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QUEEN Ⅱ / QUEEN [HM/HR]

今年の9月、QUEENのライブ盤が発売になるらしい。驚くのはその録音時期。なんと1974年の4月と同年11月!

プレス用に発表された情報によると、当時QUEENのプロデューサーであった、ロイ・トーマス・ベイカー氏がQUEENの3枚目のアルバムをライブ盤にしようと企画し、レインボー・シアターでのコンサートを収録したものの、創作意欲が旺盛だったメンバーはスタジオでレコーディングを開始、ライブ盤発表前に3枚目となるSheer Heart Attackを仕上げてしまった為、ライブ盤用の録音はお蔵入りになってしまったのだとか。

しかし、この説明だけでは腑に落ちない部分がある。2枚組のこのライブ盤の2枚目の録音時期がキャリア3枚目となるSheer Heart Attack発表と同時期であり、Sheer Heart Attackに収録されている曲の半数以上がライブ盤にも収録されているからだ。

この事から察するに、4月に録音した素材でライブ盤を作ろうとしたものの、メンバー達はツアーと次回スタジオ作品の準備で忙しく、「3作目はライブ盤にしよう」というロイ・トーマス・ベイカー氏の提案を中途半端に受け入れたものの、「アイデアを早く形にしたい」と、スタジオで次回作のレコーディング作業に突入、「では、4作目こそライブ盤を」と、11月にもテープを回したものの、バンド側が新作のプロモーション・ツアーで忙しくてオーバー・ダブの時間が取れずに、なし崩し的に企画がお流れになってしまった、というのが本当のところだったのではなかろうか?

ま、この推察が正しいかどうかはおいておくとして、1974年のQUEENのライブが聴ける、というのは画期的だ。何せ当時のQUEENのライブは、精緻な作り込みにより美しく整っているスタジオ盤との対比が鮮やかなほど、スケールの大きいワイルドな演奏をぶちかましていたからだ。これはこの時期のライブを収録した幾多の海賊盤によって証明されているが、今回、オフィシャルな作品化を行うことを目的とした良好な音質の録音で聴く事が出来るわけだ。
その後、スタジオ作品を重ね、8作目にしてようやくLive Killersという初のライブ盤を発表することになるわけだが、あれはロック・バンドとしてはお行儀が良過ぎるというか、充分にキャリアを積んでステージ慣れしたバンドがヒットメドレーをそつなくこなしている、という印象で、なんかだか俺にはいまいち熱いものが伝わって来なかったのだよなぁ。まぁ、決して悪い作品ではないのだが…


と、いうわけで、久々に聴きました。勿論、QUEEN Ⅱ


QUEEN Ⅱ / QUEEN

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アルバムはBrian Mayのギターのおびただしい回数の多重録音によるインストルメンタル曲、Prosessionで荘厳に幕を開ける。発信音に引き継がれ続くのは、スケールのでかいハード・ロック、Father To Son、動と静の対比が感動的なWhite Queen、清冽な印象のSome Day One Day、腹の据わったヘビーなドラミングと強烈に歪んだギターの音がドライヴするThe Looser In The End、緊張感のあるリフと開放感のあるコーラスが劇的なOrga Battle、次から次へとめまぐるしく曲が展開するThe Fairy Feller's Master-Stroke、たおやかな小品、Nevermore、7分弱にぎっちりと耽美と破滅のメロディーが詰め込まれた密度の濃さが圧巻のThe March Of The Black Queen、意外にもフォーキーな雰囲気を漂わせるFunny How Love Is、そして躍動感が見事なSeven Seas Of Rhyeで締めくくるまで、息をつかせる間もなく次から次へと繰り出される名曲の数々。

アルバムを俯瞰的に観ると、殆どの曲がシームレスに繋がっており、曲間の橋渡しも不自然さをほとんど意識させない実に見事な構成力。アレンジは徹底的に作り込まれており、コーラスワーク、ギターのオーバーダブにその傾向が顕著に現れている。他のバンドには真似の出来ない精緻さとこだわりが随所に、いや、全編を通して貫かれており、非の打ち所がない。間違い無くロック史上に残る名盤。久しぶりに責任推奨。

この作品、アナログ時代はLPの片面づつが、WHITE SIDE、BLACK SIDEと分けられ、両A面扱いだったが、実際には主にBrian Mayが作曲した曲が大半を締めるWHITE SIDEから聴き始め、Freddie Marcuryが作曲を担当したBLACK SIDEにターンする、といった聞き方が普通だったと思うし、CD化された現在もその並びで収録するのが当たり前になっている。そもそも、ギターの多重録音によるファンファーレ風のProsessionがプロローグ的役割を果たし、カーニバル風の音響で終わるSeven Seas Of Rhyeが次回作、Sheer Heart Attackの一曲目、Brighton Rockの冒頭部分の音響に繋がっている事に気がつかない方がどうかしている。ま、その割には見開きジャケットの表面は黒が基調、内側は白が基調であったのだが。

それにしてもライブ盤の発売まで2ヶ月かぁ。待ち遠しくて仕方ない。


Queen II (2011 Remaster)

Queen II (2011 Remaster)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Island UK
  • 発売日: 2011/03/10
  • メディア: CD



こちらが問題のライブ盤!

Live At The Rainbow

Live At The Rainbow

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin EMI
  • 発売日: 2014/09/08
  • メディア: CD



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