale、それぞれの予定納期は5月下旬と6月上旬だったのだが、1ヶ月近くも早く納品された。
 
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先に到着したLarks' Tongues In Aspicを十分堪能したのちにSailor's Taleが到着、じっくりと鑑賞する目論見は脆くも崩れた(笑)。現在心して対峙すべき42枚ものディスクを目の前に怖気付き、開梱すら躊躇っている・・・




Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]

Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]

  • アーティスト: King Crimson
  • 出版社/メーカー: Panegyric
  • 発売日: 2012/11/13
  • メディア: CD





SAILORS' TALES (1970-1972) [21CD+4BLU-RAY+2DVD BOXSET]

SAILORS' TALES (1970-1972) [21CD+4BLU-RAY+2DVD BOXSET]

  • アーティスト: KING CRIMSON
  • 出版社/メーカー: PANEGYRIC
  • 発売日: 2017/11/03
  • メディア: CD



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Emerson, Lake & Palmer (エマーソン、安らかに眠れ) [Progressive]

ロックの表現、文化に革命を起こした偉人、Keith Emersonが亡くなった。享年71歳。頭に銃創があることから、警察は自殺と見て捜査を進めているそうだ。4月には来日ツアーも予定されていたってのに、いったい何があったんだろう?
 

Keith Emersonは、ロックバンドの編成にはギター専任奏者がいる事が常識だった時代に、自ら結成したバンド、Emerson, Lake & Palmerによって、キーボード中心のトリオ編成というフォーマットを提示し、ロックファンを驚愕させた。また、ムーグ・シンセサイザーが楽器として途上段階から積極的に演奏に取り入れ、効果的かつ印象的なフレージングと音色を聴かせていた。開発者のムーグ博士自身も、「ムーグ・シンセサイザーのロックでの使い方はKeith Emersonが完成させた」と、公言しているほどのパイオニアだ。

音楽表現においては、Nice時代からクラシック音楽とロックとの融合を積極的、かつ継続的に試み、大きな成果をあげた。自分が実際に原曲を聴いて出典を確認しているだけでも、Emerson, Lake & Palmerのデビュー作から5枚目のBrain Salad Surgeryまで、全てのアルバムでクラシック、およびクラシック手法による現代音楽からの引用を行い(ネットで調べたところ、Works以降もやっていたようだが)、クラシック音楽をそのままロックのフォーマットに置き換えて演奏している曲さえある。その最たるものが名盤、Pictures At An Exhibitionであることに異論を唱える者はいないだろうし、俺自身がそうであったように、この作品をきっかけにしてクラシック音楽を積極的に聴くようになったロックファンも多くいたはずだ。近年では2ndアルバムに収録されている表題曲、組曲Tarkusが、交響曲として編曲され、実際にオーケストラで演奏され作品化されるという逆転現象も起こっているし、その作品が大河ドラマのテーマ曲として使われたのは多くの人の知るところだろう。これらの事実は、Emersonがロック界のみならず、クラシック音楽の世界にまで影響を与えた偉人であることを証明している。

俺がEmerson, Lake & Palmerを知ったのは4枚目のアルバム、Trilogy発表直後だったが、強烈な引力のある威厳のある音に一発でやられ、Rock好きの年上の従兄弟から過去作品の全てを速攻で入手、熱狂的に、それこそ狂ったように聴いていた。程よい暗黒感を漂わせる楽曲の数々、時折Greg Lakeが醸し出す叙情性、そして何よりEmersonの超絶プレイ、暴力的パフォーマンスには完璧に打ちのめされた。
 
これは1970年発表、バンドの名前(って言ったって、メンバーの名前を羅列しただけだが)を冠した記念すべきデビュー作。


Emerson, Lake & Palmer

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歪みきったベースの音が強烈に印象的なThe Barbarianでアルバムは幕をあけるや否や、間髪入れずにEmersonが重厚なハモンド・オルガンで畳み掛けてくる。中間部ではスピーディーでスリリングなピアノを聴かせ、終盤には再びハモンド中心のヘヴィーなアレンジに回帰してくる。デビューアルバムの一曲目を飾るのに実にふさわしい威厳のある演奏。この曲の中盤はバルトーク作曲のピアノソロ曲を、ほとんどそのままロックのフォーマットにアレンジしたものである。が、俺が所有しているCD(日本盤)のクレジットを見ると、なぜか作曲はバンド名義になっている・・・ついでに日本語のライナーノーツを見ると、「これはまさにハチャトゥリアン音楽のモダン化である」などとある。ったく、笑わせてくれるぜ。

続くTake A Pebbleは、12分の長尺に、ピアノを中心とした静謐なバンド・アンサンブルが光る名曲だが、めまぐるしく曲調が変化する。中盤ではGreg Lakeが無伴奏でアコースティック・ギターのソロを聴かせる。バンドの持っている可能性を提示する為の曲、とも思えるが、やはり圧巻なのは終盤、一気に駆け抜けるスピード感のあるEmersonのジャジーなピアノだろう。そのまま大団円を迎えるかと思わせるや一転、冒頭のボーカルを伴うパートに回帰し、荘厳に終わる様は見事。

そしてLPではA面最終曲だったKnife Edgeは、印象的なメインテーマとLakeの低音での歌唱、Emersonの勇猛果敢なソロ、展開部のきらびやかな響きが魅力的な佳曲であるが、実はヤナーチェクの組曲、シンフォニエッタからフレーズを拝借している。実際に原曲を聴いてみると、驚くほど多くの部分がシンフォニエッタからの借用であるにも関わらず、完全にヘヴィなロックナンバーに換骨奪胎されているそのアレンジの手腕には驚かされる。また、展開部ではJSバッハの旋律が聴かれる。

さて、LPではB面の最初を飾っていた組曲、The Three Fates、これはクラシックの素養に抜きん出たEmersonの独壇場、と言って差し支えないだろう。パイプオルガンで荘厳に奏でられる第一楽章が終わると流麗なピアノが美しい第二楽章に引き継がれる。しばしの後、再びパイプオルガンが奏でられ、演奏にドラムが参入、スピード感あふれる最終章へと突入、3分弱を弾き倒すや曲は爆発音で唐突に終了。

そして爆音の余韻の中から始まるTank、序盤2分は決め所はあるが平坦な印象のバンドアンサンブルが続き、中盤2分はCarl Palmerのドラム・ソロが占めた後、終盤にきてようやくEmersonが奏するムーグ・シンセサイザーの音が聴かれるが、全体としては、やはりCarl Palmerに華を持たせるための曲以上の存在理由を考えられない。この曲がアルバム唯一の欠点、と言ってもいいかも。

さて、アルバム最終曲となるLucky ManはLakeの叙情性が全面に出た名曲だ。アコースティック・ギターに乗せて情感たっぷりに歌い上げるLake、不必要な程手数が多いPalmerのドラムも意外に効果的。簡潔ながらも印象的なLakeのギター・ソロも素晴らしい。驚くべきことに、Emersonは最後の1分半程のムーグを使ったソロのみしか出番が無い。
 

こうやって個別に曲を聴いて行くと、それぞれの曲は名曲にして名演と言うにふさわしいクオリティを持っているものの(Tankを除く)、各収録曲の根底に流れる一貫したものが感じられず、この作品を傑作、と断言することにいささかのためらいを禁じ得ない。しかし、バンドとしては、それまで別々のバンドで培ってきた音楽性や表現、そして、過去のバンドでは実現不能だったアイデアを出し合い、このフォーマットでどのような結果が出せるか挑戦してみた結果がこれだったのだろうし、曲配列の妙により、アルバムを通して聴いてみれば不自然さは感じない。
何よりも、Keith Emersonの堅牢な音楽理論、超人的技術に支えられた攻撃的な演奏は他の追随を許さない完成度を持ち、圧倒的な存在感でアンサンブルの中核を形成しているし、Lakeの叙情性も十分に尊重され、一つ間違えると無機質に響く危険性をはらんでいるアンサンブルに色と艶を与えている。この二名のカリスマに挟まれたCarl Palmerは若干可哀想ではあるが、無謀に弾き飛ばすEmersonに小技を繰り出しながら食らいついていくさまは実にスリリング。総じて、若くて意欲のある音楽家達が規制概念にとらわれず、比較対象のないオリジナリティを確立し、その後の栄光への道を切り開いた記念碑的作品だ。間違いなく、名盤保証、っつーか、この1stから5作目のBrain Salad Surgeryまでは全て名盤保証するけどね。


********************


俺の知る限り、Emerson, Lake & Palmerの活動が低調になってからのEmersonは、作曲能力を買われ、映画音楽の作曲等の仕事はしていた様だが、パフォーマーとしての存在感を生かし切れていなかったように思う。一時的にバンドを再結成をしたり、Lakeとツアーを行い、ライブ盤も残したりしているが、正直言えばかつての輝きは感じられなかった。

が、俺はEmersonの創作能力や意欲が失われた結果、活動やその評価が下降線を辿って行った、とは思っていない。幼少期からアカデミックな教育を受けて身につけた音楽理論、クラシック、ジャズ、ロックと、ジャンルを超えた彼のあり余る表現力と互角に渡り合える技術を持った共同作業者が周囲に居なかったが故ではないだろうか?事実、70年代にプログレッシブロックの黄金期を作ったミュージシャンの少なくない数が、80年代以降、同時代に活躍した有名バンドのメンバー達と交雑し、生き残こりの道を模索していたにも関わらず、Emersonはそういった混沌の中には名を連ねなかった。ある意味、あまりその姿を見せる事も無かったにも関わらず、孤高の存在として我々の記憶に残り続けたのは、彼が己の美学を貫き通した結果だったのか。その我々ファンの思いと評価は彼に伝わっていたのだろうか?
 

R.I.P



Emerson, Lake & Palmer

Emerson, Lake & Palmer

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Colum
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: CD



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Tales From Topographic Oceans / YES (R.I.P Chris Squire) [Progressive]

もう一ヶ月近く前になるが。

Chris Squireが亡くなった。

いわずもがな、Progressive Rockの最重要バンドの一つであるYESの唯一のオリジナルメンバーであり、70年代中盤以降、頻繁なメンバー変更、脱退したメンバーの再加入、再脱退が行われる中、一度も脱退せずにYesの看板を守り続けていた、いわばYesの屋台骨だ。その彼が亡くなったというニュースに接した時、正直、「嘘だろ?」と思った。ほどなく、「何らかの形でここでも取り上げなければ」と思ったものの、なかなかどの作品を取り上げるべきか動機が見つからず、とんでもない時間が経ってしまった。


で、昨日思い出した。

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40年程前のある日。学校から帰ると友人から借りていたレコードを誰かが大音量で聴いていた。俺はてっきり年子の弟が聴いているものだと早合点し、「あいつ、断りもなく勝手にかけやがって。傷でもつけたらどうするつもりだ」と、ステレオがあるオヤジの書斎に鼻息も荒く踏み込んだところ、あにはからんや、聴いていたのはオヤジだった。俺に気がつくと向き直って、「おう、これ、なかなかいいな」と一言。普段はクラシックや映画音楽を愛好していた当時40代後半のオヤジが、ビートルズもストーンズもすっ飛ばしていきなりこんな作品に理解を示すとは予想だにしていなかった。

これがその作品。


Tales From Topographic Oceans / Yes

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Yesの6作目のスタジオ作品、邦題は「海洋地形学の物語」

発表はYessongsと同じ1973年、Roger Deanによるジャッケットも美麗な2枚組(作品発表当時)、4面あるLPの片面全てが1曲、合計4曲からなる超大作。そしてその4曲中3曲までもが同じくLPの片面を占めていた名曲、Close To The Edgeより長い!(厳密に言えば、Close To The Edgeはいくつかの楽章から成り立っているが、シームレスに収録されているし、楽章毎に切り分けて聴いている者なぞ居ないであろう)

この構成から、当然、ファンはClose To The Edgeの様な見事な構築美の楽曲を密度の濃い演奏でぶちかました名演が4面にびっしりと詰まっているものだと過剰な期待をした。


が、そりゃ、無茶ってもんです。だいたい、あんなハイテンションな演奏、1曲20分として合計80分、続けて聴けますか?(笑)


この作品、「冗長な駄作」だの、「癒し系のプログレ」だの、「実験的作品」だの、果ては「ここからYESの迷走が始まった」だのと、とにかく評価がまちまちで、あまり好意的な意見を聞いた覚えがないが、俺に言わせれば、時間をかけてじっくりと聴かせ、最後に最良の結果を出すべく綿密な戦略のもとに作品作りに取り組んだ一大叙事詩だ。ま、前年に発表したClose To The Edgeが成功したからこそ出来た冒険であることは間違いないと思うが。

そもそもこの作品、1973年にClose To The Edge Tourの一環で来日した際、Jon Andersonが読んでいたヒンズー教の教典にインスピレーションを受け、Steve Howeと構想をまとめた、という逸話は有名であり、この事からも容易に察することが出来るように、エピキュリアン的発想から離れたところに基本構想が立脚しているわけであるからして、多少難解なのは当然なのだ。

収録されているのは、哲学的かつ静謐な印象のThe Revealing Science Of God、牧歌的な雰囲気が魅力的なThe Remembering、トライバルなアプローチが意表をつくThe Ancient、そしてスケール感のでかいRitualの全4曲。それぞれの曲は、厳密に楽章こそ区切られていないものの、曲が進行するにつれ様々な表情を見せる。にも関わらず、その印象は他の曲と明確に区別できるだけの独立性を保っている。これは各楽曲のコンセプトがしっかりしているからこそ実現可能な技だろう。つまり、ミュージシャンの自己顕示欲より作品全体の収まり具合を優先しているのだからして、部分的には多少地味な印象を与えるつくりになってしまうのは致し方無いのだ。

が、そこは曲者の彼ら、要所ではミュージシャンシップの高さを見せつけている。特に作品作りの中心にいたSteve Howeは様々な弦楽器を駆使し、ほぼ全編にわたって活躍しているし、この作品からスタジオに入ったAllan Whiteも、安定した重厚なドラミングで複雑なアンサンブルにしっかり貢献している。また、最終曲、RitualにおけるChris Squireの存在感は圧倒的。特に中盤以降、アルバムが大団円に向かって突き進んで行く高揚感を作り出しているのは間違いなくChrisのベースソロだ。

総じてこのアルバム、部分だけを取り出しても本当の魅力は見えてこない、と思う。時間が充分ある時に、合計80分を通して聴けば、「なるほど。そうか」と、腑に落ちるはずだ。Progressive Rockのファンで、発売当時に好意的に受け止められなかった人は、今一度、じっくりとアルバム全体を俯瞰的に鑑賞してみることをお勧めする。

それでも、どうしても一曲だけ、となると・・・う〜ん、やはり躍動感あふれる序盤から開放感のある中盤に自然に繋がり、たおやかなベースソロから一転、唐突に展開した後、ひとしきりの混沌から冷静さを取り戻し、静かに収束していく終盤、と、構成が見事なRitualかな。って、今、聴きながら記していて気がついたが、このRitualって、結構な名曲かも。


それにしても、唯一のオリジナルメンバーを失ってしまったYesは今後どうなっていくのだろう?療養の為に事前にChrisの不参加が決定していた今年のツアーは代役をたてて乗り切るようだがその後は?と、オフィシャルページを見たら、なんと来年のツアーのスケジュールが発表されていた。それも、アルバム、FragileとDoramaの再現ツアーのようだ。
アルバムとしてのFragileを再現するってことは当然、The Fishも演奏せざるを得なくなる訳だが、いったいどうなんだろ?そもそもFishってのはChrisのニックネームだったわけだし、Fragileでは主にベースの多重録音で出来上がっていたあの曲は、ライブ盤、Yessongsにおいては重ねられていたフレーズを個別に提示しながらアドリブを入れて行く、という手法で、絶大な効果を上げていたが、あれをChiris以外のミュージシャンが演奏するなんて考えられない・・・

R.I.P



海洋地形学の物語

海洋地形学の物語

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2010/05/26
  • メディア: CD



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Progeny: Seven Shows from Seventy-Two / YES [Progressive]


YESが14枚組のライブ盤を発売するらしい。


マジかね?
 

1983年、大幅なメンバー交代とともに大胆なアプローチ変更を行い、90125を発表したYESは、シングル曲、Owner Of A Lonely Heartを大ヒットさせ、過去の業績を捨て去りポップバンドへと転身。続く同一路線のBig Generatorで二匹目の泥鰌を狙うも見事にコケてしまい、一般に「ロンリーハートをヒットさせた一発屋」のイメージを定着させてしまう。その後はめまぐるしくメンバーの脱退、再加入を繰り返すのみならず、一時は脱退した主要メンバー達が別プロジェクトを立ち上げ、本家YES、元祖YESとも言えるような2つのバンドが同時進行で活動を行ったり、かと思うと一つに統合されたり、注視していないと何がどうなっているんだかわからないカオスな状態が慢性化し、昔からのファンをうんざりさせていた。正直、俺もほとんど興味を失ってしまい、Big Generator以降は聴いていない作品もある。近年は新曲のみの新作を発表して意欲を見せたかと思うと、「懐メロバンド」と揶揄されても反論出来ないような黄金期の曲ばかりのライブ盤を複数発表したり、と、節操無く・・・失礼、精力的に頑張っているようだ。


が、今回発表するライブ盤の録音は1972年に2回行われた北米ツアーの後半の模様らしい。つまり、名盤、YESSONGSと同時期の録音で、ほとんど連続した7公演を2枚組にしているらしい。おまけにオープンリールに録音したもので状態はきわめて良好、曲の欠損も無し、との情報が。おそらく、ライブ盤を発表する目的で毎回テープを回していたんだろう。ま、それが結果的にYESSONGSとして結実したことは想像に難くないが。
さらに、アートワークはRoger Deanとのこと。Amazonで見た外観は、ダブルジャケットのスリーブが7組、ボックスに収まるように設計されているようだ。と、いうことは、ジャケットの裏表は勿論、ダブルジャケットを開けばあの独特の世界観を持ったRoger Deanワールドが広がっている筈だ・・・


つまり。


あの最高のラインナップの完全なライブ盤2枚組が7セット、つまり、YESSONGSの別バージョンを7組、Roger Deanの幻想的なアートワークとともに堪能出来るってことですか?


 
これは悩ましいぞ。

 


「ついにYESもKing Crimson商法に手を出したか」と、ちらと思ったことは否定出来ない。が、なんとも魅力的な値段設定だ。現在、激しく葛藤中・・・う〜ん・・・
 

誰か俺の背中を押してくれ。

Progeny: Seven Shows from Seve

Progeny: Seven Shows from Seve

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Atlantic
  • 発売日: 2015/05/26
  • メディア: CD


 
 
 
 

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STARLESS、聴いてみた。 [Progressive]

さて、Robert Frippの過去音源整理事業からまたまた出てきたKing Crimsonの27枚組超絶ボックスセット、STARLESS、一通り聴き終わったので感想をしたためる

が、その前に、一応確認の意味で、このボックスセットの位置づけを整理しておきたいと思う。

このブログを読んで下さっている方のほとんどが共通の認識を持っていらっしゃると思うが、収録曲の多くがライブで演奏されたものをベーシックトラックとして製作されている、アルバムとしてのStarless And Bible Blackを、そのベーシックトラックとなった曲が演奏された公演の録音に加え、作品発表前後の公演の録音も交えて、検証、総括するマテリアルを提供しよう、というのが、製作側の意図、かつセールスポイントであり、購入者が納得できるこの作品の存在理由であると思う。まぁ、端的に言えば、Starless And Bible Blackの回顧企画と言って間違いないのではないか。


STARLESS / KING CRIMSON

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コンテンツの内容を再確認しておこう。1973年10月から、1974年4月にかけてのヨーロッパ、アメリカの各地でのライブを収録したCDが19枚、Starless And Bible Blackの2011年リマスター版CDが1枚。これら20枚のCDに加え、DVD-Audio(一部映像もあり)が2枚、Blu-ray Audio(一部映像もあり)が2枚。ここまではThe Road The Redとほぼ同じ構成なのだが、これらに加え、Bonus Disc名目のCDが3枚、駄目押しのようにご丁寧にもBootleg Quolityと断られているFrankfurtでのライブ音源のダウンロードチケット。

うわぁ、すげぇ量(笑)


先ずは手っ取り早く、ダウンロードチケットで入手したFrankfurtでのライブ、これは狭い会場で演奏しているようだが、演奏内容については他の公演と比べて何かが突出している訳でもないし、音質は最悪だし、おまけにLarks' Tongues In Aspic Part llの途中で終わっているしで、はっきり言ってThe Great Deceiver以降、Robert Frippが過去音源を手を替え品を替え乱発している現在においては価値を見いだすことは出来なかった。多分、二度と聴かないと思う。

そして、それぞれ2枚のDVD-AudioとBlu-ray Audioであるが、アルバムとしてのStarless And Bible Blackの5.1サラウンドだの、2011 Stereo Mixだの、Original Stereo Mixだの、果てはアナログ盤から起こしたものまでこれでもかとバージョン違いで収録されていたり、Amsterdamの公演がミキサー違いで何度も収録されていたり、録音状態のいい公演がチョイスされてハイレゾで収録されていたり、なぜかThe Road To Redに収録されていたPittsburghの公演が収録されていたり、Extra Tracksとして脈絡が感じられない音源が収録されていたり、そうかと思うと見た事がある画質の悪い僅かばかりの映像が収録されていたり、と、まぁ記憶媒体の容量のでかさにまかせて思いつくまま大量の録音を放り込んであるが、そのほとんどはミックスこそ違えど20枚のCDにほぼ網羅されており、本質的には変わらんので俺はパス。こんなのいちいち真面目に聴いてらんねぇ。勿論、ハイレゾの恩恵を十分に生かしきれる立派なオーディオセットを所有している人には多少のご利益はあるかもしれないけど。

そうなると、やはりThe Road To Redの時と同じように、20枚のCDが俺的メインコンテンツなのだが。

これ、素晴らしいです。The Road To Redには海賊盤から起こしたと思しき劣悪な音質のディスクもあったが、今回はそういったディスクは皆無。2,3枚、入力がオーバーロードしちゃっている録音もあるが、十分鑑賞に耐えるレベル。なんでも、所在不明の複数のライブの模様をオープンリールに記録したものを収納してあったケースが発見された為、このような良好な音質の録音が提供可能になったんだそうだ。勿論、曲の途中から始まっていたり、曲が最後まで収録されていないディスクも多いが、これは諦めてもらうしか無いなぁ。

なんと言っても中心となるのは、We'll Let You Knowのベーシックトラックとなった演奏を収録しているGlasgowの公演の模様2枚、The Mincerのベーシックトラックとなった演奏を収録しているZürichの2枚、そして勿論、Fracture、Starless And Bible Black、Trioのベーシックトラックとなった演奏を収録しているAmsterdamの2枚。Amsterdamの公演の模様は既にThe Nightwatchというタイトルで製品化されているが、新たなミックスダウンを施したようだ。また、この時の公演の模様をラジオ放送用にピックアップしたCDもセットに含まれている。俺が昔ラジオで聴いたのはこれだな。Exileに編集が加えられ、実際の演奏時間より短くなっているのは興味深いが、これ、単なる「かさ増し」じゃないか?本編があればいらないと思うが、まぁ、The Road To Redの時にも、USAの元ネタとなったAsbury Parkでの公演を、ミキシング違いで別々のディスクに収録するようなでたらめな真似をしていたので、このくらいは目をつむろう。

演奏内容については完璧、と言いたいところだが、やはり、ライブならではのミスも散見される。特に、Zürichの公演でRobert FrippがLark's Tongues In Aspic Part llのリフの回数を間違ってしまい、曲の開始早々にアンサンブルを崩壊の危機にさらしているのにはひっくり返った(笑)。他にもStarlessの中盤、ギターとリズム隊が拍がずれたまま延々と演奏を続行したり、Bill Brufordが合図となるフィルインの長さを間違ってしまい、演奏が混乱をきたしたり、やっぱりJohn Wettonがフレージングをためすぎてとんでもないタイミングで音を出したり、案の定、David Crossが構成を間違って慌てて軌道修正したり、全員のタイム感がばらんばらんに崩れちゃって演奏がまとまらない局面もあったり等々、結構やらかしちゃってます(笑)。

が、それらの不手際はごくごく僅かであり、ライブの記録として全体の完成度を鑑みれば十分許容範囲。逆にそういった人間味のあるところが妙に生々しく、面白かったりもするのだ。なによりも曲の骨格を十分把握した上で本筋から逸脱しない範囲でフレージングを変え、それに触発された各メンバーが臨機応変に対応し、既存の曲が微妙に表情を変えて提示される様は圧巻で、これがあるから収録曲が大量に重複していても面白く聴けるのだと思う。勿論、ほとんどの公演で聴かれる、即興演奏の面白さについては何をか言わんや、である。
Disc20のStarless And Bible Blackの2011ミックスは、音の分離が前より良くなっているような気もするが、有り難みは少ない、と言わざるを得ないが、とりあえずこのボックスセットの構成から考えると、収録しない、という選択肢はなかったんだろうなぁ。

さてさて、残るは3枚のボーナスCD。音質はどれも海賊盤レベルなのでボーナス扱いなのだろうが、と、言うより、実際に海賊盤から起こしていると思われるが、これが意外と面白いのだ。

Disc25はテキサス大学での公演の模様。会場が盛り上がっている様子も伝わるいい感じの録音なのだが、中盤に演奏されているFracrtureがちょっとした手違いにより、とんでもないことになっているのである。ご存知の通り、Fractureという曲は演奏中に個人の裁量によって構成を変えたり出来るような単純な曲では無く、起承転結が厳密に設計されている堅牢な難曲なのだが、展開部分で一瞬Frippがボリューム操作を間違ったことによりBill Brufordが暴走を始め、それにJohn Wettonが反応して原曲には無いインプロが始まってしまうのである。ま、収録時期が本編に収録されている録音より若干早めなので、まだアンサンブルが完成されていなかった、と考えることも不可能ではないのだが、途中、Frippが本来の展開に戻すべく手を尽くし、どうにか軌道修正出来たものの、今度はFripp自身がインプロに突入し、曲が変な方向に向かってしまうのだ。まぁ、最終的にはどうにか巧く帳尻はあうのだが、いったいどうなってしまうのか、ハラハラドキドキなのである。多分、Frippは主にこれを聴かせかったのだと思うし、実際、非常に興味深く聴いた。

Disc26に収録されているのはDisc25の続きと、Atlantaで演奏されたアレンジ違いのDoctor Diamond、そしてZürichの公演で演奏されたインプロに挟まれたThe Mincer、これは本編、Disc4に良好な音質で収録されているのだが、Disc26で聴かれるThe Mincerにはボーカルが収録されていないのだ。Disc4のThe MincerにはStarless And Bible Blackに収録されていたのと同じく、ボーカルが収録されているのだが、どうやらこれは後からオーバーダブしたらしい。そもそもJohn Wettonの声が複数聞こえてくるし(笑)。多分、Starless And Bible Blackを製作する過程で、マスターの絶対にミュートできないトラックにボーカルを被せてしまったのだろう。で、「本来はこうでした」と、海賊盤から補完したものだと思われる。最後はMainzの公演からEasy Money、Fracture、Larks' Tongues in Aspic Part llが収録されている。本編のMainzの公演はFractureが冒頭の1分程度しか収録されておらず、シームレスにつながっている直前のEasy Moneyがパワー炸裂の名演であるだけに、The Collectable King Crimson Vol.1に収録されている録音を聴いた時から不満に思っていたのだが、これでようやく溜飲が下がったというものだ。

そしてDisc27はUdineの公演の模様。Disc7にもたった3曲、25分が収録されているが、収録内容から察するにコンサートの最後の3曲と思われるので、おおかたスタッフが録音操作を忘れたのをステージ終盤になってようやく気がつき、あわててテープを回したものだと思われる。これを補完する目的で海賊盤から起こして収録したのでは、とも思えるが、実は、きちんと作曲、作詞がなされていながらも、正規作品への収録はおろか、40年を超えるKing Crimson史上、一回しかステージで演奏されなかった幻のオリジナル曲、Guts On My Sideが聴けるのだ。実際の曲はRock'n'Rollの匂いを漂わせる比較的ストレートな曲調で、一回人前で披露はしたものの、「これはKing Crimsonがやるべき音楽ではない」と、Robert Frippがボツにしたのもわかるが、資料的価値はきわめて高い。

と、まぁ、この3枚のボーナスCDは音質が悪くともそれぞれに存在価値があるのだ。これはFrippにしては気の利いた計らいと言えるのではないだろうか?

結果、俺はこのボックスセットに期待していた以上の大きな満足感を得ることが出来た。さすがにそれなりの投資は必要になるが、それに見合う以上のものはある。と、言う訳で、万人に、とまでは言わないが、The Great DeceiverやThe Road To Redに一定の価値を見いだす事の出来る人には強力に推奨します。また、The Road To Redに興味はあったが購入を見送った方、こちらにもちゃんと(曲としての)Starlessが複数回収録されていますので、こちらをおすすめします。


ちなみに、The Great Deceiverに収録されていた1973年のライブ音源は全てこのボックスセットに含まれており、同じくThe Great Deceiverに収録されていた1974年のライブ音源は全てThe Road To Redに収録されているので、The Great Deceiverの影が薄くなってしまいました(笑)。また、Mainzの公演の模様も含まれており、The Road To RedではAsbury Parkの公演の模様が収録されているため、The Collectable King Crimson Vol.1も同様に存在理由があやふやになってしまいました。あ、Mainzの公演はThe Collectors' King Crimson BOX 3にも収録されているので、The Road To Red発売時点で既に存在理由は無くなっていたのか。あ、それ言うならThe Nightwatchの立場は?(笑)


さて、気になるのは、Frippの過去音源整理活動がこれで終わるのか、ということだ。In The Court Of The Crimson Kingは総括されちゃってるし、Larks' Tongues In Aspicも総括済み。In The Wake Of PoseidonやLizard、Islandsの時代の良好な音質のまとまった音源は期待出来ないだろうしこれで打ち止めか?

あ、そういえば80年代初頭、Robert FrippはDiscipline(鍛錬)というバンドを結成し活動を行い、そのメンバーのままKing Crimsonを再結成、その後に発表したアルバムの名前もDisciplineだった。もしかして、Discipline名義時代や改名後の初期ライブ音源や、リハーサルの模様を一纏めにして、Under Disciplineとかいう名前でパッケージ化するんじゃねぇか?ボーナスCDはLeague Of Gentlemenのライブだったりして・・・


うわ、やべぇ。俺、買っちまいそうだ・・・




Starless -Ltd-

Starless -Ltd-

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Discipline Global
  • 発売日: 2014/11/03
  • メディア: CD



Starless & Bible Black: 30th Anniversary Edition

Starless & Bible Black: 30th Anniversary Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Discipline Us
  • 発売日: 2005/07/19
  • メディア: CD



The Road To Red (21cd+Dvd-Audio+2blu-Ray)(Limited Edition Box Set)

The Road To Red (21cd+Dvd-Audio+2blu-Ray)(Limited Edition Box Set)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Panegyric
  • 発売日: 2013/10/17
  • メディア: CD



The Collectable King Crimson, Volume One:

The Collectable King Crimson, Volume One: "Live in Mainz,1974" "Live in Asbury Park, 1974"

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Discipline Us
  • 発売日: 2006/11/07
  • メディア: CD



The Great Deceiver 1: Live 1973-1974

The Great Deceiver 1: Live 1973-1974

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Dgm / Inner Knot
  • 発売日: 2007/11/13
  • メディア: CD



The Great Deceiver 2: Live 1973-1974

The Great Deceiver 2: Live 1973-1974

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Dgm / Inner Knot
  • 発売日: 2007/11/13
  • メディア: CD



COLLECTORS’ KING CRIMSON [BOX3] 1972-1974

COLLECTORS’ KING CRIMSON [BOX3] 1972-1974

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: WHDエンタテインメント
  • 発売日: 2007/09/21
  • メディア: CD



Night Watch

Night Watch

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Discipline Us
  • 発売日: 1998/01/13
  • メディア: CD



Usa - 40th Anniversary Edition (Cd+Dvd-Audio)

Usa - 40th Anniversary Edition (Cd+Dvd-Audio)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Panegyric
  • 発売日: 2013/10/17
  • メディア: CD


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