SSブログ

Aqua / Edgar Froese (実験は成功したのか?) [Ambient/New Age/Experimental]

シンセによるビートの創出という斬新な手法を開発したTangerine DreamがPhaedraを発表した1974年、そのTangerine Dreamの主催者、Edgar Froeseが謎な作品でソロ・デビューした。

Aqua / Edgar Froese

edgar frose aqua.jpg

とりあえず、全4曲を解説(と言うほどのものではないが)してみようと思う。

アルバム1曲目に配置された表題作のAquaは清流の音を思わせる効果音で幕を開ける。時折ホワイト・ノイズを交えながら浮遊系シンセがメロディー未満の音響を聞かせる。ほぼ全編に渡って魚の筋肉が活発に活動している姿を連想させる音が聴かれる。まるで自分が魚になって川を遡上しているようなイメージ。シンセによるビートは一切聴かれない。

続くPanorphelia。規則的に聴かれるホワイト・ノイズ。若干の雑音成分を含んだストリングス系の音が不安感を煽るメロディーらしきものを奏し、時折重層化する。もごもごとした低音のシンセが同じフレーズを繰り返すが、ビートの出現には至らない。

LPではB面の一曲目だったNgc 891でようやくシンセによる低音のフレーズの繰り返しによりビートの出現が聴いて取れる。様々な音が参入し、メロディーらしきものを聴かせる。冒頭を始めとして、何回かジェット機が上空を通過する音が聴かれる。音楽的な必然性は感じられないのだが…

最終曲となるUplandではAquaと似たような音響がほぼ全編を貫いている。メインのメロディーを奏するのはオルガン。効果音を挟みながらこれでもかとばかりに延々と冗長な演奏が続く。最後の1分間はテープの逆回転による怪しい音響でアルバムは幕を閉じる。

以上。とにかく全編を通してこれでもかと効果音が聴かれる。いくら実験精神が旺盛とは言え、謎な作品だ…

それにしても、なぜにここまで自然効果音を使い、様々な音色を頻繁に使い分けたのか?そしてなぜにここまで電子効果音にこだわったのか?

実はこの作品、ある特殊な録音の方法をしており(確かバイノーラル録音、とか言っていたような…)、特別なヘッドフォンを使うと音が立体的に聞こえるように設計されていたのだ。今でいうところのサラウンド効果である。多分、Aquaで聴かれる水が流れる音や、Ngc 891で頻出するジェット機の音はリアルに聴こえ、様々な効果音は右から左へ、かと思えば下から上へ、あるときは聴き手の周囲を取り囲み、ぐるぐると回転していたのではあるまいか?


しかし、このアルバム一枚のために高価な機材なんか買えるわけありません。


そんなわけで俺は一度もEdgar Froeseが設計した音環境でこの作品を聴いた事がない。というより、この作品を買ったほとんどの者がそうではなかったか、と思う。 「最先端の録音技術と機材を使い、最先端の音響を作り出したい」という意気込みは認めるが、残念ながらその気持ちは一般聴衆には伝わらなかった。 果たしてこの音響実験は成功していたのか?今となってはそれすら解らない…

【記述修正】ちょっと調べたところによると、バイノーラル録音とは、通常のヘッドフォンで再生することを想定されているものだったようだ。専用の再生装置が必要だと思っていた俺の記憶は間違っていたことになる。今度、ヘッドフォンで聴いてみるか。どんな臨場感のある音が広がるんだろう?


Aqua

Aqua

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: WHD
  • 発売日: 1987/06/08
  • メディア: CD


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Black Dance / Klaus ..Unbehagen / Nina Hag.. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。