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北欧前衛ポップ (The World Is Saved / Stina Nordenstam) [Pops]

Sigur Rosの新作を買うつもりでショップに出かけたが、知らないうちにお気に入りの女性アーティストの新作が発売されていたことに気がつき、急遽方向転換、速攻で購入。一度に二枚も新作を買うと消化しきれないので残念ながらSigur Rosは後回しだ。

最近、「アーティスト」という言葉が昔に比べて安易に使われているような気がしてならない。自らは創作活動を行わず、商業音楽作曲家・作詞家に委託した曲を自分の持ち歌にして、(人によっては自作と偽り)マスメディアとの緊密な協力体制で大衆の志向をでっち上げ、大量購買層(若者)に迎合した流行の曲調、音処理、判りやすいメッセージでメガ・ヒットを送り出す流行歌手すら、「アーティスト」と呼ばれているような気がする・・・

え?最近は歌手のこともアーティストっていうの?あ、そうなんですか・・・

ま、それはともかく、STINA NORDENSTAMは間違いなくアーティスト(芸術家)だ。

THE WORLD IS SAVED / STINA NORDENSTAM

stina wws.jpg



スウェーデンだったかデンマークだったかノルウェーだったか忘れたが、とにかく北欧の女性アーティスト。特に彼女の作品を心待ちにしているわけではないのだが、新作が出ているのを見ると迷わず買う。
彼女の作品は1992年発表のデビュー作からずっと聴いている。近作が6作目ということだから、約二年に一回のペース。女性シンガーにしてはスローペースなリリースだ。ほとんどの曲を彼女自身がつくり、アレンジ、一部楽器の演奏(ギター、ピアノ)を行い、プロデュースまでこなす才女らしい。
舌足らずな、いわゆる「ロリ声」で、デビュー当時はジャジーな雰囲気を前面に押し出した、非常に良質なポピュラーミュージック作品を発表していたが、3作目あたりからおかしなことになってきた。アレンジ、音響処理が必要以上に前衛的なのだ。歌手としての彼女の素材を生かす為にはもっと他のアプローチもあっただろうし、周囲には彼女をBjorkもしくはENYAのようなビッグネームにまつりあげ、そこからこぼれおちる甘い汁をすすろうとする有象無象も多かったこととは思うが、そういった馬鹿どものおだてに乗らず、確固たる自我を持って試行錯誤しながら真面目に自分の作品創りに取り組んでいる姿が音を通して伝わってくる。
前述の通り、「普通、この曲でこういうアレンジや音響処理はしねえだろ」という、かなりアヴァンギャルドな作風の曲が多いのだが、過度に奇をてらってないのが好感。多分、難解なアレンジも彼女の中では必然性があってのことなのだろう。なにより基本的に曲がいいし、彼女の声質、感情を爆発させないボーカルスタイルが唯一無二のとろりした雰囲気を作り出しており、彼女の作品をかけると部屋の空気がいい意味で重くなる。けっして押し付けがましくはないし、華やかさも無いが、自分の主義主張を自分が作った音を通してきっちり伝えることが出来る彼女こそ「アーティスト」というにふさわしい。もっともっと認められていい才能だ。
世間にはBjorkとの比較で彼女を捉えたがる風潮もあるようだが、これは同じ北欧出身の女性、という解りやすい部分にとびついているだけだろう。勿論、Bjorkが素晴らしいアーティストであるという事実は認めるが、Bjorkの表現が外に向かっているのに対し、STINA NORDENSTAMのそれは明らかに内に向かっている。

ところで、ごく最近、彼女のデビュー作に収録されている曲がCMに使われているのを聴いてびっくりした。確かにいい曲なのだが、現在の彼女のテイストとかけ離れており、十数年のキャリアがあり、現在進行形で作品を発表しているアーティストにとっては不本意なことだと思う。


The World Is Saved

The World Is Saved

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: V2 International
  • 発売日: 2005/01/18
  • メディア: CD

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