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ムーグの功績 (Per un amico / Premiata Forneria Marconi) [Progressive]

ロバート・ムーグが亡くなった。いわずもがな、ロックの表現に革命をもたらしたムーグ・シンセサイザーの開発者だ。俺たちの世代にとっては、シンセといえばムーグだった。他の楽器では決して出せない強力なポルタメントにぶっとい音、バンドアンサンブルの中に入っても決して埋没することの無い強烈な個性。特にミニ・ムーグの機動性はライブ・パフォーマンスに圧倒的自由をもたらした。
彼がいなければ現在の電子音楽の隆盛はありえなかっただろう。合掌。

Per un amico / Premiata Forneria Marconi ムーグ・シンセサイザーが大活躍。

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イタリアン・プログレの重鎮、いまだ現役で活躍する通称PFMの初期作品。なぜか未聴だったが、昨日たまたま中古盤屋で見つけたので購入。ジャケット情報では1972年の作品らしい。俺の記憶が正しければ、PFMはELPが立ち上げたマンティコア・レーベルから世界デビューを果たしたが、その世界デビュー作、PHOTOS OF GHOSTSは過去のアルバムからの抜粋・再録音で出来ているということだった。今回購入したPer un amicoからも何曲か選ばれているんだろうなぁ、とは思っていたが・・・・おいおい、全曲PHOTOS OF GHOSTSに収録されているじゃん。歌詞が英語かイタリア語かの違いこそあるものの、演奏はほとんど同じだ。部分的に収録しなおしているようだが・・・どうせならイタリアからバンドを呼び寄せて全面的に録音し直してほしかったなぁ。ま、発足当時のマンティコア・レーベルの台所事情は大変だったんだろう。逆に考えれば、この作品のクオリティが高かったからこそ世界デビュー作にも流用されたってことなんだろうが・・・
実際、そのくらい素晴らしい作品だ。かなり複雑な曲展開で変拍子も多用しているが、不自然さを全く感じさせずに一気に聴けてしまう。アンサンブルが非常に緻密に作りこまれており、その場の勢いに任せるような演奏は一切していない。実に真面目。ELPのめがねにかなったのも納得できる。要所でムーグ・シンセサイザーが大活躍するが、音響のインパクトに過度に頼るような安易な使い方はしていない。ピアノ、ヴァイオリン、フルート、アコースティックギターなどの生楽器の繊細なアンサンブルを破壊することなく、かと言って必要以上に遠慮することも無く、実に美しく溶け込んでいる。曲はバリエーションに富んでいるが、全体を横溢するのは人間的な温かみ。聴いていて幸せになる作品だ。
ロバート・ムーグも、自分が開発した楽器がこんな使われ方をされてさぞかし嬉しかったのではないかな、と思う。


Per un Amico

Per un Amico

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bmg
  • 発売日: 2003/02/17
  • メディア: CD

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