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Kveikur / Sigur Rós [Post Punk / Post Rock]

さて、1年という比較的短いタームでリリースされたSigur Rósの新作を本日入手。とは言っても、前作、Valtariがリリースされていたのを知ったのは発表後半年も経過してからだったので、俺的にはずいぶん短いタームに感じられるのだが。


前作では従来の耽美路線に回帰し、以前からのファンを一安心させてくれたが、音像が曖昧で、かつ冗長な曲が多く、「すべておまかせします」って気持ちで聴かないと途中で放棄したくなる危険性を孕んでいたことは否定出来ない。まぁ、それでも充分に魅力的な作品ではあったのだが、今作はどうなんだろう?また中途半端にアンビエントもどきの事をやってお茶を濁すつもりじゃないだろうな?でも、あそこまでやっちゃったらそれしか進むべき道はないんじゃないだろうか?と、今から聴くに際して、若干の猜疑心を払拭できないのだが・・・今回も聴きながらリアルタイムで第一印象を書きなぐってみようと思う。
 

Kveikur / Sigur Rós

sigur ros k.jpg

では、行きます。

1曲目。お〜、やたら破壊的なノイズの中から力強いビートを伴った潔い演奏。ボーカルもしっかり歌っている。深くエコーのかかったギターの音が戻ってきている。これ、すごくまともな曲だ。名盤、Ágætis byrjunに収録されていても不思議じゃない。中盤、すっと音圧がなくなってからの展開もいい。それにしてもベースがすごく主張しているなぁ。8分弱の曲中、最後の2分はノイジーな音を交えた曖昧なアンビエント風味になっているのは残念。

2曲目。導入部から金物のパーカッションが印象的。この曲もボーカルがまともに歌っている。あ、転調した。おー、早くも盛り上げにかかった。クサいメロディーだが、これぞSigur Rósの真骨頂だな。最後はホーンのみで1分押し通した・・・

3曲目。生々しいドラム、全音符のベース、音に煌めきを与えるグロッケンと単音引きのギター。ボーカルもしっかりしている。普通にかっこいいぞ、この曲。若干一本調子な印象はあるが、これはありだ。残り1分で曲はリフレインに入った。最後40秒で音圧が落ち、メインテーマで終了。

4曲目。ベースのボリュームペダルを多用した演奏。ドラムはキックのみ。ところどころ逆回転のような効果音も使っている。これは有効に作用している。あ、リズムが生まれた。うおー、鳥肌が立ってきた。残り30秒、やっぱり落ち着いた感じになっちゃうのね。まぁ、しょうがないか、と思っていたらボーカルの逆回転ノイズ。

5曲目。ささやかな発信音のような音のなかからギターの単音弾き。いきなり高らかに歌い上げはじまった。散発的なパーカッションのプレイが突如まとまりを持ったリズムを叩き出した。かと思うと、唐突にプレイを中断。そして再開。う〜ん、意表をついた効果的なアレンジだなぁ。ちょっとハウスっぽさも感じさせる。この曲もグロッケンの音の煌めきが要所で絶大な効果を上げている。あ、一瞬だけだがバイオリンが演奏に参入。そのまま繰り返しで終わりか。

6曲目。不穏で破壊的なノイズを切り裂くかのようにボーカルが力強く歌い始める。あ、ドラムが参入。あー、カッコいい。鳥肌立ちっぱなし。Sigur Rósにしてはテンポが早めだな。あ、ギターのハウリングをリズミカルに切ってうまく演奏に取り入れている。これはいいアイデアだ。2分を残してリフレインに突入。このまま力技で押し切るのか?いや、やっぱり残り1分くらいで展開した。なんだ?このノイズ?おそらく主にベースで出しているものだと思うが、妙に金属的。怪獣の咆哮のような印象。

7曲目。前曲の陰惨な終わり方とは対照的に清冽な印象のストリングス系の音。ファルセットでひとしきり歌うと、リズムが参入。あ、また鳥肌立った。おお、ギターの破壊的な音響。ソロ未満ではあるが、実に効果的。残り2分でいったんリズムが引き、ピアノとグロッケン、ボーカルのみに。さぁ、ここから一気に突き抜けるつもりだな。案の定、リズムが生まれ、徐々に音圧を増してきた。ここでも鳥肌。このまま終わるかと思いきや、ボーカルも参入。いい雰囲気だ。ボーカルの1フレーズのみをのこし、あっけなく曲は終わる。

8曲目。ギターの単音とボーカル。ほどなく破壊的な音響のベースが散発的で効果音のようなプレイを聴かせる。控えめなドラムのプレイがしばらく続くが、程なく全楽器が一気に音量を上げ、大団円に突き進む。おお、凄い爆発力。また鳥肌。あ、やはり最後の1分半はクールダウンして終わる訳ね。この方法論は曲げられないんだろうな。

さぁ。最後の曲。俺の予想では、これまでとは一転、静謐な印象に徹するのではと思うが・・・あ、やはりピアノでゆったりと始まった。周囲を取り囲む密やかなコーラスとストリングス系の音。遠くで鳴っているようなノイジーなギター。ピアノの音はオルガンに引き継がれて、音はどんどんと細くなり・・・終了!


以上!


正直な感想。これ、凄いわ。俺の予想と全くちがっていた。Valtariの中途半端なアンビエント風の曖昧路線は潔く断ち切っている。かといって、Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaustの時のような嘘くさいハッピーさも無い。あえていうなら、Ágætis byrjunを生々しく、力強くした感じ、とでも形容すれば解りやすいだろうか?

勿論、彼らお得意の曖昧な音響も様々な局面で聴かれるし、ボーカルにも相当エフェクトをかけている。空間的奥行き、及び広がりを感じさせる音響処理へのこだわりや、耽美でおセンチな作風は変わっていないが、ここに力強さが加わり、バンドらしさが全面に出ている。Sigur Rósらしさをちゃんと残しながらも「バンドとして」一皮剥けた感じ。

最後の曲はエピローグと解釈し、置いておくとして、本編に全く捨て曲が無いのも凄い。アレンジもよく練られている。似たような曲調の曲もあるが、全く飽きる事がない。少なくとも、一度たりとも「次の曲に飛ばしたい」とは思わなかった。若干エンディングの処理が冗長に感じる曲が散見されるものの、これは彼らの作風と考えれば納得が行く。酩酊感や浮遊感が後退しているのは残念だが、何よりも、それらを補って余りある説得力のある楽曲、及びそれらを際立たせるアレンジ。これはとても魅力的だ。俺は少なくとも5回は鳥肌を立てた。


結論。これは力作。強く、強く推奨する。必ず、一定の満足感を与えてくれる筈だ。
 

 
Kveikur

Kveikur

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Xl Recordings
  • 発売日: 2013/06/25
  • メディア: CD



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