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ハードロックの聖典、IN ROCK / DEEP PURPLE [HM/HR]

台風の影響なのか、俺が住んでいる東京地方は熱風が吹き荒れている・・・暑い・・・ええい、ここまで来たらもっと暑苦しいものを聴いてやれ、とばかりに選んだのが、これ。

IN ROCK / DEEP PURPLE

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今更断るまでも無い。1971年発表、DEEP PURPLEがハード・ロックへと大転身を遂げた記念碑的作品にして大名盤である。ハイ・トーンでシャウトするというHMのボーカルの典型的スタイルを作ったのがこの作品である。これは暑苦しいぞ。

作品全体の印象。音の核となっているのはIan Paiceの手数が多いながらもツボを絶対に外さない堅実なドラム(この人の評価は実力、バンドへの貢献度と比較してあまりにも低すぎると思う)。そしてギターのリフをユニゾンでサポートするRodger Globerのぶっとい音のベース。John Lordのハモンドが音に厚みと色、若干の格調を与え、この上をヒステリックなRitchie Blackmoreのギターが思うがままに暴れまわり、ケダモノIan Gillanが叫ぶ(笑)という、爆音暴力音絵巻である。

改めて聴いてみてその認識を新たにしたが、Ritchie Blackmoreという人は本当にギターを乱暴に扱う。このアルバムの1曲目に収録されているSpeed Kingの導入部で聴かれるいきなりフリー・フォームな部分では、折れんばかりの過度のアーミング、ピックを弦に擦り付けてのグリッサンド、マイクスタンド(もしかしたらアンプの角かもしれない)にネックを当てての超破壊的なグリッサンド(フレットが確実に痛むぞ←経験あり)と、暴虐の限りを尽くしている。こんなことしたら本来の曲に入る前にチューニングはズタズタのはずである。また、アルバムの最後を飾るHard Lovin' Manもほぼ同様の破壊的プレイで終わる。ライブ・パフォーマンスの一環でやるのなら話はわかるのだが、スタジオ録音で果たしてここまでやる必要があるのだろうか?

答え。あるのだ。Ritchieが音を無難にまとめようなどと考え、お行儀良く弾いていたのではこのアルバムの凄みは半減してしまっていたことだろう。特に、Rodger Globerのぶっといベース、Ian Gillanのハイトーン・シャウトに対抗するにはこれしかあるまい。『このボケ、よう見とけ。わしが本気になったらここまでやるんじゃ。』といったところであろうか。(そんなバカな・・・)

それにしてもこの作品から参加したIan Gillanもいい度胸をしている。普通は参加一作目ともなれば多少は遠慮でもしそうなものだが、さすがにRitchieやJohn Lordがソロを取っている最中こそおとなしくしているものの、隙あらば叫ぶ。歌っている最中でも叫ぶ。というより、叫びながら歌っているといった方が正しいかもしれない。品性のかけらも無い。後に日本の『王様』というミュージシャンがDeep Purpleの直訳日本語カバーでその歌詞の意味の無さを晴天白日の元にさらし、薄々気がついていたパープル・ファンを「やはりそうであったか・・・」と納得させたものだが、よくぞあんな内容の無い歌詞を自信たっぷりに叫びまくれるものだ。どのように精神をコントロールしていたのだろう?そして、あの「叫べ!」と言わんばかりのボーカルのメロディーラインはいったい誰が決めたのだろう?まぁ、痛快と言えば痛快ではあり、彼のシャウトがこの作品の暴力的印象を決定付けるのに一役も二役もかっているわけだが。
残念なのは、ライブでは向こう見ずなシャウトを聴かせるChild InTimeのスキャット部分が奥に引っ込んだミックスになっており、シャウト自体もライブに比べて若干おとなしくなってしまっていることである。これはIan Gillanのみならず、ミキサーの責任も大きい。もっと大きな音で出してもよかったはずである。

と、いいつつも、この作品が70年代のハード・ロックの道標、そして推進力となったことは間違いない。ロックの歴史上、極めて重要な意味を持つ作品である。

因みに、俺が最近購入したCDにはボーナス・トラックとして当時シングルでのみ発売されていたBlack Nightが収録されている。昔から気が付いてはいたが、ギターの出だしの音が半拍近く遅れている。これは演奏のミスではなく、多分ミキサーがトラックダウンを行う際にフェーダーを上げるタイミングを一瞬遅らせてしまった不手際のせいだと思われるが、よくぞこのまま発売したものだ。もしかしたらメンバーはツアー中かなにかで忙しく、最終トラック・ダウンを聴かずして発売されてしまったのではないだろうか。それにしてもRitchieはこれを聴いて怒らなかったのだろうか?いやいや、絶対に怒ったに決まっている。もしかしたら愛用のストラトキャスターでミキサーをぶん殴っているかもしれない。

そうそう、思い出した。そういえばRAINBOWの来日時、知り合いを通じてRitchieが使用していたピックを貰った記憶がある。5角形の妙な形をしたやつだったが、あれはどこに行ったんだろう?探せば出てくるかな?熱心なRitchieファンだった後輩にせがまれてあげてしまったような気もするが・・・お~い、S、もしお前が持っていたら返せ(笑)。

In Rock: 25th Anniversary (UK)

In Rock: 25th Anniversary (UK)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI
  • 発売日: 1998/06/30
  • メディア: CD

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