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Roman Roads IV - XI / Land Observations [Ambient/New Age/Experimental]

先日、某音楽ダウンロード販売サイトで面白そうなものはないか、と適当に捜していたところ、偶然巡り会った作品。久々の拾い物。

Roman Roads IV - XI / Land Observations

land o bservations.jpg

購入時にはアーティストについての事前情報は一切知らず、部分的に試聴し、直感で決めた。何せ海外のサイトからダウンロード購入したもので、詳しい情報が一切無く、ちょっとググってみたところ、どうやらこのLand Observatiosというプロジェクト、Applianceというバンド(知らん)に在籍していたJames Brooksなる人物(もちろん、知らん)のソロ名義の名前らしい。

この作品、ローマ街道をテーマにしたコンセプト・アルバムの体裁をとっているようだ。アルバム名、収録曲名からも容易に察知することが出来る。さらに言えばプロジェクト名にも情景描写の姿勢が表れている。

肝心の内容だが、エレクトリック・ギターの多重録音により構成されている。前述の通り、ダウンロード購入したので文字情報が極端に少なく、James Brooksなる人物以外の録音参加メンバーは不明だが、何度か分析的に聴いたところ、多分、ドラムもベースも不在のようだ。パーカッシブな音も聴いて取れるが、よくよく耳を澄ませば、全弦をミュートし、ダウン・ストロークでカッティングして音を出している。また、シンセ風のロング・サスティーン音も聴かれるが、これはE-Bowを使っているのだろう。あ、もちろん、ボーカルも不在。

技術的にはそんなに難しい事をやっているわけではない。8トラックの宅録機材でも出来そうだ、っつーか本当にその程度の機材でやっているのではないかなぁと思わせる節もある。

複数のギターによる比較的簡易な演奏が重層的に積み重なり、その上にメロディーラインが乗る。全ての音が綿密に設計されており、無駄なフレージングは聴かれない。このあたりは非常に好印象。さらに良い傾向として、使われているギターの音色が意外にもナチュラルで、基本的にエフェクト控えめな音が中心。全ての局面において冷静沈着に演奏を行っており、威圧的な音響も無い。当然、情感に任せた無軌道なソロも聴かれない。ひたすら禁欲的にギターの音が積み重なって行く音像は非常に真面目な印象、ではあるのだが。

「ギタリストのソロ・プロジェクト」という形態的な特色がそう思わせるのか、Durutti Columnを想起させられる部分もある。しかし、Viniと比較出来る程、音に色気、ぬくもり、表情が感じられない。また、ギターの多重録音作品となると、どうしてもManuel GöttschingのInvantions For Electric Guitarを引き合いに出したくなるが、Manuel Göttschingの偏執的なまでの冷徹さは無い。つまり、ギタリストの多重録音作品としては、「ぬるい」と、言わざるをえないのだ。

致命的な欠点のある曲、演奏は無い。小粒ながらもどの曲にもそれなりの魅力はあり、実直に演奏している姿が手に取るように解るが、曲調も演奏も淡々としており、突き抜けていない感を免れないのは否定しようもなく、結果、作品全体を通して単調な印象になってしまっているのは残念。

しかし、分析的に聴くと前述のようなマイナス面にも気がついてしまうが、聴き方によってはその盛り上がりのないフラットな感じが魅力であることも間違いない。事実、俺自身は購入した事を後悔していないどころか、何度も繰り返し聴いている。というか、流している。生活音楽として気軽に聴ける佳作。

「なんか、邪魔にならず、さらっと聴ける音が欲しいなぁ」と、思っている方にはお勧めする。
 

Roman Roads IV-XI

Roman Roads IV-XI

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Mute U.S.
  • 発売日: 2012/10/22
  • メディア: CD


 
 
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