7(or 8) / KINSKI [Rock]
先日、何か面白そうな音は無いか、と、ネット上を徘徊していると、ちょっと気にかけているバンドが新作を発表していた。が、あまりのアートワークのダサさに瞬時に凍り付いてしまった。
「もしかしたらこれは同名の別バンドではないのか?」との疑念を払拭出来ず、一曲目を試聴。と、いきなりもの凄い爆裂ギターが襲って来た。「間違いない。あのバンドだ。それにしてもこの音創りの変り様は何事だ?」と、戸惑いながらも購入。
7(or 8) / KINSKI
う〜ん、何度見ても否定したくなるジャケットだ・・・
KINSKIは1990年代後半から活動を続けているシアトルのバンド。俺自身は3枚目(多分)のAris Above Your Stationをジャケ買いし、MOGWAIにも通じるような思慮深い音の佇まい、時折見せるパンキッシュな表現の凶暴さを気に入り、その後、作品が発表されているのを見かけると購入するようにしているのだが・・・
実はこのバンド、アルバムによって作風に極端なバラつきがある。前述のようにPost Rockな雰囲気を漂わせた味わい深い作品を発表したかと思うと、アルバム通してまとまったメロディーはおろか、リズムらしきものがない不可解な音響を延々と連ねた「ハテナ?」な作品を投げつけて来やがったりする。不幸にも俺はそういった、聴き手に極度の我慢を強いる作品を2枚ほど所有している。いや、懸案の2作品はダウンロード購入したので、「2枚」と言う表現は厳密に言えば正しくないのだが、だったら尚更、試聴した時になんで購入に踏み切ったのか、当時の自分に突っ込みを入れたくなるぜ。
さて、肝心の今作だが、全7曲中2曲のみ、昔のPost Rock時代の名残を感じさせる奥行きのある演奏が披露されているが、それ以外は爆音ギターが暴れまくるガレージ・ロック風の曲が目白押し。ボーカルが聞かれるのは2曲のみ。まぁ、もともとKINSKIはインストゥルメンタル中心のバンドだったので不思議ではないのだが、以前は音響のバリエーションを工夫して曲を組み立てていた(時期もあった)にもかかわらず、今回は一本調子な超破壊的音響で強行突破だ。
それにしてもこの過剰なまでのギターの歪み具合、そして稚拙ともとられかねないソロは何事だ?15年以上のキャリア、10作以上の作品を送り出して来たバンドとはとても思えない。が、小手先の技術を封印し、迸る感情をセオリーを無視してギターにぶつけたそのプレイは脳幹にダイレクトに訴えかけてくる。これを、「ソロが下手で聞くに堪えない」と思う者は、音が根源的に持つ力というものを考え直す必要がある、と、俺は思う。
実は、俺の知る限り、KINSKIのガレージ寄りの音創りは、少なくとも前作、Cosy Momentから顕著になっていた。まぁ、元々彼らはグランジの聖地、シアトルのバンドである訳だからして、こういうタイプの音に散々さらされて来たはずであって、見方を変えれば、バンド発足当時にブームを迎えつつあった音響派のPost Rockを目指してはみたものの、長い時間をかけて試行錯誤した結果、自分たちのルーツに回帰した、と考えられなくもない。
総じてこのアルバム、曲の出来・不出来に若干のバラつきを感じるものの、まぁ、これは好みの問題でもあろう。個人的には1曲目、Detroit Trickle Downが醸し出す、Evil Heat時代のPrimal ScreamがKevinの発案でMy Bloody Valentine用に創った曲を全力で演奏したような雰囲気がツボ。6分14秒を一切スピードを落とす事無く駆け抜ける入魂のインスト爆音ロック。何度聴いても鳥肌がたつ。
前述の通りなので、豊かなリフや流麗なギター・ソロを絶対的な価値基準にする前頭葉に赤錆が浮き出たメタル野郎には絶対に受け入れられないだろう。が、グランジ/オルタナの潮流に身を投じ、「技術だけが全てではない」と言う事をリアル体験した者は、爆笑しながらも、「そうきたか〜!」と、膝を叩き、喜ぶことだろう。
と、言う訳で、限定的に強力推奨!
「もしかしたらこれは同名の別バンドではないのか?」との疑念を払拭出来ず、一曲目を試聴。と、いきなりもの凄い爆裂ギターが襲って来た。「間違いない。あのバンドだ。それにしてもこの音創りの変り様は何事だ?」と、戸惑いながらも購入。
7(or 8) / KINSKI
う〜ん、何度見ても否定したくなるジャケットだ・・・
KINSKIは1990年代後半から活動を続けているシアトルのバンド。俺自身は3枚目(多分)のAris Above Your Stationをジャケ買いし、MOGWAIにも通じるような思慮深い音の佇まい、時折見せるパンキッシュな表現の凶暴さを気に入り、その後、作品が発表されているのを見かけると購入するようにしているのだが・・・
実はこのバンド、アルバムによって作風に極端なバラつきがある。前述のようにPost Rockな雰囲気を漂わせた味わい深い作品を発表したかと思うと、アルバム通してまとまったメロディーはおろか、リズムらしきものがない不可解な音響を延々と連ねた「ハテナ?」な作品を投げつけて来やがったりする。不幸にも俺はそういった、聴き手に極度の我慢を強いる作品を2枚ほど所有している。いや、懸案の2作品はダウンロード購入したので、「2枚」と言う表現は厳密に言えば正しくないのだが、だったら尚更、試聴した時になんで購入に踏み切ったのか、当時の自分に突っ込みを入れたくなるぜ。
さて、肝心の今作だが、全7曲中2曲のみ、昔のPost Rock時代の名残を感じさせる奥行きのある演奏が披露されているが、それ以外は爆音ギターが暴れまくるガレージ・ロック風の曲が目白押し。ボーカルが聞かれるのは2曲のみ。まぁ、もともとKINSKIはインストゥルメンタル中心のバンドだったので不思議ではないのだが、以前は音響のバリエーションを工夫して曲を組み立てていた(時期もあった)にもかかわらず、今回は一本調子な超破壊的音響で強行突破だ。
それにしてもこの過剰なまでのギターの歪み具合、そして稚拙ともとられかねないソロは何事だ?15年以上のキャリア、10作以上の作品を送り出して来たバンドとはとても思えない。が、小手先の技術を封印し、迸る感情をセオリーを無視してギターにぶつけたそのプレイは脳幹にダイレクトに訴えかけてくる。これを、「ソロが下手で聞くに堪えない」と思う者は、音が根源的に持つ力というものを考え直す必要がある、と、俺は思う。
実は、俺の知る限り、KINSKIのガレージ寄りの音創りは、少なくとも前作、Cosy Momentから顕著になっていた。まぁ、元々彼らはグランジの聖地、シアトルのバンドである訳だからして、こういうタイプの音に散々さらされて来たはずであって、見方を変えれば、バンド発足当時にブームを迎えつつあった音響派のPost Rockを目指してはみたものの、長い時間をかけて試行錯誤した結果、自分たちのルーツに回帰した、と考えられなくもない。
総じてこのアルバム、曲の出来・不出来に若干のバラつきを感じるものの、まぁ、これは好みの問題でもあろう。個人的には1曲目、Detroit Trickle Downが醸し出す、Evil Heat時代のPrimal ScreamがKevinの発案でMy Bloody Valentine用に創った曲を全力で演奏したような雰囲気がツボ。6分14秒を一切スピードを落とす事無く駆け抜ける入魂のインスト爆音ロック。何度聴いても鳥肌がたつ。
前述の通りなので、豊かなリフや流麗なギター・ソロを絶対的な価値基準にする前頭葉に赤錆が浮き出たメタル野郎には絶対に受け入れられないだろう。が、グランジ/オルタナの潮流に身を投じ、「技術だけが全てではない」と言う事をリアル体験した者は、爆笑しながらも、「そうきたか〜!」と、膝を叩き、喜ぶことだろう。
と、言う訳で、限定的に強力推奨!
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