Black Heaven / Earthless [HM/HR]
60年代終盤から70年代初頭にかけて音楽の世界においてもサイケデリック・ムーブメントなる動向が盛り上がった時期があった。当時の楽団が演奏する曲は動機から展開においてこそ一定の規則性を保ってはいるものの、独奏では冗長な表現に突入する局面が多く見受けられ、シラフで聴くと結構「キツい」局面にぶつかることもしばしばだった。
ま、その手の音楽を聴く場合、聴衆は薬物やら何やらで酩酊状態にあることを演奏者側が了承しており、そういった状況下においてはほとんどの者の時間感覚が麻痺しており、また「音」そのものを楽しむことことが出来たようなので、その時代のその手の音楽作品、ましてや実況録音盤(ライブ盤)を現在の価値基準で判断することは、下戸が酒の旨さを語るに等しいような野暮なことである、と思う。
それにしても、だよ。あれから半世紀が経とうとしているのに、こいつらはなんて時代錯誤なカッコいいことやってんだ。
Black Heaven / Earthless
このトリオ編成のバンド、カリフォルニア出身で現在絶賛活動中(笑)らしいのだが、いったい今の今までどこでどうやって活動してきたんだってツッコミ入れたくなるくらいこの世知辛い世の中でおおらかなサイケデリアを体現している。ギターのリフ、和音の重ね方、ワウに代表されるエフェクターの使い方、ハードドライヴィンなリズム、どの局面においても70年代のベルボトムな匂いがプンプンする。
音圧で聴かせるタイプの楽曲。ギターの音は相当歪んでいる。が、これはHeavy Metalではない。Hard Rockにより近いが、いわゆるArt Rock、そう、サイケとプログレが未分化のまま渾然一体となっていた、あのころの音である。と、言うより、あの頃の混沌とした雰囲気を狙っていることは明らかである。
アルバムに収録されている6曲の全てが70年代初頭に最適化されているが、特に9分近いアルバムの表題曲は圧巻である。ボーカルパートは一切無い。ほとんど重厚なリフとギターソロのみで構成されている。強烈にグルーヴしまくるバックに背中を押されたギターは勇猛果敢に突進する。勿論冗長ではあるが、嫌味にならない程度の表現欲と、70年代を彷彿させるピッキングのニュアンス(これは重要なポイントだ!)、そしてツボを的確にとらえたフレージングで一気に聴かせる。はっきり言って、ずるい程にカッコいい(笑)。
実は、個人的にこのバンドの音にCaptain Beyondに似た雰囲気を感じている。勿論、70年代初頭のバンドであったCaptain Beyondよりは音はHeavyであるが、ボーカルの声質、ギターの重ね方、そしてなによりも突破力のあるリズム隊がCaptain Beyondを想起させるのである。ただ、Captain Beyondは変拍子やテンポチェンジを多用し、プログレに発展していく意欲が聴いて取れたが、Earthlessにはそういった要素を感じることはほとんど無い。このアルバム中、2曲において冒頭部分で聴き手を煙に巻く曖昧な音響を聴かせているが、それは曲構成や音響設計が精緻に計算されたプログレというより、サイケデリックな成り行き任せのジャムセッションの結果生まれた偶然の賜物という捉えられ方を想定して収録されている。が、これは勿論計算づくのことであることは明らかである(笑)。
この作品、ちょっと迷ったのだが、数回聞いても飽きないので(笑)限定的に強力推奨。もしかしたら、べたーっと歪んだ音の壁はシューゲイザーが好きな人にもアピールするかも。
ま、その手の音楽を聴く場合、聴衆は薬物やら何やらで酩酊状態にあることを演奏者側が了承しており、そういった状況下においてはほとんどの者の時間感覚が麻痺しており、また「音」そのものを楽しむことことが出来たようなので、その時代のその手の音楽作品、ましてや実況録音盤(ライブ盤)を現在の価値基準で判断することは、下戸が酒の旨さを語るに等しいような野暮なことである、と思う。
それにしても、だよ。あれから半世紀が経とうとしているのに、こいつらはなんて時代錯誤なカッコいいことやってんだ。
Black Heaven / Earthless
このトリオ編成のバンド、カリフォルニア出身で現在絶賛活動中(笑)らしいのだが、いったい今の今までどこでどうやって活動してきたんだってツッコミ入れたくなるくらいこの世知辛い世の中でおおらかなサイケデリアを体現している。ギターのリフ、和音の重ね方、ワウに代表されるエフェクターの使い方、ハードドライヴィンなリズム、どの局面においても70年代のベルボトムな匂いがプンプンする。
音圧で聴かせるタイプの楽曲。ギターの音は相当歪んでいる。が、これはHeavy Metalではない。Hard Rockにより近いが、いわゆるArt Rock、そう、サイケとプログレが未分化のまま渾然一体となっていた、あのころの音である。と、言うより、あの頃の混沌とした雰囲気を狙っていることは明らかである。
アルバムに収録されている6曲の全てが70年代初頭に最適化されているが、特に9分近いアルバムの表題曲は圧巻である。ボーカルパートは一切無い。ほとんど重厚なリフとギターソロのみで構成されている。強烈にグルーヴしまくるバックに背中を押されたギターは勇猛果敢に突進する。勿論冗長ではあるが、嫌味にならない程度の表現欲と、70年代を彷彿させるピッキングのニュアンス(これは重要なポイントだ!)、そしてツボを的確にとらえたフレージングで一気に聴かせる。はっきり言って、ずるい程にカッコいい(笑)。
実は、個人的にこのバンドの音にCaptain Beyondに似た雰囲気を感じている。勿論、70年代初頭のバンドであったCaptain Beyondよりは音はHeavyであるが、ボーカルの声質、ギターの重ね方、そしてなによりも突破力のあるリズム隊がCaptain Beyondを想起させるのである。ただ、Captain Beyondは変拍子やテンポチェンジを多用し、プログレに発展していく意欲が聴いて取れたが、Earthlessにはそういった要素を感じることはほとんど無い。このアルバム中、2曲において冒頭部分で聴き手を煙に巻く曖昧な音響を聴かせているが、それは曲構成や音響設計が精緻に計算されたプログレというより、サイケデリックな成り行き任せのジャムセッションの結果生まれた偶然の賜物という捉えられ方を想定して収録されている。が、これは勿論計算づくのことであることは明らかである(笑)。
この作品、ちょっと迷ったのだが、数回聞いても飽きないので(笑)限定的に強力推奨。もしかしたら、べたーっと歪んだ音の壁はシューゲイザーが好きな人にもアピールするかも。
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