Sings Christmas Carols / Mark Kozelek [Rock]
世の中一斉にクリスマス。猫も杓子もクリスマス。犬も歩けばサンタに当たるってくらいクリスマスなこの時期に合わせたかのように、いや、絶対に合わせて(笑)、素晴らしい作品集が発表された。
Sings Christmas Carols / Mark Kozelek
いままで、このブログで何回か取り上げてきたSlow/Sad Coreの重鎮、Mark Kozelekの最新作。
Mark Kolerekは10年くらい前、White Christmasなる作品を発表している。そのネーミングからクリスマスソング集であることは容易に察しはつく。彼の淡々とした歌唱法で歌われるクリスマスソングとはどんなものか非常に興味があったのだが、どうやら完全限定プレスだったようで、たまに出ていてもコレクターズアイテムとしての法外な値段がつけられており、俺自身も未聴のままだ。が、今回の作品はまっとうな値段で市場に出回っている。勿論、Red House Painters時代からMark Kozelekのファンである俺にためらう理由なぞない。速攻で購入。
このアルバム、その名の通り、クリスマスの時期に歌われる歌の数々、いわゆるクリスマス・キャロルのみで構成されており、当然のごとくオリジナル曲は皆無である。
実はこの人、既存の曲のカバーを好んで行う。が、オリジナルのアレンジはおろか、メロディーさえも自分流に作り替えてしまう事も多い。中にはAC/DCの曲のみで構成されているアコースティック・アルバムもあるが、歌詞をつぶさに聴かないとどれもAC/DCの曲だなんてわからないほどだ。この手法には「遊び心」という言葉だけではで片付けることの出来ない一種のアイロニーすら感じられるが、結果として出た音はオリジナルとは全く異なった魅力があり、一筋縄ではいかないくせ者なのだ。
そんな訳だから、この作品ももしかしたら基本メロディーを徹底的に破壊したMark Kozelek流のクリスマス・ソングばかりが並んでいるのでは?と、ちらと思ったが、最近はコンサート会場に好んで教会を選んでいるらしいMark Kozelek、さすがにそんな「ばちあたり」な真似はしていなかった。
内容はと言えば、ガット・ギターから紡ぎだされる柔らかな音をバックに、大きな盛り上がりを見せずに淡々と歌われていく珠玉の曲の数々、全14曲。曲によってはMark Kozelek自身による(多分)多重録音による声の重層化が行われており、中にはこの手法によるアカペラのみの曲もある。演奏面においては部分的に装飾的なフレーズにアコースティック楽器を配置しているが、それらはけれん味なく演奏されており、ただただ静かに時間が流れていく。最終曲のみジャジーなピアノの伴奏により独唱が行われているが、これがアルバムの最後を飾るのに実にふさわしい内容。アルバム全体を俯瞰的に見れば、ところどころ節回しにロック臭さの名残を感じるものの、威圧的な表現、音響は皆無。ほとんどの曲に施された深い残響と相まって、どこまでも静謐な音世界。そして感じるかすかなぬくもり。中にはあまり耳なじみの無い曲も収録されているし、ところどころ歌詞を変えているような気もするが(確信は無い)、雰囲気は文句のつけようが無い。実に魅力的。
これは極上のクリスマス・アルバムだ。宗教的な匂いのする賛美歌のみではなく、ポピュラー音楽をも程よく織り交ぜ、神々しさと親しみやすさを同居させながらも与える印象に極端な差は感じさせない。押し付けがましいところもなく、何度でもリピートして聴ける。
イベントを盛り上げる狂騒的なクリスマス・ソングは遠慮したいロックな大人の為のクリスマス・アルバムとして、強力に推奨する。クリスマスシーズンの今、これを聴かずして何を聴くというのか?
彼が主催するレーベルのオフィシャルサイトで、アカペラによる曲を一曲だけ試聴できるので、URLを張っておく。
http://www.caldoverderecords.com/christmas/index1.html
メリー・クリスマス!
Sings Christmas Carols / Mark Kozelek
いままで、このブログで何回か取り上げてきたSlow/Sad Coreの重鎮、Mark Kozelekの最新作。
Mark Kolerekは10年くらい前、White Christmasなる作品を発表している。そのネーミングからクリスマスソング集であることは容易に察しはつく。彼の淡々とした歌唱法で歌われるクリスマスソングとはどんなものか非常に興味があったのだが、どうやら完全限定プレスだったようで、たまに出ていてもコレクターズアイテムとしての法外な値段がつけられており、俺自身も未聴のままだ。が、今回の作品はまっとうな値段で市場に出回っている。勿論、Red House Painters時代からMark Kozelekのファンである俺にためらう理由なぞない。速攻で購入。
このアルバム、その名の通り、クリスマスの時期に歌われる歌の数々、いわゆるクリスマス・キャロルのみで構成されており、当然のごとくオリジナル曲は皆無である。
実はこの人、既存の曲のカバーを好んで行う。が、オリジナルのアレンジはおろか、メロディーさえも自分流に作り替えてしまう事も多い。中にはAC/DCの曲のみで構成されているアコースティック・アルバムもあるが、歌詞をつぶさに聴かないとどれもAC/DCの曲だなんてわからないほどだ。この手法には「遊び心」という言葉だけではで片付けることの出来ない一種のアイロニーすら感じられるが、結果として出た音はオリジナルとは全く異なった魅力があり、一筋縄ではいかないくせ者なのだ。
そんな訳だから、この作品ももしかしたら基本メロディーを徹底的に破壊したMark Kozelek流のクリスマス・ソングばかりが並んでいるのでは?と、ちらと思ったが、最近はコンサート会場に好んで教会を選んでいるらしいMark Kozelek、さすがにそんな「ばちあたり」な真似はしていなかった。
内容はと言えば、ガット・ギターから紡ぎだされる柔らかな音をバックに、大きな盛り上がりを見せずに淡々と歌われていく珠玉の曲の数々、全14曲。曲によってはMark Kozelek自身による(多分)多重録音による声の重層化が行われており、中にはこの手法によるアカペラのみの曲もある。演奏面においては部分的に装飾的なフレーズにアコースティック楽器を配置しているが、それらはけれん味なく演奏されており、ただただ静かに時間が流れていく。最終曲のみジャジーなピアノの伴奏により独唱が行われているが、これがアルバムの最後を飾るのに実にふさわしい内容。アルバム全体を俯瞰的に見れば、ところどころ節回しにロック臭さの名残を感じるものの、威圧的な表現、音響は皆無。ほとんどの曲に施された深い残響と相まって、どこまでも静謐な音世界。そして感じるかすかなぬくもり。中にはあまり耳なじみの無い曲も収録されているし、ところどころ歌詞を変えているような気もするが(確信は無い)、雰囲気は文句のつけようが無い。実に魅力的。
これは極上のクリスマス・アルバムだ。宗教的な匂いのする賛美歌のみではなく、ポピュラー音楽をも程よく織り交ぜ、神々しさと親しみやすさを同居させながらも与える印象に極端な差は感じさせない。押し付けがましいところもなく、何度でもリピートして聴ける。
イベントを盛り上げる狂騒的なクリスマス・ソングは遠慮したいロックな大人の為のクリスマス・アルバムとして、強力に推奨する。クリスマスシーズンの今、これを聴かずして何を聴くというのか?
彼が主催するレーベルのオフィシャルサイトで、アカペラによる曲を一曲だけ試聴できるので、URLを張っておく。
http://www.caldoverderecords.com/christmas/index1.html
メリー・クリスマス!
2014-12-17 15:36
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