発送したって!? Ep's 1988-1991 / MY BLOODY VALENTINE [Shoegazer]
今日、アマゾンから「発送した」という旨のメールが来た。目を疑った。
もし、それが本当なら、順調に配送されれば明日には到着するはずだ。
USアマゾンを確認したところ、さらに発売日は延長されているのだが、どうなっているのだろう?
まぁ、無事に到着してくれれば文句はないのだが・・・全く気を揉ませる。
このEP集については、未発表トラックの感想を書き終えるまでしつこく記すつもり。
【追記】先ほど確認したところ、UKでの発売は明日で、俺が発注したのはUK盤だった。日本のアマゾンでは現時点では『在庫あり』になっている。こりゃ本当に手に入りそうだ。
もし、それが本当なら、順調に配送されれば明日には到着するはずだ。
USアマゾンを確認したところ、さらに発売日は延長されているのだが、どうなっているのだろう?
まぁ、無事に到着してくれれば文句はないのだが・・・全く気を揉ませる。
このEP集については、未発表トラックの感想を書き終えるまでしつこく記すつもり。
【追記】先ほど確認したところ、UKでの発売は明日で、俺が発注したのはUK盤だった。日本のアマゾンでは現時点では『在庫あり』になっている。こりゃ本当に手に入りそうだ。
やっぱり、発売延期? Ep's 1988-1991 / MY BLOODY VALENTINE [Shoegazer]
驚天動地の発売発表が行われたMy Bloody ValentineのEP集。
「発売延期にならないだろうか?」と心配していたが、先ほどアマゾンを見たら、「一時的に在庫切れ、入荷時期は未定」って…おいおい、発売日は明日のはずなのに在庫切れもなにもねぇだろう。
アマゾンUSで調べてみたところ、どうやら発売日が5月12日に延期になったようだ。やっぱりな。
なんとも笑えるのが、発売前なのに中古品の出品があるところ。その値段たるや、なんと4万超!人をバカにしとんのか。わははは。
それにしても、本当に発売されんのか?
「発売延期にならないだろうか?」と心配していたが、先ほどアマゾンを見たら、「一時的に在庫切れ、入荷時期は未定」って…おいおい、発売日は明日のはずなのに在庫切れもなにもねぇだろう。
アマゾンUSで調べてみたところ、どうやら発売日が5月12日に延期になったようだ。やっぱりな。
なんとも笑えるのが、発売前なのに中古品の出品があるところ。その値段たるや、なんと4万超!人をバカにしとんのか。わははは。
それにしても、本当に発売されんのか?
Ep's 1988-1991 / MY BLOODY VALENTINE [Shoegazer]
俺、興奮しています。
MY BLOODY VALENTINEの幻のEP、即ちYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kissを含むEP集が2枚組でついに発売だってぇ〜!!!!
これは大変なことですよ。
(EP、You Made Me Realiseについてはこちらを、Feed Me With Your Kissについてはこちらを参照されたし)
MY BLOODY VALENTINEがCreationレーベルと契約直後のEP2枚、即ちYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kissは長い間、再発が望まれ、何回か企画段階まで持っていけたものの、結局Kevin Shieldsの了解が取れなくて最終的に没企画に終わっていた。
今回、それがついに実現したのみならず、なんと、後期EP、Glider、Tremoloも全曲収録。おまけに未発表音源まで収録しているようだ。「そこまでやらなくてもいいのに」って言いたくなるくらいのサービスの良さ。「いままでの出し惜しみはなんだったんだ?」ってくらいのもんだ。
ま、いずれにせよ、たまにオークションで出ると高値をつけていた『伝説』も、容易に(そして低い投資額で)検証する機会があたえらることになったわけだ。当然、MY BLOODY VALENTINEのファンで、You Made Me Realise、Feed Me With Your Kissを所持していない者は間違いなく購入するだろうし、俺は全てのEPを所有しているのだが、やはり7曲収録されている未発表音源は聞き逃す訳にいかない。
それにしても発売延期にならないだろうか?
プレスは間に合うのか?
品切れになったりしないだろうか?
もしかして不要なリミックスなんか行っていないだろうか?
いずれにせよ、未発表音源がすんげぇ楽しみだ。
【後日記】聴いてみた感想はこちら
MY BLOODY VALENTINEの幻のEP、即ちYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kissを含むEP集が2枚組でついに発売だってぇ〜!!!!
これは大変なことですよ。
(EP、You Made Me Realiseについてはこちらを、Feed Me With Your Kissについてはこちらを参照されたし)
MY BLOODY VALENTINEがCreationレーベルと契約直後のEP2枚、即ちYou Made Me Realise、Feed Me With Your Kissは長い間、再発が望まれ、何回か企画段階まで持っていけたものの、結局Kevin Shieldsの了解が取れなくて最終的に没企画に終わっていた。
今回、それがついに実現したのみならず、なんと、後期EP、Glider、Tremoloも全曲収録。おまけに未発表音源まで収録しているようだ。「そこまでやらなくてもいいのに」って言いたくなるくらいのサービスの良さ。「いままでの出し惜しみはなんだったんだ?」ってくらいのもんだ。
ま、いずれにせよ、たまにオークションで出ると高値をつけていた『伝説』も、容易に(そして低い投資額で)検証する機会があたえらることになったわけだ。当然、MY BLOODY VALENTINEのファンで、You Made Me Realise、Feed Me With Your Kissを所持していない者は間違いなく購入するだろうし、俺は全てのEPを所有しているのだが、やはり7曲収録されている未発表音源は聞き逃す訳にいかない。
それにしても発売延期にならないだろうか?
プレスは間に合うのか?
品切れになったりしないだろうか?
もしかして不要なリミックスなんか行っていないだろうか?
いずれにせよ、未発表音源がすんげぇ楽しみだ。
【後日記】聴いてみた感想はこちら
DESPONDENT TRANSPONDER / FLEETING JOYS [Shoegazer]
PUNK/NEW WAVEを通過してきたロックのリスナーにとって、MY BLOODY VALENTINEのLOVELESSが傑作であるのは異論のないところだと思う。この作品はロックに革命を起こした、と言っても過言ではない、とさえ思う。俺自身は発表翌年の1992年に予備知識もなく偶然購入、その斬新さにいままで経験したことの無いような強烈な衝撃を受け、ロックに対する世界観が(全てとまでは言わないまでも)変わってしまった。ある評論家は、この作品をロックの歴史の一つのマイル・ストーンと位置づけ、「LOVELESS以前、LOVELESS以降」と区分けした。かのBrian Enoも「ポピュラーミュージックの新しい形」と、絶賛した。
とにもかくにもLOVELESSという作品は他のどんな作品と比べることも不可能なオリジナリティを持っており、その麻薬的な習慣性により、多くの中毒患者を生み出した。俺自身もその一人である。当然、多くの、いや、全てのLOVELESS中毒患者は次回作を熱望した。ところが所属レーベルが突然の倒産。(一説によると、LOVELESSの制作費がかさんだことも要因の一つだったらしい)しかし、この才能を音楽業界が見逃そう筈も無く、程なくメジャー・レーベルと契約。さぁ、環境は整った。レコーディング作業はすでに終了、あとはKevin Shieldsによるミックス・ダウンを待つのみ、というニュース。ああ。俺たちは「誰よりも早く新作を聴きたい!」と、浮き足立ったさ。
ところが、いつまで経っても発表される気配がない。完璧主義者のKevinがレコーディングした素材の加工にどうしても納得が行かず、マスターを抱えこんだまま延々とミックスダウン作業を繰り返しているのだ、とか、作業中にあやまってマスターを消去してしまったのだ、とか、いやいや、そもそもレコーディング自体されていないのではないか、とか、様々な噂が流れた。
俺たちはいつ発売されるのか、それとも発売されないのかさえ解らない新譜をLOVELESSを聴きながらひたすら待つだけでは我慢できなくなってしまった。幸いにもMY BLOODY VALENTINEのフォロワーと言えるバンドは大量に存在していたので、俺達は代償行為としてそういった連中の作品に手を伸ばしたが、やはり物足りない。あの独特の浮遊感、酩酊感を得られないのだ。勿論、フォロワーとて自我があるわけであって、MY BLOODY VALENTINEにどれだけ似ているかだけを価値基準に聴かれているのではあまりにも悲しい筈で、当然、自分たち独自のカラーも出したい、と考えるのは当たり前である。
と、思っていたのであるが。
DESPONDENT TRANSPONDER / FLEETING JOYS
なんじゃ?この作品?何から何までLOVELESSにそっくりじゃねぇか!
そう、MY BLOODY VALENTINEに似ているのではない。LOVELESSという『作品』にそっくりなのだ。これはフォロワー、というより、クローンと言ってしまってもいいかもしれない。
とにかく、騙されたと思ってアルバムの一曲目を聴いてみて欲しい。
この通りである。まるでLOVELESSの最終曲、Soonから繋がっているかのようなイントロ。ギターの揺らぎ、ぶっきらぼうなベース、耽美で美しいメロディーを囁くように歌うボーカル、勿論、ノイズ成分たっぷりのうねる轟音、もう、どこをとってもLOVELESSそのもの。こいつらの曲がLOVELESSに紛れ込んでいても解らないのではないか、とさえ思う。いやいや、MY BLOODY VALENTINEの新作、と言っても通用するかもしれない。そこまで似ている。ある知人にこのアルバムを聴かせたところ「いくらオリジナル曲とはいえ、ここまで音響、曲調が似ていると著作権法にひっかかるのではないか?」と言った程だ。
どうもこのFLEETING JOYSなるバンド、アメリカの夫婦者のみの二人組によるユニットらしい。それにしてもよくぞここまで似せられたものだ。相当MY BLOODY VALENTINE、いや、LOVELESSを分析的に研究したはずだ。オリジナリティは全くないが、とにかくお見事としか言いようが無い。
この作品、LOVELESS禁断症状が出ている中毒患者には強力に推奨する。もう、アルバム通して笑えるくらい似ている。
ところで、肝心のMY BLOODY VALENTINEは2008年に再結成(と、言うより解散してなかったんだから再集結、か)、フジ・ロック・フェスにも出演したが、職場の若い同僚がうらやましいことに同日、観に行くらしいことが判明。ところが、本人はMY BLOODY VALENTINEを全く知らないという。それどころか、「目当てのバンドの出番が終わったらさっさと帰ろうと思う」とまで言いやがった。ありえねぇ。俺は、「MY BLOODY VALENTINEを生で見られることがどんなにありがたいことかお前は理解していない。いいか、一音たりとも聞き逃すな」などと、とくとくと説いた。本人は迷惑がっていたが、後日、「凄かった。歴史的な瞬間に立ち会った実感があった」と、感想を述べていた。そりゃそーだろーよ。
しかし、あれだよな、もし再結成したMY BLOODY VALENTINEが新作を発表したら、途端にこの作品の価値は全くなくなるだろうな。まぁ、どうせ出ないと思うけど。
こっちが元ネタ(笑)
とにもかくにもLOVELESSという作品は他のどんな作品と比べることも不可能なオリジナリティを持っており、その麻薬的な習慣性により、多くの中毒患者を生み出した。俺自身もその一人である。当然、多くの、いや、全てのLOVELESS中毒患者は次回作を熱望した。ところが所属レーベルが突然の倒産。(一説によると、LOVELESSの制作費がかさんだことも要因の一つだったらしい)しかし、この才能を音楽業界が見逃そう筈も無く、程なくメジャー・レーベルと契約。さぁ、環境は整った。レコーディング作業はすでに終了、あとはKevin Shieldsによるミックス・ダウンを待つのみ、というニュース。ああ。俺たちは「誰よりも早く新作を聴きたい!」と、浮き足立ったさ。
ところが、いつまで経っても発表される気配がない。完璧主義者のKevinがレコーディングした素材の加工にどうしても納得が行かず、マスターを抱えこんだまま延々とミックスダウン作業を繰り返しているのだ、とか、作業中にあやまってマスターを消去してしまったのだ、とか、いやいや、そもそもレコーディング自体されていないのではないか、とか、様々な噂が流れた。
俺たちはいつ発売されるのか、それとも発売されないのかさえ解らない新譜をLOVELESSを聴きながらひたすら待つだけでは我慢できなくなってしまった。幸いにもMY BLOODY VALENTINEのフォロワーと言えるバンドは大量に存在していたので、俺達は代償行為としてそういった連中の作品に手を伸ばしたが、やはり物足りない。あの独特の浮遊感、酩酊感を得られないのだ。勿論、フォロワーとて自我があるわけであって、MY BLOODY VALENTINEにどれだけ似ているかだけを価値基準に聴かれているのではあまりにも悲しい筈で、当然、自分たち独自のカラーも出したい、と考えるのは当たり前である。
と、思っていたのであるが。
DESPONDENT TRANSPONDER / FLEETING JOYS
なんじゃ?この作品?何から何までLOVELESSにそっくりじゃねぇか!
そう、MY BLOODY VALENTINEに似ているのではない。LOVELESSという『作品』にそっくりなのだ。これはフォロワー、というより、クローンと言ってしまってもいいかもしれない。
とにかく、騙されたと思ってアルバムの一曲目を聴いてみて欲しい。
この通りである。まるでLOVELESSの最終曲、Soonから繋がっているかのようなイントロ。ギターの揺らぎ、ぶっきらぼうなベース、耽美で美しいメロディーを囁くように歌うボーカル、勿論、ノイズ成分たっぷりのうねる轟音、もう、どこをとってもLOVELESSそのもの。こいつらの曲がLOVELESSに紛れ込んでいても解らないのではないか、とさえ思う。いやいや、MY BLOODY VALENTINEの新作、と言っても通用するかもしれない。そこまで似ている。ある知人にこのアルバムを聴かせたところ「いくらオリジナル曲とはいえ、ここまで音響、曲調が似ていると著作権法にひっかかるのではないか?」と言った程だ。
どうもこのFLEETING JOYSなるバンド、アメリカの夫婦者のみの二人組によるユニットらしい。それにしてもよくぞここまで似せられたものだ。相当MY BLOODY VALENTINE、いや、LOVELESSを分析的に研究したはずだ。オリジナリティは全くないが、とにかくお見事としか言いようが無い。
この作品、LOVELESS禁断症状が出ている中毒患者には強力に推奨する。もう、アルバム通して笑えるくらい似ている。
ところで、肝心のMY BLOODY VALENTINEは2008年に再結成(と、言うより解散してなかったんだから再集結、か)、フジ・ロック・フェスにも出演したが、職場の若い同僚がうらやましいことに同日、観に行くらしいことが判明。ところが、本人はMY BLOODY VALENTINEを全く知らないという。それどころか、「目当てのバンドの出番が終わったらさっさと帰ろうと思う」とまで言いやがった。ありえねぇ。俺は、「MY BLOODY VALENTINEを生で見られることがどんなにありがたいことかお前は理解していない。いいか、一音たりとも聞き逃すな」などと、とくとくと説いた。本人は迷惑がっていたが、後日、「凄かった。歴史的な瞬間に立ち会った実感があった」と、感想を述べていた。そりゃそーだろーよ。
しかし、あれだよな、もし再結成したMY BLOODY VALENTINEが新作を発表したら、途端にこの作品の価値は全くなくなるだろうな。まぁ、どうせ出ないと思うけど。
こっちが元ネタ(笑)
Spooky / Lush [Shoegazer]
前回、Cocteau Twinsの影響下にある(と思われる)Slowdiveというバンドを取り上げた。が、同時期、Slowdive以上にCocteau Twins色を濃厚に漂わせるバンドがあった。勿論、Lushである。
Spooky / Lush
Lushはこの作品以前にも、短いペースでEPを発表していた。そして満を持して1992年にこのアルバムを発表。周囲の期待はいやが上にも盛り上がった。なにせプロデュースはCocteau TwinsのRobin Guthrie、さらに、バンドのフロントは女性ボーカル、それも声質が酷似した2名と来たもんだ。素材としては充分。Robin Guthrie自身も「Cocteau Twinsでは出来なかったライブでのハーモニーが実現出来る!」と、やる気満々だったに違いない。
これはもう、Cocteau Twinsの正当継承者と言ってもいいでしょう、と、誰もが期待した。
なかなかルックスもいい2名の女性ボーカリスト(内、一名はMikiという日系人)はギターをも兼任しており、野郎共の目線は釘付け独占状態。男性メンバー2名はドラム、ベースと、リズム・セクションに徹し、タイト、かつ堅実な演奏でバンドのまとまりに貢献しながらも必要以上に表に出てこなかったことは大正解だ。
作品全体を支配するのはとにかく透明感のあるサウンド、そして過度に媚びないボーカル。要所で聴かれる見事なコーラス。変拍子なども使っているが、それらは歌の節と調和し、不自然さやわざとらしさは感じさせない。なによりも変に気取らず、真っ正直に歌い、演奏に取り組む姿勢は爽やかそのもの。まるで炭酸入り清涼飲料水のようにパチパチと音が弾けていく。
部分的にシューゲイザーに特徴的な曲のスケールに依存しないフィードバック・ノイズや、トレモロやフランジャーを多用したノイジーな音も聴こえる。耽美と解釈しようと思えば耽美ではあるのだが、これらはレコーディング、もしくはミックス・ダウンの過程で装飾的に施されたものだろう。勿論、バンドが未成熟であった部分もあり、Robin Guthrieの指導を素直に受け入れたのだと思われ、これが功を奏し、Lushはシューゲイザーの重要バンドとの評価が定着した。
が、当時の彼女らにはシューゲイザー・ブームに対する迎合意識は希薄だったはずだ。過去の評価をひっくり返すようだが、彼女らの表現の根底にあるのは「いい曲」を「簡潔に」そして「出来る範囲で可能な限りいい状態で」実現することだったと思われる。
You Tube上に、このアルバム中最も疾走感、ラウド感のあるSuperblast!を発見。とにかくこれを見て欲しい。
Mikiはすんげぇ気持ちよくギターをストロークしながら、爽快に歌っている。サイド・ボーカルのEmmaのコラース、オブリガートもバッチリ。
どう考えたって、まともなギター・ポップだろ。これ。
シューゲイザー・ブームが衰退し、終焉を迎えるまで、Lushは微妙に音楽性(というより、音響処理)を変えながら活動を行っていた。楽曲の完成度は確実に上がっていったが、シューゲイザーにこだわるリスナーからは「Lushは変わってしまった」と、困惑する声が聴かれた。中には「Lushは終わった」とまで酷評する音楽評論家までいた。
が、ブームとは消費され、役割が終わればそのジャンルに特化した、もしくは特化してプロモーションされたバンドも役割を終えるものなのである。
しかし、しかし、だ。
このアルバムで聴かれる音が彼女らの目指していた理想形ではなかったはずだし、Lushは作品を重ねる毎にシューゲイザーの表現から離れ、着実に進化していた。ところが、メンバーが自殺するという悲劇、そして程なく解散…少し堪えられれば別の評価も目前だったはずなのに…
進化の途中で活動を終わらせなければならなくなってしまったのは非常に残念である。
Spooky / Lush
Lushはこの作品以前にも、短いペースでEPを発表していた。そして満を持して1992年にこのアルバムを発表。周囲の期待はいやが上にも盛り上がった。なにせプロデュースはCocteau TwinsのRobin Guthrie、さらに、バンドのフロントは女性ボーカル、それも声質が酷似した2名と来たもんだ。素材としては充分。Robin Guthrie自身も「Cocteau Twinsでは出来なかったライブでのハーモニーが実現出来る!」と、やる気満々だったに違いない。
これはもう、Cocteau Twinsの正当継承者と言ってもいいでしょう、と、誰もが期待した。
なかなかルックスもいい2名の女性ボーカリスト(内、一名はMikiという日系人)はギターをも兼任しており、野郎共の目線は釘付け独占状態。男性メンバー2名はドラム、ベースと、リズム・セクションに徹し、タイト、かつ堅実な演奏でバンドのまとまりに貢献しながらも必要以上に表に出てこなかったことは大正解だ。
作品全体を支配するのはとにかく透明感のあるサウンド、そして過度に媚びないボーカル。要所で聴かれる見事なコーラス。変拍子なども使っているが、それらは歌の節と調和し、不自然さやわざとらしさは感じさせない。なによりも変に気取らず、真っ正直に歌い、演奏に取り組む姿勢は爽やかそのもの。まるで炭酸入り清涼飲料水のようにパチパチと音が弾けていく。
部分的にシューゲイザーに特徴的な曲のスケールに依存しないフィードバック・ノイズや、トレモロやフランジャーを多用したノイジーな音も聴こえる。耽美と解釈しようと思えば耽美ではあるのだが、これらはレコーディング、もしくはミックス・ダウンの過程で装飾的に施されたものだろう。勿論、バンドが未成熟であった部分もあり、Robin Guthrieの指導を素直に受け入れたのだと思われ、これが功を奏し、Lushはシューゲイザーの重要バンドとの評価が定着した。
が、当時の彼女らにはシューゲイザー・ブームに対する迎合意識は希薄だったはずだ。過去の評価をひっくり返すようだが、彼女らの表現の根底にあるのは「いい曲」を「簡潔に」そして「出来る範囲で可能な限りいい状態で」実現することだったと思われる。
You Tube上に、このアルバム中最も疾走感、ラウド感のあるSuperblast!を発見。とにかくこれを見て欲しい。
Mikiはすんげぇ気持ちよくギターをストロークしながら、爽快に歌っている。サイド・ボーカルのEmmaのコラース、オブリガートもバッチリ。
どう考えたって、まともなギター・ポップだろ。これ。
シューゲイザー・ブームが衰退し、終焉を迎えるまで、Lushは微妙に音楽性(というより、音響処理)を変えながら活動を行っていた。楽曲の完成度は確実に上がっていったが、シューゲイザーにこだわるリスナーからは「Lushは変わってしまった」と、困惑する声が聴かれた。中には「Lushは終わった」とまで酷評する音楽評論家までいた。
が、ブームとは消費され、役割が終わればそのジャンルに特化した、もしくは特化してプロモーションされたバンドも役割を終えるものなのである。
しかし、しかし、だ。
このアルバムで聴かれる音が彼女らの目指していた理想形ではなかったはずだし、Lushは作品を重ねる毎にシューゲイザーの表現から離れ、着実に進化していた。ところが、メンバーが自殺するという悲劇、そして程なく解散…少し堪えられれば別の評価も目前だったはずなのに…
進化の途中で活動を終わらせなければならなくなってしまったのは非常に残念である。