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HESITATION MARKS / NINE INCH NAILS [Rock]

先日発表されたTrent Reznorのプロジェクト、Nine Inch NailsのHesitaion Marksを購入。今回はHow To Destroy Angelsという、音響的に比較的落ち着いた印象の別プロジェクトを挟んでの5年ぶりの新作ということで、誰しもが「NIN独特のとんがった感じが失われていないだろうか?」と、複雑な心境で発表を待っていたのではないだろうか?

しかし、それは全くの杞憂だった。


HESITATION MARKS / NINE INCH NAILS

nine inch nails.jpg

以前と比較すると、若干エレクトロニカ度が増したアプローチを行っている。この点について不満を持つリスナーもいるやもしれない。

しかしながら、そもそもNine Inch NailsはTrent Reznor個人による、『打ち込みテクノ』から始まっているのだ。その後、作品を重ねるごとにバンドっぽい体裁を成して来ているように聞こえるが、それはその実、商業音楽をとりまくテクノロジー、特に自動演奏における音響分野が飛躍的に発展したからこそなんとなく生演奏っぽく聴こえるような作品もあっただけの話で、実際にはNINのほとんどの作品のベーシック・トラックは、いわゆる『打ち込み』で創り、後に機械では表現不能な部分を人力で補う手法で製作されており、それは規模や密度の差こそあれ、昔も今もそう変わっていないはずだ。

音圧を求めるリスナーにはリズム・パートの音選びに不満が残る可能性もあるかと思う。確かに、NINは音圧を追求し、実践していた時期もあるが、今回の作品で『エレクトロニカ度』が増したのは、Torent Reznorが、数多存在する選択肢の中から、ある意味ロー・ファイとも解釈される音が、現在のNINの表現において必要である、と、判断したからこそだ。つまり、意図的に、一聴して電子音響と解るチープな音を選択したからに他ならない。端的に言えば、「生演奏と聞き分けが出来ないようなダイナミックなリズム」より、「単調で無機質なビート」が現在のNINによりフィットした音である、と判断したからとしか思いようが無い。

現実に、7曲目に配置されているEverythingを聴くとこの思いは確信へと変わる。どこかJoy Divisionを感じさせる楽曲。若干、小ぶりな印象はあるが、NINの新機軸とも言えるようなとても魅力的な曲であることは間違いない。勿論、Joy Divisionほどの暗さはないし、どちらかというと明るい曲調だが、この曲はライブでやったら盛り上がること間違いなし。アルバム中、もっとも解り易く、素直にカッコよく、ついリピートしてしまう。

そして、このアルバムの白眉は、最後の4曲、即ちI Would For YouからBlack Noiseのシームレスな流れに集約されている、と言えるだろう。一連のこの流れは凄い。鳥肌が立ちっぱなしだ。気の弱いライト・リスナーは最終曲を最後まで聴いていられないかも。

いずれにせよ、(NINとしての)5年間の空白を全く感じさせない充実した楽曲群。相変わらず尋常ではない音の創り込み方。神経を逆なでするノイジーなギター、不穏な音響の頻出、計算し尽くされたアレンジ。知性と暴力の共存するあのTrent Reznorワールドは全く衰えていない。


クレジットを見ると、数曲でAdrian Blewが参加している。まぁ、Adrian Blewの変態超絶ギターはNINの音と非常に親和性が高く、過去にもゲスト参加しているので驚くような事ではないのだが、なんと、Lindsey Backinghamが3曲でギターを弾いている!これにはのけぞらされた。クレジットされている曲を注意深く聴いてみたが、わざわざLindsey Backinghamを連れてくる必然性が感じられないのは残念。というか、Lindsey Backinghamのギターが大活躍するNINって、ちょっと想像できない・・・

とはいいつつ、トータルで見れば実に見事な結果が出ており、How To Destroy Angelsで納得出来なかったファンは必ず満足することと思う。久しぶりに責任推奨!


NINの公式HPで確認したところ、今月下旬から2ヶ月間、かなりハードなスケジュールの全米ツアーに出るようだ。念のため、How To Destroy Angelsの公式HPを確認すると・・・あれれれ?フェスティバル出演のスケジュールがこの期間中に2本入っている・・・再度NINのスケジュールを確認すると、このフェスティバルにはNINも出演することが判明。ついでに、出演日が一日ずれている。と、言う事は、NINのツアーメンバーはWTDAと掛け持ちすることになるのかな?それともWTDAは4月に行った全米ツアーのメンバーを再度招集するのだろうか?どっちにしてもTrento Reznorは掛け持ちになることは間違いないのだが・・・いや、普通に考えればNINのツアーメンバーが掛け持ちするんだろうな。でも、そもそもWTDAの4月のツアーメンバーと、今回のNINのツアーメンバーは全く同じ顔ぶれだったりして。なんだかありそうだなぁ・・・



Hesitation Marks(通常盤)

Hesitation Marks(通常盤)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Umg
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: CD



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