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閉ざされた町 / カルメン・マキ&OZ [Rock]

最近、あまり日本のロックを聴かない。別に毛嫌いしているわけではないが、現在、一般に流通している日本のロック(といわれている音楽)の歌詞の多くがピンとこないのだ。外国語の歌詞ならろくに聞き取れないのをいいことに、演奏中心もしくは雰囲気で聴いている洋楽ファン(死語?)も多いと思うし、事実俺自身がそうであるが、日本語だとダイレクトに内容が伝わってしまうので、妙なツボを押されると聴いていて気恥ずかしくなってしまうのである。
しかし、これはちょっと考えればあたりまえの話である。市場に流通するロックの多くは大量消費層、即ち青少年にアピールするように創られており、歌詞も例外ではないのだからして、40過ぎのオヤジが若者向けの歌詞にいちいち感情移入する方がどうかしている。

ま、現在の国産ロックで歌われている歌詞の全てが大人の経験則では聞くに堪えない、という訳ではないとは思うが、山ほどの若者向けの中から歌詞の面でオヤジが共感出来るようなテーマを扱うグループを捜し出すのは非常に困難だ。年齢層別のマーケティングも行われているのだろうが、残念ながら俺は雑誌もほとんど読まないのでお手上げ状態なのである。

勿論、俺が昔から日本のミュージシャンの作品を聴かなかったかというとそうではない。学生時代は、外道、四人囃子、はっぴいえんど、ロックではないが荒井由美や井上陽水なんぞも好んで聴き、存分に感情移入していた。そして中でも一番気に入っていたのがこのバンドである。

閉ざされた町 / カルメン・マキ&OZ

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76年発表、日本のロックの黎明期を飾った名バンドの2作目。発売当時LPを購入してそれこそ擦り切れる程聴いたが、数年前CDで買い直した。

ご存知の通り、カルメン・マキは「時には母の無い子のように」で一世を風靡し、フォーク歌手として広く認知されたが、そのキャリアを捨てこのバンドでロック歌手に転向した。この作品で歌われている歌詞の表現や言葉の選び方、つなげ方に若干フォークソングの名残を残しているように感じる。これは歌詞がこの時代の雰囲気を的確に表現してているからなのかもしれない。ちなみに、この作品で作詞を担当している加治木剛とは、なんとあのダディ竹千代と同一人物。びっくりである。

こう書くと、フォーク歌手のバックを小手先の器用なスタジオミュージシャンが固め、可も無く不可も無く無難な演奏をしているのではないか、と思うかもしれないが、とんでもない。勿論、カルメン・マキは素晴らしい歌唱力で謳いあげているが、各楽器奏者も負けじと素晴らしいプレイを繰り広げている。
小品、「イントロダクション」と「エピローグ」に挟まれた5曲は非常にバリエーションに富んでいる。特にギター以上の自由さでベースが暴れまわる「崩壊の前日」の圧倒的なパワー、意表をつくブレイクは今聴いても鳥肌ものだ。又、リフが印象的な表題曲、「閉ざされた町」はシュールな歌詞がドラマティックな展開とあいまって絶望感の漂う独特な雰囲気を作り出す。エンディング部分のシャウトはあまりにも壮絶。他にも抑制された演奏とアンニュイなボーカルが魅力的な「振り子の無い時計」、オルガンが印象的な「火の鳥」、バラード調の前半部分と一転してへヴィな後半部分の対比が鮮やかな「Lost Love」と、全曲が素晴らしく、アルバム全体を通してみれば、King Crimson、Black Sabbath等の影響を十分咀嚼し、スター歌手に必要以上に譲らないロック・スピリットに溢れるメンバーに支えられ、歌唱力のあるボーカルがのびのびと謳いあげる情緒的で良質なハードロックという印象だ。日本ロック史上に残る大名盤と言える。

ちなみに、どう見ても外人顔のカルメン・マキ(確かハーフだったと思う)が、中途半端な英語の歌詞を歌わず、あえて日本語で通したことは大正解だったと思う。


閉ざされた町

閉ざされた町

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キティ
  • 発売日: 1994/11/26
  • メディア: CD


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shino-chan

コメント欄に失礼しますが⋯過って使用しているBlogまで削除してしまいました(*д*)アワアワ またどこかでBlogか仕事用HPのダイアリーとして復活させようかと思ってます。  酩酊状態の時はおとなしく睡眠をとってくださいましてね〜。
by shino-chan (2006-02-16 18:25) 

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