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伊福部昭 (ゴジラと共に永遠なれ) [音楽一般]

現代日本を代表する偉大な作曲家、伊福部昭が他界した。

伊福部昭は数多くの音楽作品を残したが、彼の仕事で最も有名なのは、一連の怪獣映画の映画音楽ではあるまいか?彼の創りだす荘重なその響きは、神の怒りに触れた人間に暴虐の限りを尽くす怪獣達のイメージを決定付けた。あの有名なテーマ曲がなければ、ゴジラがこれほどまでに人気が出たかどうかも疑問だ。

日本作曲家選輯 伊福部 昭 / ドミトリ・ヤブロンスキー/ロシア・フィルハーモニー管弦楽団

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伊福部昭の音楽をロシアの楽団が演奏した作品集。廉価盤で有名なNAXOSレーベルからの発売。某ショップで偶然見つけ、大興奮で購入した。

このCDは伊福部昭作曲の作品6曲で構成されているが、やはり俺にとっては、最後に収録されている「SF交響ファンタジー第1番」が一番価値が高い。これは、東宝の怪獣映画用に作曲された作品の数々を演奏会用につなげて再編成した作品で、本当は3番まで存在する。目を閉じて聴けば、怪獣たちが銀幕せましと暴れまわるあのシーンこのシーンが鮮やかに思い出される。地鳴りと共に山の陰から姿を現すゴジラ、福岡の町を暴風に巻き込むラドン、炎の中から生まれ地上に舞い降りる暴君キングギドラ…子供の頃、怪獣達の活躍にわくわくした感覚がよみがえり、もう涙ウルウルである。

俺ごときが巨匠、伊福部昭の音楽をどうのこうの言う資格は全く無い。勿論、曲は全てが素晴らしい。
しかし、演奏内容に関しては・・・なんつーか、いまいちなんだよなぁ・・・なんだか、やたらとさらっとしており、明らかに「譜面に忠実に演奏しました」ということが見え見えなのだ。

勿論、譜面とは作曲者の意図を伝えるためのなので、「譜面通り」なのは当然と言えば当然なのだが、作曲者の意思の全てが譜面に記されているわけではないんだよなぁ。各章の前後関係から本来の意図を洞察し、それから大きく逸脱しない範囲で解釈を加え、符号の羅列である譜面から音を蘇らせることが指揮者の役目のはずなのに…

この解釈不足は演奏面にも悪影響を与えているんじゃないか?いたるところでフレーズの出だしや収束部分がなし崩しに雪崩れ現象を起こしており、曖昧な印象を与える。明らかにリハーサル不足。トランペットにいたってはとんでもないところでブレスを入れていたりするし。許すまじ。

さらに細かいことを言えば、ゴジラのメインテーマに入る前にはリタルダンドするべきだとか、ラドンのテーマに入る直前の大太鼓の一発はもっと重々しくなければならないとか、銅鑼は全体的にもっと溜めなければならないとか、地球防衛軍のテーマ(多分)はもっと勇壮でなければならないとか…まぁこれらは映画に思い入れがある人にしかわからないんだけど、とにかく、隔靴掻痒の感を免れない。

と、今気が付いた。多分、指揮者、演奏者はこの曲の元となった曲が使われている東宝の怪獣映画を観ていないから、「ツボ」がわからないのだ。(あたりまえか…)もし、銀幕に踊る怪獣達に愛情を持っていたら、こんなぶっきらぼうな演奏になりっこない。

とはいいつつ、やっぱいいんだよなぁ、この曲。今日、通勤中に何度も繰り返して聴いた。それに千円札一枚程度でこれだけわくわくすることが出来るなんて、なんともお買い得。

それにしてもモスラ。あいつはいいやつだった。そうだ、思い出したぞ。KISSのジーン・シモンズは大の怪獣ファンで、モスラの歌を歌えるんだそうだ。なんだか解るような気がする・・・

後日記:調べたところによると、俺がラドンのテーマだと思っていた部分はどうやら他の曲だったようだ。ラドンが登場していたシーンにあのメロディーが流れていたことは間違いないと思うんだがなぁ・・・


伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ

伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ

  • アーティスト: 伊福部昭,ドミトリ・ヤブロンスキー,エカテリーナ・サランツェヴァ
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2004/12/01
  • メディア: CD

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コメント 1

ぱうだー

伊福部 昭 の音楽をロシアの楽団が演奏・・・すごいですね。
ゴジラが山から顔を出すシーン、忘れられません!
ゴジラ登場のシーンや国防軍の出撃シーンの曲なんか最高ですよね。
聴いてみたいなぁ・・・
>通勤中に何度も繰り返して聴いた。・・・いいなぁ。
by ぱうだー (2006-02-14 00:02) 

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