DESPONDENT TRANSPONDER / FLEETING JOYS [Shoegazer]
PUNK/NEW WAVEを通過してきたロックのリスナーにとって、MY BLOODY VALENTINEのLOVELESSが傑作であるのは異論のないところだと思う。この作品はロックに革命を起こした、と言っても過言ではない、とさえ思う。俺自身は発表翌年の1992年に予備知識もなく偶然購入、その斬新さにいままで経験したことの無いような強烈な衝撃を受け、ロックに対する世界観が(全てとまでは言わないまでも)変わってしまった。ある評論家は、この作品をロックの歴史の一つのマイル・ストーンと位置づけ、「LOVELESS以前、LOVELESS以降」と区分けした。かのBrian Enoも「ポピュラーミュージックの新しい形」と、絶賛した。
とにもかくにもLOVELESSという作品は他のどんな作品と比べることも不可能なオリジナリティを持っており、その麻薬的な習慣性により、多くの中毒患者を生み出した。俺自身もその一人である。当然、多くの、いや、全てのLOVELESS中毒患者は次回作を熱望した。ところが所属レーベルが突然の倒産。(一説によると、LOVELESSの制作費がかさんだことも要因の一つだったらしい)しかし、この才能を音楽業界が見逃そう筈も無く、程なくメジャー・レーベルと契約。さぁ、環境は整った。レコーディング作業はすでに終了、あとはKevin Shieldsによるミックス・ダウンを待つのみ、というニュース。ああ。俺たちは「誰よりも早く新作を聴きたい!」と、浮き足立ったさ。
ところが、いつまで経っても発表される気配がない。完璧主義者のKevinがレコーディングした素材の加工にどうしても納得が行かず、マスターを抱えこんだまま延々とミックスダウン作業を繰り返しているのだ、とか、作業中にあやまってマスターを消去してしまったのだ、とか、いやいや、そもそもレコーディング自体されていないのではないか、とか、様々な噂が流れた。
俺たちはいつ発売されるのか、それとも発売されないのかさえ解らない新譜をLOVELESSを聴きながらひたすら待つだけでは我慢できなくなってしまった。幸いにもMY BLOODY VALENTINEのフォロワーと言えるバンドは大量に存在していたので、俺達は代償行為としてそういった連中の作品に手を伸ばしたが、やはり物足りない。あの独特の浮遊感、酩酊感を得られないのだ。勿論、フォロワーとて自我があるわけであって、MY BLOODY VALENTINEにどれだけ似ているかだけを価値基準に聴かれているのではあまりにも悲しい筈で、当然、自分たち独自のカラーも出したい、と考えるのは当たり前である。
と、思っていたのであるが。
DESPONDENT TRANSPONDER / FLEETING JOYS
なんじゃ?この作品?何から何までLOVELESSにそっくりじゃねぇか!
そう、MY BLOODY VALENTINEに似ているのではない。LOVELESSという『作品』にそっくりなのだ。これはフォロワー、というより、クローンと言ってしまってもいいかもしれない。
とにかく、騙されたと思ってアルバムの一曲目を聴いてみて欲しい。
この通りである。まるでLOVELESSの最終曲、Soonから繋がっているかのようなイントロ。ギターの揺らぎ、ぶっきらぼうなベース、耽美で美しいメロディーを囁くように歌うボーカル、勿論、ノイズ成分たっぷりのうねる轟音、もう、どこをとってもLOVELESSそのもの。こいつらの曲がLOVELESSに紛れ込んでいても解らないのではないか、とさえ思う。いやいや、MY BLOODY VALENTINEの新作、と言っても通用するかもしれない。そこまで似ている。ある知人にこのアルバムを聴かせたところ「いくらオリジナル曲とはいえ、ここまで音響、曲調が似ていると著作権法にひっかかるのではないか?」と言った程だ。
どうもこのFLEETING JOYSなるバンド、アメリカの夫婦者のみの二人組によるユニットらしい。それにしてもよくぞここまで似せられたものだ。相当MY BLOODY VALENTINE、いや、LOVELESSを分析的に研究したはずだ。オリジナリティは全くないが、とにかくお見事としか言いようが無い。
この作品、LOVELESS禁断症状が出ている中毒患者には強力に推奨する。もう、アルバム通して笑えるくらい似ている。
ところで、肝心のMY BLOODY VALENTINEは2008年に再結成(と、言うより解散してなかったんだから再集結、か)、フジ・ロック・フェスにも出演したが、職場の若い同僚がうらやましいことに同日、観に行くらしいことが判明。ところが、本人はMY BLOODY VALENTINEを全く知らないという。それどころか、「目当てのバンドの出番が終わったらさっさと帰ろうと思う」とまで言いやがった。ありえねぇ。俺は、「MY BLOODY VALENTINEを生で見られることがどんなにありがたいことかお前は理解していない。いいか、一音たりとも聞き逃すな」などと、とくとくと説いた。本人は迷惑がっていたが、後日、「凄かった。歴史的な瞬間に立ち会った実感があった」と、感想を述べていた。そりゃそーだろーよ。
しかし、あれだよな、もし再結成したMY BLOODY VALENTINEが新作を発表したら、途端にこの作品の価値は全くなくなるだろうな。まぁ、どうせ出ないと思うけど。
こっちが元ネタ(笑)
とにもかくにもLOVELESSという作品は他のどんな作品と比べることも不可能なオリジナリティを持っており、その麻薬的な習慣性により、多くの中毒患者を生み出した。俺自身もその一人である。当然、多くの、いや、全てのLOVELESS中毒患者は次回作を熱望した。ところが所属レーベルが突然の倒産。(一説によると、LOVELESSの制作費がかさんだことも要因の一つだったらしい)しかし、この才能を音楽業界が見逃そう筈も無く、程なくメジャー・レーベルと契約。さぁ、環境は整った。レコーディング作業はすでに終了、あとはKevin Shieldsによるミックス・ダウンを待つのみ、というニュース。ああ。俺たちは「誰よりも早く新作を聴きたい!」と、浮き足立ったさ。
ところが、いつまで経っても発表される気配がない。完璧主義者のKevinがレコーディングした素材の加工にどうしても納得が行かず、マスターを抱えこんだまま延々とミックスダウン作業を繰り返しているのだ、とか、作業中にあやまってマスターを消去してしまったのだ、とか、いやいや、そもそもレコーディング自体されていないのではないか、とか、様々な噂が流れた。
俺たちはいつ発売されるのか、それとも発売されないのかさえ解らない新譜をLOVELESSを聴きながらひたすら待つだけでは我慢できなくなってしまった。幸いにもMY BLOODY VALENTINEのフォロワーと言えるバンドは大量に存在していたので、俺達は代償行為としてそういった連中の作品に手を伸ばしたが、やはり物足りない。あの独特の浮遊感、酩酊感を得られないのだ。勿論、フォロワーとて自我があるわけであって、MY BLOODY VALENTINEにどれだけ似ているかだけを価値基準に聴かれているのではあまりにも悲しい筈で、当然、自分たち独自のカラーも出したい、と考えるのは当たり前である。
と、思っていたのであるが。
DESPONDENT TRANSPONDER / FLEETING JOYS
なんじゃ?この作品?何から何までLOVELESSにそっくりじゃねぇか!
そう、MY BLOODY VALENTINEに似ているのではない。LOVELESSという『作品』にそっくりなのだ。これはフォロワー、というより、クローンと言ってしまってもいいかもしれない。
とにかく、騙されたと思ってアルバムの一曲目を聴いてみて欲しい。
この通りである。まるでLOVELESSの最終曲、Soonから繋がっているかのようなイントロ。ギターの揺らぎ、ぶっきらぼうなベース、耽美で美しいメロディーを囁くように歌うボーカル、勿論、ノイズ成分たっぷりのうねる轟音、もう、どこをとってもLOVELESSそのもの。こいつらの曲がLOVELESSに紛れ込んでいても解らないのではないか、とさえ思う。いやいや、MY BLOODY VALENTINEの新作、と言っても通用するかもしれない。そこまで似ている。ある知人にこのアルバムを聴かせたところ「いくらオリジナル曲とはいえ、ここまで音響、曲調が似ていると著作権法にひっかかるのではないか?」と言った程だ。
どうもこのFLEETING JOYSなるバンド、アメリカの夫婦者のみの二人組によるユニットらしい。それにしてもよくぞここまで似せられたものだ。相当MY BLOODY VALENTINE、いや、LOVELESSを分析的に研究したはずだ。オリジナリティは全くないが、とにかくお見事としか言いようが無い。
この作品、LOVELESS禁断症状が出ている中毒患者には強力に推奨する。もう、アルバム通して笑えるくらい似ている。
ところで、肝心のMY BLOODY VALENTINEは2008年に再結成(と、言うより解散してなかったんだから再集結、か)、フジ・ロック・フェスにも出演したが、職場の若い同僚がうらやましいことに同日、観に行くらしいことが判明。ところが、本人はMY BLOODY VALENTINEを全く知らないという。それどころか、「目当てのバンドの出番が終わったらさっさと帰ろうと思う」とまで言いやがった。ありえねぇ。俺は、「MY BLOODY VALENTINEを生で見られることがどんなにありがたいことかお前は理解していない。いいか、一音たりとも聞き逃すな」などと、とくとくと説いた。本人は迷惑がっていたが、後日、「凄かった。歴史的な瞬間に立ち会った実感があった」と、感想を述べていた。そりゃそーだろーよ。
しかし、あれだよな、もし再結成したMY BLOODY VALENTINEが新作を発表したら、途端にこの作品の価値は全くなくなるだろうな。まぁ、どうせ出ないと思うけど。
こっちが元ネタ(笑)
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