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Bohemian Rhapsody : Original Motion Picture Soundtrack / Queen [HM/HR]

先日公開され、各所で話題になっている映画、Bohemian Rhapsodyを観た。とは言っても、実は試写会で公開より2週間以上も前に観ていたのだが。
 

以降はネタバレを含むので、映画を観に行こうと思いながらもまだ観られていない人は注意。


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今更断るまでもなく、この映画はQueenのボーカリストにして不世出のカリスマ、Freddie Mercuryの半生を描いたものだ。物語はあくまでもFreddieを中心に進行するので、他のメンバーの個人的なエピソードは皆無に等しい。
とはいえ、Queenがどのように誕生し、どのように成長し、どのようにメンバー間に軋轢が生じ、どのように復活を遂げたのか、そしてその裏にはどのような背景があったのか等が鮮やかに描かれており、全てのQueenファンが満足できる内容になっている。QueenのメンバーであるBrian MayとRoger Taylorが全面的に監修しているようなので、エピソードは限りなく真実に近いのでであろう。(後日記:と思っていたのであるが、検証してみたところ、主に時系列の歪曲による若干の虚飾があることが判明。ストーリーをドラマチックに仕立て上げるための作為であることは想像に難くない)

また、メンバー役の役者もなかなか似ており、特にBrian May、短髪になってからのJohn Deacon役の役者は本人かと見まごうばかりだ。Freddie役の役者も若干線が細めながらも、ステージシーンでの身のこなし方等、実に堂々と演じ切っている。圧巻。
 

そして忘れてはならないこの映画の大きな魅力、それは劇中に散りばめられたQueenの名曲の数々、これをコンサートさながら、即ち自宅では到底不可能な大音量で聴ける、ということだ。
 

実際に演奏シーンも随所にあり、これには当然Queenの音源を使用している。つまり、役者は「あてぶり」をしていることになるわけだが、各メンバー役の役者は楽器演奏の指導を受け、音こそ収録されていないものの実際に演奏しているのだという。勿論、Freddie役は実際に歌っているそうだ。
特にBrian May直々に指導を受けた役者の出来上がりはなかなかだ。俺自身もQueenの曲は何曲かギターでコピーしたことがあり、演奏シーンにおいて「本当に弾いているのか?」と、猜疑心を抱きながら役者の指先を注視したのだが、少なくともWe Will Rock Youのギターソロにおいて役者の左手は俺がコピーしたのと同じフレット上にあるのを確認した。と、言うことは俺のコピーも正しかったということになる(笑)。

そういった演技の枠を超えた役者の努力が結実し、演奏シーンにおいても不自然さが一切ない。これにより映画の世界に自然と入っていける。これは素晴らしいとしか言いようが無い。


ただ、残念なことに全ての曲が最初から最後までのフルバージョンで聴けるわけではない。だいたいそんなことしたら物語が全然展開しない(笑)。多くの曲はエピソードの一部として、またはエピソードを飾るバックミュージックとして扱われているので、不自然な編集が施されている曲がほとんどだ。「あの曲、最後まで聴きたかったのに〜」と、思うこともあるだろう。


そういう不満を払拭するためには、この映画のサントラ盤を聴くしかない、かもなぁ。
 


Bohemian Rhapsody : Original Motion Picture Soundtrack / Queen


Bohemian Rhapsody_ Original Motion Picture Soundtrack.jpg



今回、映画としてのBohemian Rhapsody、そしてこのアルバムを編集・制作するにあたって、ほとんどの曲でリマスタリングを施している、と思われる。いや、もしかしたら少し音量を上げただけかも(笑)。ま、いずれにせよ途中でカットするような事はせずに全曲最後まで収録されている。

出来ることなら全ての曲について熱い想いをぶつけたいところだが、このアルバム、CD媒体の限界である80分近く、22曲も収録しているので、そんなことしてたら全ての気力・体力を使い果たしてしまう。と、いうわけで、俺的な聞きどころを何曲か挙げてみたいと思う。勿論、これらにも映画のネタバレが含まれている。
 
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1曲目の20th Century Fox Fanfareは、言うまでもなくこの映画の配給会社、20世紀フォックスのロゴとともに流れるあのおなじみのファンファーレであるが、これがBrian Mayのギターオーケストレーションによって演奏されている。当然、新録。もちろん実際の映画でも使用されている。実に華やかなオープニング。

Queenのデビューアルバムに収録されていたDoing All Rightは、Brian MayとRoger Taylorが在籍していたQueenの前身バンド、Smile名義になっている。この楽曲は、Smile唯一の商業作品、シングル盤として発表されたものだ(注:他の説もあり)。今回、映画のために当時のボーカリストを引っ張り出して再レコーディングしたものらしいのだが、これが意外にもイけてる。改めてSmileのオリジナルバージョンを聴いてみると、すでにこの時点でQueenの魅力の一つである重厚なコーラスワークが確立していたことがわかる。当然、劇中にもSmileの演奏シーンがある。

We Will Rock You (Movie Mix)は、スタジオ録音から始まって、途中でライブ録音に切り替わっている。劇中でもそのような使われ方をしていた(ような覚えがある)。

Don’t Stop Me Nowには大胆な手が加えられている。本来、この曲のギターの出番はソロだけであったのだが、今回サイドギターが全編にわたって追加された。また、ソロも微妙にフレーズが異なる部分が聞いて取れたので、録音しておきながらもミックスダウンの過程でオミットされていたトラックを使用して再トラックダウン、もしくは部分的にBrian Mayによって再録されたのだろう。もともと躍動感溢れる表現が大好きな曲だったのだが、新たな魅力を獲得した。

さて、アルバム終盤にまとまって配置されているLive Aidでの演奏、これがクライマックスだ。映像作品としてはLive Aidのみならず、Queen名義の作品でも流用されているようだが、CDに収録されるのは今回が初めてとのこと。歴史的な名ステージだったのに、収録されているのは劇中で再現された4曲のみなのが残念。どうせならこの機会に他の曲を削ってでも30分弱のステージの模様を全て収録して欲しかったが、特筆すべきはFreddieが曲間で観客を煽る模様が別トラック化され、Ay-Ohという名前で収録されていることだ。75,000人の大観衆とFreddieの掛け合いは素晴らしい一体感。命の輝きを感じ、熱いものが込み上げてくる瞬間だ。
 

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前述の通り、映画の中では収録されている曲の全てが最初から最後まで使用されているわけではない。好きな曲なのに途中でカットアウトされてフラストレーションを感じた人はこのアルバムを聴いて溜飲を下げることが出来るだろうし、主要曲は網羅されているのでベスト盤的に聴くことも可能だ。

と、言うわけで、熱心なQueenのファン、映画を観てQueenに興味を持った人限定で推奨します。


Anyway、まずは映画、Bohemian Rhapsodyを劇場で観よう。話はそれからだ。そうだろ、Freddie?




ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: CD


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